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追放直前

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3週間ぶりに僕がパーティーハウスに戻ると、ボルトの感を取り戻すために、Eランクダンジョンを踏破しに行こうという話が、僕を除いたパーティーメンバーの間で決まっていた。

準備でき次第出発するから、攻略に必要なものを用意しろと、 からのパーティーのマジックバックを渡された。
渡されたお金では買えない量の、食料やポーションの調達を言い渡された。

「無理だよ。これじゃ2日分の食料も買えないよ。」

「俺の治療に金がかかり過ぎたんだよ。お前ギルドに貯め込んでんだろ?このダンジョンを踏破して稼いだ金から払ってやるから、立て替えとけや。」

「そうね。ライトはお金持ってるものね。カリアと結婚するために貯めてるんでしょ?」

そう言ってルウナがいやらしい笑みを浮かべる。

「・・・分かったよ。」

これで最後だ。
このダンジョンを踏破した翌日、僕はクビになる。

ということは、キースさんは上手く「漆黒の闇」に入り込む手筈を整えたということだ。
最後に会いたかったかも。

そう思いながら、僕は冒険者ギルドに行って、すべての預かり金を受け取った。
預けた額の10分の1もなかった。
ボルトに言われたものが、ぎりぎり買える金額だった。

次に商業ギルドに行き、すべての預かり金を受け取り、鞄に入れる振りをして腕輪マジックバックに入れる。

パーティーハウスの一番狭い部屋にある僕の部屋のものは、一切腕輪には入れない。
僕の持ちものは、すべてボルトたちが把握しているからだ。
僕が彼らの企みを知っていることに、気付かれてはいけない。

更にアースたちとダンジョンで手に入れたもので、目を付けられることがないくらい価値が低めのものだけを、スラム街にある違法な店で売って、お金を得ることにした。

僕と分からないように、キースさんと会うために購入したフード付きのローブを着て、ダンジョンで得た偽装の指輪を着け、姿を変えてスラムにある店に向かった。

店の存在は噂で聞いただけだったけれど、店は噂通りの場所にあり、店に入ってから出るまで、一言の会話をすることもなく、買い取りは終了した。

パーティーのダンジョン後略の準備のついでに、自分たちの旅に必要だと思われるものも買い込む。
いつもより買う量が少し多いな、携帯品の買い直しか、くらいにしか思われないだろう。

自分の買い物は主に、料理に必要な鍋等の調理器具や食器や調味料と、森や川で調達することが難しいであろう食品類だ。
精霊たちは小麦は作れても、小麦粉は作れないと思うんだよなぁ。
後はみんながいてくれれば、なんとかなる気がする。
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