私は鬼に食べられたいの

ピロ子

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6.奪われる

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ようやく本番になります。

✱✱✱
 浮遊感と眩暈に似た感覚に襲われ、きつく目を瞑った花は狩衣を握り締めて鬼にしがみ付いた。
 初夏の湿気を含んだ空気と竹林と草の臭いから、甘い花の香りと湿気と温度が心地良いものへと変化する。
 程よい場所へ移動したのを感じ、閉じていた目蓋を開いた。

「此処は?」

 目を見開き驚いた花は周囲を見渡す。
 今まで外に居たはずなのに、畳が敷かれ周囲を障子に囲まれた広い部屋に居たのだ。
 部屋の広さは、軽く見積もっても三十畳はあるだろうか。真新しい畳が敷かれた部屋の中央には一組の布団が敷かれており、此処で行われるだろう行為を生々しく予想させられて、花の全身は真っ赤に染まる。

「此処は、現世と幽世の狭間、我の棲み処だ」

 耳元で囁くように答えられて、花は肩を揺らす。
 耳に当たる吐息がくすぐったくて、顔を動かして隙間を開けようとした花の耳朶を鬼の唇が食み、舌を這わす。

「やっと、お前の体と魂を喰らえる。正臣が二十歳になるまでという契約をしなければよかったと、何度後悔したことか」
「鬼さん?」

 吐き出すように言う鬼の声から、いつもと違う余裕の無さを感じ取った花は不安げに見上げる。
 視線が合った鬼は口角を上げた。それと同時に、花の体を漆黒の霧が纏わりつく。

「きゃあっ」

 纏わりつく霧を振り払いたいのに、花を抱き上げたままの鬼は腕の中から解放してくれない。
 逃れられない花の服へ染み込んだ漆黒の霧は、肌は傷付けずに服のみを真っ黒に炭化させていく。炭化し灰と化した服は崩れ落ち、空間へ溶けるように消えていった。

「あ……」

 自分が着ている衣類が灰と化していくのを呆然と見詰めているうちに、花は一糸纏わぬ生まれたままの姿になっていた。
 剥き出しになった背中を鬼の手が撫で下ろし、擽ったさに花は身震いする。

「花に懸想する男が近寄らぬよう我の臭いをつけ、それでも隙間を塗って近付く男をどれだけ排除してきたか。お前は知らぬだろう」
「あの、それは、どういうこと?」

 懸想、排除と言われても、意味が全く分からずに花は首を傾げる。

「最上の状態で喰らうために、花の体を成熟させ快楽に染まりやすく淫乱になるよう育て上げたのだ。さぁ、お前を味合わせてくれ」

 唇を舌なめずりした鬼は背中が泡立つほどの色気を放ち、獲物を捕らえて逃さない捕食者の眼差しで全身を真っ赤に染める花を射抜く。

「うん、私を食べて」

 とんでもない事実を暴露されたのに、鬼への怒りや嫌悪感よりもようやく彼に食べられるのが嬉しいと思ってしまうのは、数年間で彼に教え込まれた肉欲のせいか。
 満足そうに笑うと、鬼は花を部屋の中央に敷かれた布団へ壊れ物を扱うように下ろす。

「処女を喰らうのは百年以上ぶりか。初めての男が鬼の我だという事を光栄に思うがいい」

 言い終わるや否や鬼の着ている狩衣と単衣、狩袴が解けるように消える。

(綺麗なのに、鬼さんのアレは、こんななんだ)

 自分と同じ様に一糸纏わない全裸となった鬼の、初めて目にする肌は薄暗い室内で輝いているのに、股間に存在する起ちあがりかけの陰茎の赤黒いさが毒々しく見えて、花は視線を逸らすことが出来なかった。
 頬を赤く染める花へ覆いかぶさった鬼は彼女の半開きの唇を食み、口腔内へ差し入れた舌で思う存分舌を絡ませ合う。
 初めて触れ合う互いの肌の感触が心地よくて、花は夢中になって鬼の舌の動きに応える。飲み込みきれない唾液が花の唇の端から零れ落ちた。

「んっ、はぁ」

 大きな手の平が右乳房を包み絶妙な力加減で揉みしだく。時折赤く色づいた乳首を掠め、花の体に甘い刺激を与える。
 胸への刺激を受けて、無意識のうちに秘部の奥が疼いて太股を擦り合わせた。
 濃厚な口付けにすっかり思考が蕩けてしまった頃、口腔内から鬼の舌が抜け出ていく。

「はぁ、鬼さん? あっ」

 上半身を起こし花の足を開かせた鬼の指先が、愛液で濡れそぼつ秘部の入口に触れる。

「花、力を抜いていろ」

 入口を往復した指が膣内へ入り込む異物感で花の体に力が入る。
 迎え入れる膣壁は、奥まで入ってくる指の存在を感じ取ろうとうごめき、舌では届かない箇所への初めての異物感に花は息を吐いた。

「痛むか?」
「ううん、痛くない」
「では、もう一本入れる」

 痛みは無いと分かった鬼は膣内へ入れる指を増やして動かし始めた。

「変な、感じ。アッ」

 ある一点を指先が擦った時、快感が走りぬけ花は体を揺らす。

「此処が、お前の良い処だ。此処を弄ってやれば一際中が喜ぶ」
「ああんっ」

 フッと嗤った鬼は、指を曲げて引っ掻くようにその一点を擦る。ぐちゅぐちゅと水音を響かせる秘部の異物感は、はっきりとした快感へと変わっていた。

「あっ、其処ばっかり、やだっ」
「嫌ならば、止めるか?」

 指の動きが止まり、花は首を横に振る。
 嫌ではない。むしろもっとこの快感を与えて欲しい。

「止めちゃいや。もっと、私の中、掻き混ぜて」

 甘えた声と潤んだ瞳を鬼へ向けて、花はもっと欲しいと懇願する。

「ククッ、達しそうなのか? 達すれば達するほどお前の精気は美味くなる」
「はっ、あん、ああんっ、気持ちいいよぉ」

 再会した指の動きと同時に、触れて欲しいと主張するクリトリスを親指でこね回されて、花は敷布を握り締めて喘ぐ。

「分かるか? 此処はもう我の指を三本も咥えて喜んでいる。淫らで厭らしく育ったものだ」
「ひゃん!? ああっ、イッちゃうっ、ああー!」

 親指がクリトリスを押しつぶし、高まった快感が一気に弾けて達した。
 指を締め付ける膣壁を数回擦り、鬼は膣内から指を引き抜く。花から溢れ出た愛液が、白い敷布にいくつもの染みを作った。

「あ……」

 肩で荒い息をする花は、秘部へ触れる熱くて太いものの存在を感じて視線を下方へ向けて戦慄する。指が埋まっていた膣の入口へ触れるのは、完全に勃起した長大な陰茎だったのだ。
 無意識に逃げようとする花の太股を抱え、腕を伸ばした鬼は彼女の頬を労わるように撫でる。

「十分に解したが、怖いのなら我にしがみついておれ」
「ううん? 鬼さんのことは、怖くないよ。嬉しいの」

 やっと処女を貰ってもらえるのだと花が微笑めば、鬼は眉間に皺を寄せ鋭い犬歯を見せて唸る。

「花、ようやくお前をっ」
「ああっ!」

 膣を抉じ開ける勢いで入って来る亀頭が膣口を広げ、押し入ってくる。指で解された膣が広げられる痛みと圧迫感に花は眉間に皺を寄せた。

「ひぃん、うぅ~」

 指で満たされて更なる刺激を待ち望んでいた膣壁は鬼に絡みつき奥へ導こうとするが、太い陰茎によって狭い膣が開かれていく痛みと内臓が押し上げられる苦しさで、花の瞳から涙が零れ落ちる。
 ブツン、何かが切れる音と一際強い痛みを感じ、花は上げそうになった悲鳴を必死で堪えた。

「ふっくくく、お前の処女は我が貰い受けた」

 肩を震わせて嗤う鬼は一気に腰を突き入れ、陰茎の先端が膣の奥へと当たる。
 子宮口の中まで入り込みそうな長大な陰茎により、無理矢理広げられた膣壁の痛みと苦しさで花は声も出せずに喘いでいた。

「苦しいか?」

 下唇を噛んで痛みを堪える花を気遣うように、鬼は人差し指で頬を伝う涙を拭う。

「泣くな。苦痛は直ぐに無くなる」
「あっ」

 奥まで入っていた陰茎を引き抜き、身を屈めた鬼は花の股の間へ顔を埋める。まだひくついている秘部の花弁へ舌を伸ばした。

「はぁっ」

 硬い陰茎ではなく柔らかくて熱い舌が入れた鬼は、術により長く伸ばした舌を動かしひくつく膣襞を舐め、破ったばかりの膜のあった部分をべろりと舐めた。

「あっ、なか、舐めないでぇ」

 痛みを訴える箇所を舐められ花の腰が跳ねた。鬼がじゅるじゅると愛液を啜る音が、生々しく聞こえた。

「はっ、破瓜の血はやはり極上だな」

 丹念に膜があった箇所を舐める熱い舌に、花は全身に力を込めて首を横に振り悶えた。
 陰茎を抜いた際に、太股へ流れた血まで丁寧に舐めとっていき、満足した鬼はようやく顔を上げて唇を舐めた。
 再び秘部に熱い熱が触れ、花は息をのむ。

「これで、破瓜の痛みは全て無くした。存分に我が魔羅を味わい、快楽に堕ちるがいい」

 妖しく嗤った鬼は、躊躇することなく膣内へ陰茎を一気に突き入れた。



✱✱✱
次話に続きます。
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