9 / 51
ドローン鬼ごっこ
しおりを挟む
「鬼ごっこ? ガキかよっ」
ホンマが不機嫌に呟いた。
確かに、誰がそんなゲームで喜ぶんだ。
「へ~おもしろそ~」
アカネちゃんは楽しそうだけど……。
「いや、むずいっしょ。ドローンめっちゃ早いよ」
ツカサさんは不安気に否定する。
「かくれんぼじゃないだけ脈がありそうですけどね」
オオバさんが謎の比較を持ち出すから
俺は「確かに、この建物に隠れる場所なんてなさそうだし」と乗ってあげた。
「パイプベッドや10億が入ったこの箱の下なら隠れられるかな」
アンジさんも乗っかったけれど、鬼ごっこでもその方法は有効かもしれないと数人が頷き、それぞれの考えを口に出してゲームを想像した。
ドローンから逃げるゲームか、どこかで聞いたことある企画だけれど、ツカサさんの言う通り、ドローンは早い。時速100km超えの飛行も今じゃ珍しくないと聞く。
そんなのから逃げ切れるのか?
『制限時間は1時間
時間内にドローンに捕まって爆破されたら負けです』
「「爆破っ?」」
俺とサトシさんは声を合わせて叫んだ。
「爆破ってなんだよ」
キレ気味なホンマの言葉に不穏な空気が立ち込める。
賞金10億、普通のゲームじゃないことは覚悟していたけど、爆破は流石に……。
『まずはデモンストレーションをご覧ください』
アバターのアナウンスの後、10億円が降りてきた天井から人の形をした物が吊り下げられてきた。
人形? どこかでみたことあるぞ。
「衝突実験用ダミー人形だね」
アンジさんが得意げに言った。
「あー車の事故実験で使うやつだ。テレビで見たことありますよ」
アカネちゃんが反応し、俺も頷いた。
それを追うように1機のドローンが現れ、ホバリングを始めた。
ドローンの大きさはA4用紙くらいか?
4枚のプロペラが回る不快な風切り音で耳が痛い。
よく見ると、機体の下の部分に爪の様なアームが付いている。
ダミー人形が地上近くまで降ろされた瞬間、ドローンが飛行を始めてダミー人形に近づいた。
ドローンはダミー人形の背中部分で止まると、機体を垂直に傾けアームを開いてダミー人形に接触し、アームを脇腹に回し閉じ、人形をしっかりとホールドした。
するとドローンの機体上部に1桁の7セグメントLEDが表示されカウントダウンを始めた。
「離れた方がいいかもしれない」
オオバさんの掛け声で、みんなダミー人形との距離を取った。
9,8,7,6,5,4,3,2,1,0
バンッ。
大きくはないが確かな爆発音が轟いた。
風切り音は止み、ドローンからは白煙が立ち上っている。
「ヒッ……」
ダミー人形の背中が見える位置に立っていたトキネさんの悲鳴にならない声が漏れた。
ガシャンというドローンが地面に落ちる音がして俺も人形の背中を確認しに行く。
「マジかよ」
ホンマの舌打ちに数名が声を殺すように口に手をあてた。
ダミー人形の背中が黒く抉れていた。
人の皮膚に見立てた背中の外装は焼けただれ、異臭が漂っている。
『それではお楽しみください』
アバターのアナウンス後。
4枚のプロペラが起こす不快な風切り音が天井から降りてきた。
「キャーーーー」
「ヤバイッ」
「逃げろぉー」
抑えていた誰かの悲鳴が号令となって、みんな一斉に走り出した。
ドローンに捕まったら確実に死ぬ。
体の震えを振り払うように、俺も必死に駆け出した。
ホンマが不機嫌に呟いた。
確かに、誰がそんなゲームで喜ぶんだ。
「へ~おもしろそ~」
アカネちゃんは楽しそうだけど……。
「いや、むずいっしょ。ドローンめっちゃ早いよ」
ツカサさんは不安気に否定する。
「かくれんぼじゃないだけ脈がありそうですけどね」
オオバさんが謎の比較を持ち出すから
俺は「確かに、この建物に隠れる場所なんてなさそうだし」と乗ってあげた。
「パイプベッドや10億が入ったこの箱の下なら隠れられるかな」
アンジさんも乗っかったけれど、鬼ごっこでもその方法は有効かもしれないと数人が頷き、それぞれの考えを口に出してゲームを想像した。
ドローンから逃げるゲームか、どこかで聞いたことある企画だけれど、ツカサさんの言う通り、ドローンは早い。時速100km超えの飛行も今じゃ珍しくないと聞く。
そんなのから逃げ切れるのか?
『制限時間は1時間
時間内にドローンに捕まって爆破されたら負けです』
「「爆破っ?」」
俺とサトシさんは声を合わせて叫んだ。
「爆破ってなんだよ」
キレ気味なホンマの言葉に不穏な空気が立ち込める。
賞金10億、普通のゲームじゃないことは覚悟していたけど、爆破は流石に……。
『まずはデモンストレーションをご覧ください』
アバターのアナウンスの後、10億円が降りてきた天井から人の形をした物が吊り下げられてきた。
人形? どこかでみたことあるぞ。
「衝突実験用ダミー人形だね」
アンジさんが得意げに言った。
「あー車の事故実験で使うやつだ。テレビで見たことありますよ」
アカネちゃんが反応し、俺も頷いた。
それを追うように1機のドローンが現れ、ホバリングを始めた。
ドローンの大きさはA4用紙くらいか?
4枚のプロペラが回る不快な風切り音で耳が痛い。
よく見ると、機体の下の部分に爪の様なアームが付いている。
ダミー人形が地上近くまで降ろされた瞬間、ドローンが飛行を始めてダミー人形に近づいた。
ドローンはダミー人形の背中部分で止まると、機体を垂直に傾けアームを開いてダミー人形に接触し、アームを脇腹に回し閉じ、人形をしっかりとホールドした。
するとドローンの機体上部に1桁の7セグメントLEDが表示されカウントダウンを始めた。
「離れた方がいいかもしれない」
オオバさんの掛け声で、みんなダミー人形との距離を取った。
9,8,7,6,5,4,3,2,1,0
バンッ。
大きくはないが確かな爆発音が轟いた。
風切り音は止み、ドローンからは白煙が立ち上っている。
「ヒッ……」
ダミー人形の背中が見える位置に立っていたトキネさんの悲鳴にならない声が漏れた。
ガシャンというドローンが地面に落ちる音がして俺も人形の背中を確認しに行く。
「マジかよ」
ホンマの舌打ちに数名が声を殺すように口に手をあてた。
ダミー人形の背中が黒く抉れていた。
人の皮膚に見立てた背中の外装は焼けただれ、異臭が漂っている。
『それではお楽しみください』
アバターのアナウンス後。
4枚のプロペラが起こす不快な風切り音が天井から降りてきた。
「キャーーーー」
「ヤバイッ」
「逃げろぉー」
抑えていた誰かの悲鳴が号令となって、みんな一斉に走り出した。
ドローンに捕まったら確実に死ぬ。
体の震えを振り払うように、俺も必死に駆け出した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる