転生したらドラゴンに拾われた

hiro

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最果ての森編

49. 光と闇の魔法

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「ウィル君、そろそろ次の属性に移ろうか」

 ウィンドショットをしばらく練習していると、ライがそう言った。空気の圧縮もだいぶスムーズに出来るようになってきたし、次の属性を練習してみたいと思っていたところだったんだ。

「次は、光属性だよ。ライトの魔法は随分とアレンジしているようだし、これもスムーズに出来ると思うよ」

 そう言ってライは、『光弾ライトショット』と唱える。すると光がヒュンッと飛び、壁に当たる。···これ、おそらくだけど、ウィンドショットより速かったんじゃない?

「特徴は、この速さだよ。目に見えていても、対処が間に合わなければ意味がないからね。それから、光属性の魔法はアンデッドによく効くんだ。この辺りにはいないけど、いつか相手をしてみようね」

 にこやかな笑顔で恐ろしいお誘いをされたのだが、僕に拒否権はあるのだろうか。

「あと、闇属性もついでに説明しちゃうね。···『闇弾ダークショット』」

 ライの手から、黒いもやっとしたものが放たれる。スピードはそこまで速くないが、絶対に当たりたくないような、そんな感じがする。

「ダークショットに当たるとね、生き物なら弱体化、物質なら劣化の状態になるんだ。いつもより、当たった部分の動きにキレがなくなったり、体力を余計に消費したりするから、出来る限り当たりたくない魔法だね」

 ライが壁に近づきダークショットを当てた部分を指で突っつくと、ボロッと崩れた。
 出来る限りというか、全力で回避するよそんな魔法!

「回復の魔法かポーションで回復可能だから、万一に備えてポーションを持っておくといいよ。あ、この家にいる限り、万に一つもないと思うけどね」

 一生ヒッキーでもいいですか。
 僕が喋れたら、きっとそう零していたに違いない。

「ちなみに、ジルは闇属性が得意なんだよ。まあ、他の属性も驚くほどレベルが高いんだけどね。ジルもダークショット、撃ってくれない?」

「···ああ。『闇弾ダークショット』」

 ジルが放った黒いもやもやは、ライが作ったアースウォールの一つに着弾した。当たった、と思ったら、壁がサラサラと崩れて砂になった。···え、なにこれ凄いんですけど。
 ジルのダークショットの威力に、思わずぷるぷるする。静かなのに、もの凄い破壊力だ。なんか、かっこいい···!キラキラした目でジルを見る。

「ふふ、凄いよね。ちなみに、黒炎はこの闇属性と火属性の複合属性なんだよ」

 そうだったのか!あの静かで存在感のある魔法も、是非使えるようになりたい!

「ふふ、気に入ったみたいだね。それじゃあ早速、練習してみようか」

 わくわくした気持ちで、練習に取り掛かる。

 先にダークショットの練習になったのは、仕方のないことだ。だってジルの魔法、かっこいいからね!
 
 練習を始めて分かったのだが、闇属性というのが、どうもイメージが難しい。火とか水なら分かりやすいが、闇って抽象的な感じがするし、それが弱体化の特徴を持つというのが、理解し辛かった。これは多分、前世には無かった現象だからだろう。ライやジルにアドバイスを貰いながら、なんとか発動は出来るようになった。

 この日の練習では、残念ながらアースウォールをサラサラと崩すには至らなかったが、叩けば壊れるくらいにまでは劣化させられるようになった。
 今までは改良を加えていたけど、これにはすでに目指す形があるからね!もっと練習して、サラサラ崩しを目指すんだ。

「ふふ、ウィル君、ダークショットに夢中のようだけど、ライトショットもあるよ?」

 あ、忘れてた。どの属性も、ちゃんと練習しないとね。

 ライが見せてくれたように、光の弾をヒュンッと飛ばして壁に当てる。
 うーん、光の攻撃力って、どうやったら強くなるのだろうか。光のエネルギーを大きくすればいいと思うのだけど、それには···あ、波長だっけ?物理の授業で習ったような気がする。確か、ラジオ波は波長が長くて、エックス線は短いんだよな。ということは、波長が短い、つまり振動が速いと強くなるんだ!
 辛うじて思い出した知識をもとに、イメージを固めていく。短い波が、高速で振動しているんだ。

「『光弾りゃいとしょっと』」

 そう唱えた瞬間、ちゅどん、と音がして、壁が爆発した。ジルが咄嗟にシールドを張って、こちらにまで飛び散る土壁の欠片を防いでくれた。
 予想を遥かに上回る結果に、冷や汗が出る。

「···あ、あれ?何が起こったのかな?」

 ライが混乱している。
 僕も、混乱している。だって、光が見えなかったんだ。目で追えない速さとかではなくて、本当に何も見えなかったんだ。
 なぜだ?波長をいじったから?···あ、きっとそのせいだ。波長を短くし過ぎて、可視光じゃなくなったんだ。こ、これは説明し辛いぞ。僕自身、あまり詳しくないんだ。

 僕はとりあえず、笑って誤魔化すことにした。

「ただでさえ速度は光に劣るのに···。不可視の、風の優位は···?」

 ライがサラサラと崩れそうになっていた。





 名前:ウィル

 種族:人族ヒューマン
 年齢:1
 レベル:34

 スキル:成長力促進、言語理解、魔力操作、魔力感知
 魔法:土弾アースショットライト土壁アースウォール水弾ウォーターショット火弾ファイアショット風弾ウィンドショット闇弾ダークショット光弾ライトショット
 耐性:

 加護:リインの加護
 称号:異世界からの転生者、黒龍帝の愛息子、雷帝の愛弟子
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