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レイヴン辺境伯領の息子
#6
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「さてと。じゃあ、本題に入ろうか。
アシュとルトはそちらに座りなさい。」
息子たちを愛称で呼び、ソファに座るよう促す。
セバスはお茶の用意をするため一度、部屋を出て行った。
レインとクロスはそれぞれの主のそばで楽な体勢をとる。
「それで父上、アシュに用事とはいったいなんです?」
「それ、俺も気になるよ、父さま。」
「用事というかアシュは一月後には6歳となるわけだがそろそろ生誕祭のパーティーの一つでも開かないかい?
ルトとリアも貴族間の交流も兼ねてやっているし、
流石に息子はいるのに表にまったくでないというのもそろそろ難しくてね。」
「うぅ……、だって、人付き合いとかめんどいし。
俺はパーティーより森とかで遊んでる方が好きだもん。
それに………」
「『それに』なんだい?」
「それに母さまは出れないんだろ………
俺は俺の生誕祭のパーティーを母さまと一緒に祝えないのはいやだ………」
「それは……、確かに難しいね………
あくまで表向きとしてアシュは私の息子としてお披露目をするから母親として出席するのは私の妻であるリコになる。
だが、親族としては出席できるし、それでは駄目かい?」
「んぅ…………」
アトシュも頭では分かっているのだ。
しかし、頭で理解しても心では納得できない。
「アシュ、不本意だろうが納得してくれ。」
「…………分かった。」
「アシュ、納得してなさそうだね?
とりあえず、生誕祭のパーティーはやるとして身内だけのは別に行えばいいんじゃないかな?」
「うん、分かった。我慢する……。」
「よし。いい子だ。」
隣に座るアトシュの頭をなでながらアサルトが言う。
その光景はまさしく兄と弟の姿そのものだった。
「さて、アシュの生誕パーティーについてはこれでいいとして。
もう一つの話として学園のことについてなんだけど………」
「それは決まってます。
俺は王都の学園ではなく、隣国 サンライト皇国の学園に行きます!!」
「アシュ……。
せめて最後まで言わせてくれ………」
先程のパーティーの件で沈んでいたのに態度が一変し、ウィリアムの言葉を遮って力強く宣言するアトシュ。
「やっぱり。そうくると思った。」
『うむ。さすがアトシュよな。』
『わるい。ウィリアム………』
アトシュの応えが予想できていた面々がそれぞれの反応を示す。
上からアサルト、クロス、レインの順だ。
「私もだいたい予想していたがこうもはっきり言われるとなぁ……
アシュ、どうしてもかい?」
「どうしてもです。
父さまがなんと言おうと俺は王都には極力 行きたくありません!!」
「はぁ……。」
アトシュの意志は固い。
絶対に考えを改めることがないと分かり、またも無意識にウィリアムはため息をつく。
どうにかできないか………
部屋の中にいるもう1人の息子に視線を向ける。
その視線に気づいた息子 アサルトは
「父上、何事も諦めが肝心ですよ。」
説得する前に白旗宣言を勧められた。
「まぁ、分かっていたからこそルトをサンライト皇国の学園に通わせていたわけだが。
本来ならリアのように王都の学園へ行って欲しいというのが私の希望だったけれど諦めるよ。」
「ありがとうございます!
父さま、大好きです!!」
『良かったな、アシュ!』
「うん♪」
嬉しそうにウィリアムに礼を言い、レインと話しているアトシュ。
そんなアトシュを見て
「はぁ……、すごくいい笑顔だな………。
あいつになんて言ったらいいんだ………。」
「叔父上ですか?」
「あぁ。
アシュが学園に通うようになれば少なくともここよりは会える可能性が格段に上がるからね。
それはもう楽しみにしているようなんだよ。
だから、アシュが隣国の学園に通うつもりだということを伝えたらどうなるか………」
「しかし、父上、元はと言えば叔父上のせいですし、仕方ないのでは?」
「そうなんだよ。そこなんだよなぁ。
せめてもう少し出会い方が違えば良かったんだろけど………
やっぱり、まだ、ムリかな?」
「さぁ? 僕のことではありませんのでなんとも。
直接、アシュに聞いてみてはいかがです?」
「そうするよ………」
ウィリアムはアサルトと話している間も嬉しそうにレインやクロスに話しかけているアトシュに視線をもどす。
そして………
「アシュ。ひとつ質問なんだが。」
「なんです? 父さま。」
「まぁ、何回もしてきた質問なんだけど………」
「…………」
[何回もしてきた質問]というワードで何を聞かれるか分かったのかアトシュはムッとした不機嫌そうな顔になる。
「アシュ………。
まだ何も言ってないのにその顔かい………?」
「だって、父さまの言おうとしてること分かったから。」
「はぁ……、じゃあ、私もアシュの答えは分かってはいるけどそれでも質問だ。
アシュ いやアトシュ。
アトシュはアルトのことをどう思っているかい?」
「父さま。
俺はレイヴン辺境伯である父さまの息子です!」
「うん、まぁ、それは分かったから………
そうじゃなくてだな………」
「俺はあの人のことがはっきり言って苦手です。
だから、俺はレイヴン辺境伯の息子です!!」
力強く自分の息子だと断言するアトシュに嬉しい気持ちが半分。
そして、もう半分は頑なに実の父親のことを苦手だというアトシュ。
そのことをアトシュの実の父親である自身の弟にどう説明したらいいのかわからないそんな気持ちになる
レイヴン辺境伯 ウィリアムだった。
アシュとルトはそちらに座りなさい。」
息子たちを愛称で呼び、ソファに座るよう促す。
セバスはお茶の用意をするため一度、部屋を出て行った。
レインとクロスはそれぞれの主のそばで楽な体勢をとる。
「それで父上、アシュに用事とはいったいなんです?」
「それ、俺も気になるよ、父さま。」
「用事というかアシュは一月後には6歳となるわけだがそろそろ生誕祭のパーティーの一つでも開かないかい?
ルトとリアも貴族間の交流も兼ねてやっているし、
流石に息子はいるのに表にまったくでないというのもそろそろ難しくてね。」
「うぅ……、だって、人付き合いとかめんどいし。
俺はパーティーより森とかで遊んでる方が好きだもん。
それに………」
「『それに』なんだい?」
「それに母さまは出れないんだろ………
俺は俺の生誕祭のパーティーを母さまと一緒に祝えないのはいやだ………」
「それは……、確かに難しいね………
あくまで表向きとしてアシュは私の息子としてお披露目をするから母親として出席するのは私の妻であるリコになる。
だが、親族としては出席できるし、それでは駄目かい?」
「んぅ…………」
アトシュも頭では分かっているのだ。
しかし、頭で理解しても心では納得できない。
「アシュ、不本意だろうが納得してくれ。」
「…………分かった。」
「アシュ、納得してなさそうだね?
とりあえず、生誕祭のパーティーはやるとして身内だけのは別に行えばいいんじゃないかな?」
「うん、分かった。我慢する……。」
「よし。いい子だ。」
隣に座るアトシュの頭をなでながらアサルトが言う。
その光景はまさしく兄と弟の姿そのものだった。
「さて、アシュの生誕パーティーについてはこれでいいとして。
もう一つの話として学園のことについてなんだけど………」
「それは決まってます。
俺は王都の学園ではなく、隣国 サンライト皇国の学園に行きます!!」
「アシュ……。
せめて最後まで言わせてくれ………」
先程のパーティーの件で沈んでいたのに態度が一変し、ウィリアムの言葉を遮って力強く宣言するアトシュ。
「やっぱり。そうくると思った。」
『うむ。さすがアトシュよな。』
『わるい。ウィリアム………』
アトシュの応えが予想できていた面々がそれぞれの反応を示す。
上からアサルト、クロス、レインの順だ。
「私もだいたい予想していたがこうもはっきり言われるとなぁ……
アシュ、どうしてもかい?」
「どうしてもです。
父さまがなんと言おうと俺は王都には極力 行きたくありません!!」
「はぁ……。」
アトシュの意志は固い。
絶対に考えを改めることがないと分かり、またも無意識にウィリアムはため息をつく。
どうにかできないか………
部屋の中にいるもう1人の息子に視線を向ける。
その視線に気づいた息子 アサルトは
「父上、何事も諦めが肝心ですよ。」
説得する前に白旗宣言を勧められた。
「まぁ、分かっていたからこそルトをサンライト皇国の学園に通わせていたわけだが。
本来ならリアのように王都の学園へ行って欲しいというのが私の希望だったけれど諦めるよ。」
「ありがとうございます!
父さま、大好きです!!」
『良かったな、アシュ!』
「うん♪」
嬉しそうにウィリアムに礼を言い、レインと話しているアトシュ。
そんなアトシュを見て
「はぁ……、すごくいい笑顔だな………。
あいつになんて言ったらいいんだ………。」
「叔父上ですか?」
「あぁ。
アシュが学園に通うようになれば少なくともここよりは会える可能性が格段に上がるからね。
それはもう楽しみにしているようなんだよ。
だから、アシュが隣国の学園に通うつもりだということを伝えたらどうなるか………」
「しかし、父上、元はと言えば叔父上のせいですし、仕方ないのでは?」
「そうなんだよ。そこなんだよなぁ。
せめてもう少し出会い方が違えば良かったんだろけど………
やっぱり、まだ、ムリかな?」
「さぁ? 僕のことではありませんのでなんとも。
直接、アシュに聞いてみてはいかがです?」
「そうするよ………」
ウィリアムはアサルトと話している間も嬉しそうにレインやクロスに話しかけているアトシュに視線をもどす。
そして………
「アシュ。ひとつ質問なんだが。」
「なんです? 父さま。」
「まぁ、何回もしてきた質問なんだけど………」
「…………」
[何回もしてきた質問]というワードで何を聞かれるか分かったのかアトシュはムッとした不機嫌そうな顔になる。
「アシュ………。
まだ何も言ってないのにその顔かい………?」
「だって、父さまの言おうとしてること分かったから。」
「はぁ……、じゃあ、私もアシュの答えは分かってはいるけどそれでも質問だ。
アシュ いやアトシュ。
アトシュはアルトのことをどう思っているかい?」
「父さま。
俺はレイヴン辺境伯である父さまの息子です!」
「うん、まぁ、それは分かったから………
そうじゃなくてだな………」
「俺はあの人のことがはっきり言って苦手です。
だから、俺はレイヴン辺境伯の息子です!!」
力強く自分の息子だと断言するアトシュに嬉しい気持ちが半分。
そして、もう半分は頑なに実の父親のことを苦手だというアトシュ。
そのことをアトシュの実の父親である自身の弟にどう説明したらいいのかわからないそんな気持ちになる
レイヴン辺境伯 ウィリアムだった。
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