伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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顔が昨日より腫れました。

じんじんします。

治るまで部屋から出ないようにとサフィア様の言いつけです。

私に何度も叩かれただけですんだのねと確認して色々質問されましたが、私が分からなくてきょとんとしているととても喜んで泣いてました。

お話が分からなくて申し訳ありませんと謝るのにそれでいいと。

そのあとはこの顔を見られて邪推されたら堪らないから部屋に閉じ籠りです。

いつまでと尋ねると腫れが引くまでだそうです。

どんな邪推されるのですかと尋ねると知らなくていいのと仰います。

それからずっとお部屋の中で過ごしました。

湯あみも浴室を借りれずにここで簡単な洗髪と清拭。

サフィア様の侍女がお手伝いしてくれます。

サフィア様とお姉様はまだ来賓へのおもてなしで余程お忙しいようです。

時々、走り書きのお手紙がよく届きます。

お姉様からは一通だけ。

グラッセ王女の愚痴です。

“あなたの方がまし”

”あなた以上の馬鹿は初めて“

手紙を頂いたのは初めてです。

私に手紙で愚痴を言いたくなるほど大変なようです。

毎日顔を見に来るのはグレゴリオだけです。

「あの男はタフですね。もう起き上がって屋敷の手伝いをしています」

「え?!」

「痛み止もなしにです。貴族向けの部屋にいるより草木に囲まれている方が落ち着くそうです」

ずず、とヨルンガの淹れたお茶を飲んでのんびりと仰います。

「会えますか?」

「私が許可することではありません。サフィア様のご判断を」

ならまだ頬の赤みは引いてません。

病気療養と誤魔化していますので、この顔は見られないようにと釘を刺されていました。

「ヨルンガ、あとで様子を見てきて。お礼も」

ヨルンガは本当に次の日には包帯を外していつも通り。

髪の毛で隠れて傷は見えませんけど、いいのかなと心配です。

心配してグレゴリオにヨルンガはいいのかと問うと、男はこんなもんですよと軽く。

「女性と違います」

第四王子もあのくらい大丈夫とついでのように。

「上の王子達なんか軍に所属されているので傷と骨折ばかりです。怪我のひとつもしてやっと一人前。第四王子も男らしくなられた。それが婚約者のためなら陛下も納得されます」

我が国は今でこそ商業を中心としておりますが、少し前まで軍事国家でした。

他国からの侵略に抵抗するために先代の陛下が陣頭指揮を執って。

しかし追い払うのが難しく長引いた戦争に休戦協定を結び、今は商業でお互いの利益を循環させることで均衡を保っています。

その名残から陛下もロルフ様の上のお兄様も軍の訓練には熱心です。

背が伸びたロルフ様も参加されています。

扉のノックにサラが対応して使用人からリボンのついた薔薇と小包を受け取って持ってきました。

「リリィ様、婚約者様といつものお二方からです」

あとで見ると答えるとグレゴリオはもうお暇するからと立ち上がると薬箱を持って出ていきます。

「ではまた明日。大人しいなら苦いお薬はありませんので」

最後に釘を刺して。

いつも脅すから怖いです。
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