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準備 1
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予知が視えてから最初にしたのは、自分の拠点を確保することだった。
「漆黒の闇」から抜けた後のことを考えると、念のため安全な場所を確保しておきたい。
奴らは僕の持っているものはすべて搾取するだろう。
今までずっとそうだったように。
拠点を確保するにしても、他の村や町に拠点を構える程長い期間奴らから離れることは難しい。
町の中では、関わった人に裏切られて、拠点と僕の命ごと奪われかねない。
希望としては他の町や国に拠点を持ちたいが、現状不可能だ。
となると、僕の予知を使って、森の深い位置に拠点にできる場所がないか探してみよう。
予知で安全なルートを進む。
町のすぐ近くにある森は、浅い所にはめったに魔物は出ないが、奥に進んで行くとAランクの魔物が出るほど危険な森になる。
安全な最短ルートで、半日かけて良さげな洞窟を見つける。
僕が生まれつき持っているスキルは【予知】。
意識的にも無意識的にも予知ができる、希少なスキルだ。
「本当に予知のスキルがあれば、国が貴族様並みの待遇で大切にしてくれるぞ。大金持ちだな。」
と、両親に笑われた。
両親が破滅して以来、僕は自分のスキルのことを誰にも話していない。
この世界では、スキルを持って生まれてこない子供が多い。
生きていく過程で、スキルを取得していくことがほとんどだ。
そう。この世界では、スキルは後天的に取得できるものなのだ。
スキルを取得すると、自分の中にあるスキルを感じることができるようになる。
意識的に予知ができる僕は、意識的にスキルを取得した未来の自分を視ることができる。
ただし、すべてのスキルを取得できる訳ではない。
自分が取得できるスキルについてだけ、予知を視ることができる。
このことに気付いてから、存在を知ったスキルは片っ端から予知をしている。
取得できないスキルには、予知は反応しない。
中にはぼんやりとした色の混ざった靄の中に少し影が視えるだけの予知がある。
これは取得可能だが、ずっと未来になることを示している。
鮮明に予知できるものは、視たとおりの手順でスキルを取得する。
村を出てから繰り返し行ってきた、僕のもう一つの秘密だ。
小さい頃から憧れている魔法だが、これは何度予知をしても取得できる自分が視えない。
ゆえに、魔法を使える仲間を作る。
「テイム」
テイムする時は、予知して、闘って服従させることなくテイムできる方法を視る。
今テイムしたのは、土魔法が使えるもぐらの姿を持つ精霊だ。
こいつらはだいたい食いしん坊で、美味しいものを欲していることが多い。
魔素の濃い森の中では、人間が畑で作るような植物は存在しない。
そこで、少し値の張る果物の種を交換条件で与えたのだ。
僕が種を与える代わりに、洞窟の中を整えて、洞窟の入り口に蓋をする。
契約獣として連れ歩くのではなく、この拠点を守るためだけの契約で、僕が呼んだ時だけ来てもらう。
モグと名付け、洞窟のことをお願いして、一旦町に戻る。
これで貴重な休日が1日潰れてしまった。
次の休みには1人でダンジョンに潜り、宝箱の中にあるマジックバックを手に入れるつもりだ。
1人でも、低ランクのダンジョンであれば、戦闘を避けて最短距離で宝箱まで辿り着ける。
マジックバックは、見た目の容量の数倍から無限に入れられるものまで存在するらしい。
「漆黒の闇」で使われているパーティー用のマジックバックは馬1頭分くらいの大きさしか入らず、我儘トリオの荷物を減らすのに苦労している。
無限収納のマジックバックはを使用している自分は視ることができたが、それがどこのダンジョンにある宝箱に入っているマジックバックなのか予知では分からないため、今把握しているものをすべて手に入れるつもりだ。
使わない分は売ればいいお金になる。
近場の低ランクダンジョンでも、隠し部屋の中に未発見の宝箱が意外と存在していて、マジックバックも今分かるだけで4個もある。
「時間さえあればな・・・」
「漆黒の闇」の休日は多いが、分け前が少ないライトは休日も働かないと食べていけない。
今は欲張らず、必要最低限の物を手に入れ、自分の身と財産を守ろう。
「予知はあるけど、闘える仲間が欲しいな。」
モグのように一時的なテイムではなく、ずっと一緒に居られる仲間をテイムできないだろうか。
ぼんやりとした予知が視える。
「今じゃないけど、仲間はできるってことか。」
ちょっと嬉しくなった僕は、町への帰還を急ぐのだった。
「漆黒の闇」から抜けた後のことを考えると、念のため安全な場所を確保しておきたい。
奴らは僕の持っているものはすべて搾取するだろう。
今までずっとそうだったように。
拠点を確保するにしても、他の村や町に拠点を構える程長い期間奴らから離れることは難しい。
町の中では、関わった人に裏切られて、拠点と僕の命ごと奪われかねない。
希望としては他の町や国に拠点を持ちたいが、現状不可能だ。
となると、僕の予知を使って、森の深い位置に拠点にできる場所がないか探してみよう。
予知で安全なルートを進む。
町のすぐ近くにある森は、浅い所にはめったに魔物は出ないが、奥に進んで行くとAランクの魔物が出るほど危険な森になる。
安全な最短ルートで、半日かけて良さげな洞窟を見つける。
僕が生まれつき持っているスキルは【予知】。
意識的にも無意識的にも予知ができる、希少なスキルだ。
「本当に予知のスキルがあれば、国が貴族様並みの待遇で大切にしてくれるぞ。大金持ちだな。」
と、両親に笑われた。
両親が破滅して以来、僕は自分のスキルのことを誰にも話していない。
この世界では、スキルを持って生まれてこない子供が多い。
生きていく過程で、スキルを取得していくことがほとんどだ。
そう。この世界では、スキルは後天的に取得できるものなのだ。
スキルを取得すると、自分の中にあるスキルを感じることができるようになる。
意識的に予知ができる僕は、意識的にスキルを取得した未来の自分を視ることができる。
ただし、すべてのスキルを取得できる訳ではない。
自分が取得できるスキルについてだけ、予知を視ることができる。
このことに気付いてから、存在を知ったスキルは片っ端から予知をしている。
取得できないスキルには、予知は反応しない。
中にはぼんやりとした色の混ざった靄の中に少し影が視えるだけの予知がある。
これは取得可能だが、ずっと未来になることを示している。
鮮明に予知できるものは、視たとおりの手順でスキルを取得する。
村を出てから繰り返し行ってきた、僕のもう一つの秘密だ。
小さい頃から憧れている魔法だが、これは何度予知をしても取得できる自分が視えない。
ゆえに、魔法を使える仲間を作る。
「テイム」
テイムする時は、予知して、闘って服従させることなくテイムできる方法を視る。
今テイムしたのは、土魔法が使えるもぐらの姿を持つ精霊だ。
こいつらはだいたい食いしん坊で、美味しいものを欲していることが多い。
魔素の濃い森の中では、人間が畑で作るような植物は存在しない。
そこで、少し値の張る果物の種を交換条件で与えたのだ。
僕が種を与える代わりに、洞窟の中を整えて、洞窟の入り口に蓋をする。
契約獣として連れ歩くのではなく、この拠点を守るためだけの契約で、僕が呼んだ時だけ来てもらう。
モグと名付け、洞窟のことをお願いして、一旦町に戻る。
これで貴重な休日が1日潰れてしまった。
次の休みには1人でダンジョンに潜り、宝箱の中にあるマジックバックを手に入れるつもりだ。
1人でも、低ランクのダンジョンであれば、戦闘を避けて最短距離で宝箱まで辿り着ける。
マジックバックは、見た目の容量の数倍から無限に入れられるものまで存在するらしい。
「漆黒の闇」で使われているパーティー用のマジックバックは馬1頭分くらいの大きさしか入らず、我儘トリオの荷物を減らすのに苦労している。
無限収納のマジックバックはを使用している自分は視ることができたが、それがどこのダンジョンにある宝箱に入っているマジックバックなのか予知では分からないため、今把握しているものをすべて手に入れるつもりだ。
使わない分は売ればいいお金になる。
近場の低ランクダンジョンでも、隠し部屋の中に未発見の宝箱が意外と存在していて、マジックバックも今分かるだけで4個もある。
「時間さえあればな・・・」
「漆黒の闇」の休日は多いが、分け前が少ないライトは休日も働かないと食べていけない。
今は欲張らず、必要最低限の物を手に入れ、自分の身と財産を守ろう。
「予知はあるけど、闘える仲間が欲しいな。」
モグのように一時的なテイムではなく、ずっと一緒に居られる仲間をテイムできないだろうか。
ぼんやりとした予知が視える。
「今じゃないけど、仲間はできるってことか。」
ちょっと嬉しくなった僕は、町への帰還を急ぐのだった。
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