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囲い人(大和)
#22
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「俺はナツメを手放したくない。だからこそ逃げられる可能性がある以上外に出す気はない。」
情報屋として自身の存在を誰にも掴ませていなかったナツメだ、逃げられればどこに雲隠れされるかわかったものではない。
「まぁ、確かに。逃げられれば捜索にはかなりの人手を割くことになるのは想像できますね。
我々も噂程度のことしか情報屋のナツメについて知りませんでしたから。」
ナツメの噂は聞くが姿を現わすことなく、容姿については調べても分からなかったからな。
その点、あの日見つけ、囲い込むことができたのは幸運だったのだろうな。
そんなことを考えていると
「ですが、あまり束縛し過ぎるとかえって本気で逃げられるのではないですか?」
「どういうことだ?」
「ですから、不自由過ぎて不満やストレスが溜まり、こちらが予想もしていなかった行動を起こす可能性もでてくるということです。
人間、死にものぐるいでやればなんでできるとよくいわれているでしょう?
自由がなさすぎるのは余計に反発行為を助長するだけですよ。
適度にガス抜きというか自由を与えてはどうです?」
たしかに、ナツメはもともと気が強く、俺に恐れを抱くことがなく、直球的な物言いをすることが多い。このままナツメの希望を却下し続ければ椎名が言うような行動にでる可能性は高い。
だが、それでももしナツメがいなくなったらという不安が消えず、決めきれない。
俺はどうすればいいのか…………
そんな風に考えを巡らせていると
バンッと部屋の扉が勢いよく開かれた。
「アニキ!」
と扉を開けた勢いのまま俺のことを呼び、部屋に入ってくる。
俺は声をかけようとしたがそれより早く椎名が行動にでた。
部屋に入ってきた人物の頭を引っ叩き言葉をかける。
「毎回、ノックくらいしろと言ってますよね?
この頭は飾りですか?あなたそれでも若頭補佐ですか?」
「いってぇなー、何すんだよ!毎回、叩きやがって!いいかげんにしろよ!」
「それは、あなたが何度言ってもノックもせずに入ってくるからでしょう?教育的指導ですよ。
私としては感謝されこそすれ怒られる筋合いはないと思うのですが。」
「なんだと!!だいたいおまえは……」
そのやりとりに毎度のことながらなんでこうもこいつらは仲がこうまで悪いんだ?
仕事のことならこいつら優秀で頼りなるのにそれ以外で2人が顔を合わせると喧嘩しているところしか見てない気がするが………
まぁ、とりあえずとめるか……
「そこまでだ!椎名。」
「でもよ、アニキ……」
「ですが、若……」
2人同時に俺に話しかけようとする。
変なところで息が合うんだよな、こいつら。
だが、今回は俺の言い方が悪かったな。
「和泉、相模。おまえらの言い合いはいつものことだがいいかげんにしろ。
兄弟なんだからどうにかならないのかそれは?」
情報屋として自身の存在を誰にも掴ませていなかったナツメだ、逃げられればどこに雲隠れされるかわかったものではない。
「まぁ、確かに。逃げられれば捜索にはかなりの人手を割くことになるのは想像できますね。
我々も噂程度のことしか情報屋のナツメについて知りませんでしたから。」
ナツメの噂は聞くが姿を現わすことなく、容姿については調べても分からなかったからな。
その点、あの日見つけ、囲い込むことができたのは幸運だったのだろうな。
そんなことを考えていると
「ですが、あまり束縛し過ぎるとかえって本気で逃げられるのではないですか?」
「どういうことだ?」
「ですから、不自由過ぎて不満やストレスが溜まり、こちらが予想もしていなかった行動を起こす可能性もでてくるということです。
人間、死にものぐるいでやればなんでできるとよくいわれているでしょう?
自由がなさすぎるのは余計に反発行為を助長するだけですよ。
適度にガス抜きというか自由を与えてはどうです?」
たしかに、ナツメはもともと気が強く、俺に恐れを抱くことがなく、直球的な物言いをすることが多い。このままナツメの希望を却下し続ければ椎名が言うような行動にでる可能性は高い。
だが、それでももしナツメがいなくなったらという不安が消えず、決めきれない。
俺はどうすればいいのか…………
そんな風に考えを巡らせていると
バンッと部屋の扉が勢いよく開かれた。
「アニキ!」
と扉を開けた勢いのまま俺のことを呼び、部屋に入ってくる。
俺は声をかけようとしたがそれより早く椎名が行動にでた。
部屋に入ってきた人物の頭を引っ叩き言葉をかける。
「毎回、ノックくらいしろと言ってますよね?
この頭は飾りですか?あなたそれでも若頭補佐ですか?」
「いってぇなー、何すんだよ!毎回、叩きやがって!いいかげんにしろよ!」
「それは、あなたが何度言ってもノックもせずに入ってくるからでしょう?教育的指導ですよ。
私としては感謝されこそすれ怒られる筋合いはないと思うのですが。」
「なんだと!!だいたいおまえは……」
そのやりとりに毎度のことながらなんでこうもこいつらは仲がこうまで悪いんだ?
仕事のことならこいつら優秀で頼りなるのにそれ以外で2人が顔を合わせると喧嘩しているところしか見てない気がするが………
まぁ、とりあえずとめるか……
「そこまでだ!椎名。」
「でもよ、アニキ……」
「ですが、若……」
2人同時に俺に話しかけようとする。
変なところで息が合うんだよな、こいつら。
だが、今回は俺の言い方が悪かったな。
「和泉、相模。おまえらの言い合いはいつものことだがいいかげんにしろ。
兄弟なんだからどうにかならないのかそれは?」
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