元大聖女シャルロットは、転生してからスローライフを満喫するようです

Atelier Lotus

文字の大きさ
12 / 33

10話 薬草採集

しおりを挟む
 シャルロットは、薬草学に精通している。

 と言うより、シャルロットの前世である大聖女――ミュゲ・ジプソフィルが、薬草学に精通していたというのが正しい。

 そうなのである。

 いくらミュゲ・ジプソフィルが大聖女の力を有していると言っても、その恩恵を受けるには、当本人と大聖女の力の恩恵を受けたい人が一緒にいなくてはならない。

 即ち、そう言う意味では大聖女の力は限定的なのである。

 しかし、例えば採集した薬草で丸薬やポーションを作ったのならば、大聖女とその恩恵を受けたい人が離れていても、大聖女の恩恵を受けることが出来るのである。

 その為にミュゲ・ジプソフィルは、薬草学を修めたのである。

 もちろん、大聖女によって作られた薬の効能は、一般人が作るものよりも効果が抜群であることは言うまでもない。

 フルールの町より外。

 草原。

 今回、シャルロットとソレイユが受けたギルドの依頼は、傷薬用の薬草の採集である。

 集めた薬草は、ギルド内の薬剤師が傷口に塗布出来るようにクリーム状に加工して、一般販売及び薬屋に卸される。

 すでにシャルロットとソレイユは、指定の量の薬草を採集していた。それにも関わらず、切り上げることなくシャルロットは薬草を採集していた。

 ソレイユは、尋ねる。

「いい加減にもう帰ろうぜ。もう依頼の量の薬草は採れただろ」

「あ、ソレイユ。その草、薬草じゃなくて毒草よ」

「え? あ、本当だ、違う」

「それ、患部に塗り込むと、めちゃくちゃ腫れて痛いわよ」

「ごめん、間違えた……じゃなくて、早く切り上げて帰ろうぜ!」

 ソレイユは、地団駄を踏む。

 シャルロットは、説明する。

「これはね、こっちで加工して丸薬にする分。せっかく町の外に出たんだから、採れる分だけとらないと。生態系を破壊しない程度にだけど」

「ふーん、なるほどね。そう言えばお前は薬草の知識あったもんな」

「えっへん、凄いでしょ」

 シャルロットは、胸を張った。

「一見、同じ草しか生えてない草原に見えるけど、意外とここは宝の山なのよ」

「そうなのか? 例えば?」

「これはお通じがよくなる薬の材料。これは二日酔いがよくなる薬の材料。こっちはお腹いたの薬の材料。こっちは熱や神経痛等の鎮痛薬になる薬草なんだけど、一方では麻薬だから、量と依存性には気をつけないといけないやつ」

「あー! 多すぎて分からないよ!」

 ソレイユは、シャルロットの指差した薬草を見るも、全部似たり寄ったりの形状で違いが分からなかった。

 シャルロットは、反論する。

「全然違うじゃない! 葉の形状も、茎の色も!」

「分かんねえよ」

「あ、その後ろの草は気をつけて!」

「今度はなんだ!」

 ソレイユは、前方に飛んだ。
 
 シャルロットは、毒草を指差す。

「その毒草は、地域によっては死神の鎌なんて物騒な名前で呼ばれてる草で、ちょっと触っただけでかぶれて痛みが一ヶ月は取れないわよ」

「え! そんなことは早く言ってくれよ! て言うか、触っただけでそれって嘘だろ」

「葉の裏側に毛のような針が無数に生えていて、それに触れると炎症が起こるわ」

「こえーよ! なんで青銅ランクの簡単な仕事で、危険な目に合わなきゃいけないんだよ!」

 いい加減に帰ろうと催促するソレイユ。

 最も低い青銅ランクの依頼でも、命を張らなければならない、シャルロットとソレイユであった。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

悪役令嬢が処刑されたあとの世界で

重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。 魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。 案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。 2025/9/29 追記開始しました。毎日更新は難しいですが気長にお待ちください。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

処理中です...