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『この中に入ればイイの?』
『ああ、外に運ブ』
ウドルが用意したのは背負いの篭。
中の藁をひっくり返して、私の入っていた木箱には石を入れて重さを誤魔化していました。
ウドルが私をひょいっと持ち上げて同じくらいの重さに。
体を触れたくないと言ってふたつの手を握って上にぶらぶらと。
でも女にしては軽すぎるとぶつぶつ言って悩んだ末に石を増やしていました。
『コレじゃ子供ダ。軽すぎル』
『……そんなコトないと思うケド』
ウドルが力持ちなだけと言うけど真顔で顔を横に振ってます。
『軽イ。俺は間違えテない』
『うう、』
がっくりと肩を落とすとなぜ悩むのか分からないと呟いてました。
『早ク、入れ』
本当に入るのか心配をだったのに。
頭まですっぽり入って上から見えないように布を被せても余るくらいです。
『入っちゃッタ』
『当たり前ダ。小さいカラ』
『うう、』
小柄を気にしてるのに悲しいです。
でもおかげで助かったんだからと前向きに考えます。
ウドルがこうやって逃がすのを手伝ってくれるのもありがたいです。
『ウドル、良かッタラ、私の屋敷で働かない?うちの庭師、タットって言うんだケド、手が悪くて新しい人を探してイルの』
ふふ、と外から含み笑いが聞こえます。
『怖くナイのか?』
『怖いケド、ウドルは優しいカラ』
『オ前は、騙されやすそうダ』
『ウドル、騙すの?』
『ドウかなぁ、ふふ』
もう背負うぞと声をかけられて静かにしました。
ぎしっと篭が揺れてウドルが歩く度に、ゆっさゆっさ、ぎっしぎっしと大きく揺れてきしみます。
でも唐突にバンッと強く弾ける扉の音とどかどかと踏み荒らす足音が聞こえて、びくぅぅっと体が跳ねてしまって。
そのせいで上の布がずれて急いで引っ張って戻します。
『おい、こんな夜更けにどこへ行く気だ?』
『……馬小屋の藁が足りナイから、持ってコイと、言われマシタ』
『……ふん』
各国からの来賓。
馬の数も多くそのために持っていくのだと。
私と変わらない拙い言葉で説明を。
篭の中で息をひそめて必死に体を縮めて。
でも怖くて手足が勝手に震えて。
『下手くそな説明で分かりづらい。もう行け』
どっと篭が大きく揺れて悲鳴がこぼれそう。
口を両手で押さえて目を強くつぶりました。
多分、突き飛ばされたんだと思います。
『そのデカイ体が邪魔だ。早く出ろ』
『その箱に用があるんだから』
『全く、王女も気まぐれだ』
『あのチビッ子姫が入っているんだろ?妖精なんて言うけどただのガキだ。あー、俺ガキは趣味じゃねぇのに』
『俺もだよ。あんな小さくっちゃなぁ。入れたら腹まで破れるんじゃねぇか?』
『もう初物はめんどくせぇよ。血ぃ出るし暴れるし下手したら吐く。汚ねえ』
『はは、それが楽しいじゃないか』
『へ、まあね。めんどくせぇけど何してもいいからな。普通なら触れないような貴族令嬢に色々させんのはたまんねぇよなぁ、はは、』
『そうそう、死んでも顔を潰して外に捨てればいいってんだからね。グラッセ王女様々だ』
声が三人です。
私のことを話しているのは分かりました。
ウドルが足早にそこから走っています。
篭がゆさゆさ乱暴に揺れましたが、上に重なった布をしっかり巻き込んで震えてました。
この人達の話ぶりが怖くて震えが止まらなくて、涙を必死で堪えました。
意味が全て分かった訳じゃありません。
でもあの人達に捕まれば顔を潰されてどこかに捨てられる。
それだけは分かりました。
「うっ、ひっく……」
『スグに、逃がす』
泣くなと小さく励ます声がします。
やっぱりウドルは優しいです。
ありがとう、と答えました。
『ああ、外に運ブ』
ウドルが用意したのは背負いの篭。
中の藁をひっくり返して、私の入っていた木箱には石を入れて重さを誤魔化していました。
ウドルが私をひょいっと持ち上げて同じくらいの重さに。
体を触れたくないと言ってふたつの手を握って上にぶらぶらと。
でも女にしては軽すぎるとぶつぶつ言って悩んだ末に石を増やしていました。
『コレじゃ子供ダ。軽すぎル』
『……そんなコトないと思うケド』
ウドルが力持ちなだけと言うけど真顔で顔を横に振ってます。
『軽イ。俺は間違えテない』
『うう、』
がっくりと肩を落とすとなぜ悩むのか分からないと呟いてました。
『早ク、入れ』
本当に入るのか心配をだったのに。
頭まですっぽり入って上から見えないように布を被せても余るくらいです。
『入っちゃッタ』
『当たり前ダ。小さいカラ』
『うう、』
小柄を気にしてるのに悲しいです。
でもおかげで助かったんだからと前向きに考えます。
ウドルがこうやって逃がすのを手伝ってくれるのもありがたいです。
『ウドル、良かッタラ、私の屋敷で働かない?うちの庭師、タットって言うんだケド、手が悪くて新しい人を探してイルの』
ふふ、と外から含み笑いが聞こえます。
『怖くナイのか?』
『怖いケド、ウドルは優しいカラ』
『オ前は、騙されやすそうダ』
『ウドル、騙すの?』
『ドウかなぁ、ふふ』
もう背負うぞと声をかけられて静かにしました。
ぎしっと篭が揺れてウドルが歩く度に、ゆっさゆっさ、ぎっしぎっしと大きく揺れてきしみます。
でも唐突にバンッと強く弾ける扉の音とどかどかと踏み荒らす足音が聞こえて、びくぅぅっと体が跳ねてしまって。
そのせいで上の布がずれて急いで引っ張って戻します。
『おい、こんな夜更けにどこへ行く気だ?』
『……馬小屋の藁が足りナイから、持ってコイと、言われマシタ』
『……ふん』
各国からの来賓。
馬の数も多くそのために持っていくのだと。
私と変わらない拙い言葉で説明を。
篭の中で息をひそめて必死に体を縮めて。
でも怖くて手足が勝手に震えて。
『下手くそな説明で分かりづらい。もう行け』
どっと篭が大きく揺れて悲鳴がこぼれそう。
口を両手で押さえて目を強くつぶりました。
多分、突き飛ばされたんだと思います。
『そのデカイ体が邪魔だ。早く出ろ』
『その箱に用があるんだから』
『全く、王女も気まぐれだ』
『あのチビッ子姫が入っているんだろ?妖精なんて言うけどただのガキだ。あー、俺ガキは趣味じゃねぇのに』
『俺もだよ。あんな小さくっちゃなぁ。入れたら腹まで破れるんじゃねぇか?』
『もう初物はめんどくせぇよ。血ぃ出るし暴れるし下手したら吐く。汚ねえ』
『はは、それが楽しいじゃないか』
『へ、まあね。めんどくせぇけど何してもいいからな。普通なら触れないような貴族令嬢に色々させんのはたまんねぇよなぁ、はは、』
『そうそう、死んでも顔を潰して外に捨てればいいってんだからね。グラッセ王女様々だ』
声が三人です。
私のことを話しているのは分かりました。
ウドルが足早にそこから走っています。
篭がゆさゆさ乱暴に揺れましたが、上に重なった布をしっかり巻き込んで震えてました。
この人達の話ぶりが怖くて震えが止まらなくて、涙を必死で堪えました。
意味が全て分かった訳じゃありません。
でもあの人達に捕まれば顔を潰されてどこかに捨てられる。
それだけは分かりました。
「うっ、ひっく……」
『スグに、逃がす』
泣くなと小さく励ます声がします。
やっぱりウドルは優しいです。
ありがとう、と答えました。
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