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30※グラッセ
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私が選ばれるはず。
黄金の髪、虹のアイスブルー。
王の証だと。
あの子は偽物。
くすんだ灰色と私より薄い虹のアイスブルー。
「お父様、三人の中で一番かわいいのはわたしよね?」
頷く父を見つめほっと息を吐く。
床に伏した父。
現国王陛下。
病床は思わしくなく痩せてしまった。
黄金に輝いていた髪は白く、まばらに抜け落ちて。
それでも美しい虹のアイスブルーを持っていた。
「私が一番、玉座にふさわしいのよね?お父様?」
「ああ、黄金に輝く髪と私そっくりの瞳。きっと王冠が似合う」
娘かわいさに目尻を下げて頬を緩ませた。
「だが、お前は娘だ。そんな小難しいことをなど男に任せておけばよい。そんな拗ねた顔をせず笑いなさい。そうだ
。新しいドレスを作らせよう。それに合わせた新しい宝石も」
召し使いを呼び寄せて後日、仕立屋や宝石商を呼ぶようにと告げた。
「違うわ。お父様、私の欲しいものはお父様の玉座よ?私にくださるわよね?前からそう仰っていたじゃない」
「……は、……あっははは!はっは!」
「お父様?」
「本気にしていたのか?女の身で王位につけると?バカなことを、はは!」
「嘘なの?」
「いや、嘘ではない。だが、伴侶も持たず己が色を見せびらかすしかしてこなかったお前に国を治めるのは無理だ」
「伴侶がいれば、結婚したら、いいのね?」
ならばロルフと。
思考はそこに行き着く。
「王配として認められる存在がおれば多少は望めた。だが、よいではないか?女の身でなったところで何の得がある?それだけ美しい容姿なのだ。他国の王妃として過ごす方が良かろう」
「私に王位を譲るおつもりはない、のね?」
「お前には王位より良いものを授けた。」
「……何を?ドレスや宝石のこと?」
「それだけじゃない。お前を美しく着飾らせてこの国の社交界で君臨させていた。それ以上に何を望む?」
「……私は、私が王位を継ぐことよ!」
「過ぎた望みだ。つまらないことは考えなくてよい。老いた父のために笑っておくれ、グラッセ」
「いやよっ、お父様」
「グラッセ?」
「お願いよ、お父様。私はこの国の女王となりたいの」
どんなに懇願してもお父様は笑っていた。
なぜ笑うの?
どうして私が笑われているの?
「ドレスを買ってあげるからそんなつまらない顔を見せるな。ほら、笑いなさい」
父の言葉が頭に入らない。
私は静かに絶望した。
欲しいものが手に入らない。
誰よりも、何よりも父に愛されてると自負していたのに、それも砕けた。
一番可愛がられた。
愛されていた。
王になりたいと願うのに、相手にされずドレスや宝石でごまかすお父様が憎い。
胸が張り裂けそう。
今の私は泣きそうなのに。
笑えと言われひくつか頬を無理やり動かした。
うまく笑えてないのに、お父様はこんな汚い笑顔に満足げにしている。
「そうだ。笑いなさい。笑ってればよい」
自分はただ、お父様の気まぐれな寵愛を盲目的に信じていたのだと思い知らされた。
黄金の髪、虹のアイスブルー。
王の証だと。
あの子は偽物。
くすんだ灰色と私より薄い虹のアイスブルー。
「お父様、三人の中で一番かわいいのはわたしよね?」
頷く父を見つめほっと息を吐く。
床に伏した父。
現国王陛下。
病床は思わしくなく痩せてしまった。
黄金に輝いていた髪は白く、まばらに抜け落ちて。
それでも美しい虹のアイスブルーを持っていた。
「私が一番、玉座にふさわしいのよね?お父様?」
「ああ、黄金に輝く髪と私そっくりの瞳。きっと王冠が似合う」
娘かわいさに目尻を下げて頬を緩ませた。
「だが、お前は娘だ。そんな小難しいことをなど男に任せておけばよい。そんな拗ねた顔をせず笑いなさい。そうだ
。新しいドレスを作らせよう。それに合わせた新しい宝石も」
召し使いを呼び寄せて後日、仕立屋や宝石商を呼ぶようにと告げた。
「違うわ。お父様、私の欲しいものはお父様の玉座よ?私にくださるわよね?前からそう仰っていたじゃない」
「……は、……あっははは!はっは!」
「お父様?」
「本気にしていたのか?女の身で王位につけると?バカなことを、はは!」
「嘘なの?」
「いや、嘘ではない。だが、伴侶も持たず己が色を見せびらかすしかしてこなかったお前に国を治めるのは無理だ」
「伴侶がいれば、結婚したら、いいのね?」
ならばロルフと。
思考はそこに行き着く。
「王配として認められる存在がおれば多少は望めた。だが、よいではないか?女の身でなったところで何の得がある?それだけ美しい容姿なのだ。他国の王妃として過ごす方が良かろう」
「私に王位を譲るおつもりはない、のね?」
「お前には王位より良いものを授けた。」
「……何を?ドレスや宝石のこと?」
「それだけじゃない。お前を美しく着飾らせてこの国の社交界で君臨させていた。それ以上に何を望む?」
「……私は、私が王位を継ぐことよ!」
「過ぎた望みだ。つまらないことは考えなくてよい。老いた父のために笑っておくれ、グラッセ」
「いやよっ、お父様」
「グラッセ?」
「お願いよ、お父様。私はこの国の女王となりたいの」
どんなに懇願してもお父様は笑っていた。
なぜ笑うの?
どうして私が笑われているの?
「ドレスを買ってあげるからそんなつまらない顔を見せるな。ほら、笑いなさい」
父の言葉が頭に入らない。
私は静かに絶望した。
欲しいものが手に入らない。
誰よりも、何よりも父に愛されてると自負していたのに、それも砕けた。
一番可愛がられた。
愛されていた。
王になりたいと願うのに、相手にされずドレスや宝石でごまかすお父様が憎い。
胸が張り裂けそう。
今の私は泣きそうなのに。
笑えと言われひくつか頬を無理やり動かした。
うまく笑えてないのに、お父様はこんな汚い笑顔に満足げにしている。
「そうだ。笑いなさい。笑ってればよい」
自分はただ、お父様の気まぐれな寵愛を盲目的に信じていたのだと思い知らされた。
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