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そして、異世界人になる
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しおりを挟む「いない…」
事情を説明しようと朝やまとさんの部屋に行ったがいない。ベッドにも何処にも…護衛にも聞いたが出ていった様子はない。特殊な能力をお持ちでいなくなってしまったかもしれない…王に聞いてみなければ。
「王!」
「なんだ」
「やまとさんは特殊な能力はお持ちですか?」
「いや、見たことはないが。なんだ」
「…申し訳ございません。今部屋に伺いましたが見当たらず城内を探し中です」
「…出せ」
「謹慎処分中で無理です」
「……。」
「こちらは任せて下さい、でわ失礼します」
どこへ消えたんだやまとさんは
護衛を集め近場を探させるがどこにもいない。私には無事にあちらに帰す責務がある。それにあんな格好で出られたら大惨事だ。
もう一度部屋に戻って調べなおすか。部屋に何人か護衛が集まって…ん?
「王!!謹慎処分のはず」
「緊急事態は別だ。で、やまとを護衛していた者は」
「はい、私です。ですがドアを開けた事は一度もありません」
「部屋は隈無く探したか」
「はい」
「もう一度探せ」
フィグがベッド周りを探すとシーツの塊が床に落ちていた。ゆっくり外してみると家具とベッドの隙間に挟まれやまとが寝ていた。
「いた」
「え!?」
ものの数秒でやまとが見つかり、信じられないとばかりにクラムは走り寄り確認した。布団を取られ肌寒さでやまとが起きる。
「フィグ?なんかあった?」
「いや…」
床から立ち上がろうとしたら服が家具にひっかかり大きな首元からズルリと裸体が出てフィグの目の前に倒れた。
「「!?」」
「あ、ごめん。ごめん。ひっかかっちゃった」
上半身は露になり腕に袖がひっかかってしまい、何とか脱出しようともぞもぞしていた。そんなやまとに気をとられていたが後ろの護衛の色目線に気がつきクラムが声をあげた。
「王!」
フィグはその声にハッとして体を持ちスポッ!っとやまとを服から引っこ抜きすぐにシーツでくるんだ。
「何?」
「いや、別に…」
「やまとさん、後で全部ちゃんと話します。王が説明しなさすぎてやまとさんが大変な事になるので」
「クラム…俺は」
「説明できないからこうなったんですよ…」
「……。」
何か知らないがフィグがめちゃくちゃ叱られてる。そう言えば謹慎はいいのかな?
ぐるぐるにくるまれミイラのような俺はフィグの左脇に抱えられた。
「やまとさん、着替えをもって来たんですが着方がわからないようでしたら私がお手伝いします」
「んー着方があるならお願いします」
「クラム」
「王は謹慎中です。やまとさんが見つかりましたので下ろして戻って下さい。何、牢屋に持ち帰ろうとしてるんですか。謹慎の延長をされたいんですか」
フィグは渋々下ろして戻って行った。護衛達は蜘蛛の子ちらしたようにフィグが出るのと一緒にでていった。
服を着せてもらったが確かにわからない所もあったけども、それだけじゃない気が。
「クラムさん何か話しでも?」
「やまとさんすみません。では単刀直入に話していきます。今回、王が家出した理由をご存知ですか?」
「え、あぁ…(言っていいのかな?隠したいよねきっと)」
「大丈夫です話しても。やまとさんは優しいですね。王はこんなやまとさんに話もせず…ブツブツ」
「じゃ、じゃあ。フィグは言いにくそうだったからあんまり言いたくないけど。何か妃を迎えるけど、その妃がキスが下手な人は嫌だ的な事言われてキスに自信ないから家出してきた。ですかね」
「……。」
「あ、でもキス上手くなれば妃迎えるって言ってたんで大丈夫じゃないですか?練習するって言ってましたし」
額に手を置いて下を見ていたが、ガッと俺の両肩を掴み凄い形相で話し出した。
「その話しは物凄く抜粋されてもはや原型をとどめていません!」
「あ、そうなの?」
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