文字の大きさ
大
中
小
107 / 162
連載
232.それゆけ冒険者たち
リリーシィちゃん……ポムチョム冒険者学校でエトワと仲良しの女の子。明るく元気!
エルフィス……エトワが3年生のころにポムチョム冒険者学校に転校して来た剣術の名家とされる商家の女の子。ツンツンしてる。登場話数は163話から。
私さんの行方不明事件から私さんが帰ってきて、はや三週間!
いやー戻ってきてくれて良かったですね。私も私さんのことは心配してましたよ。はい、いろんな方にご心配をおかけすることになってしまいましたね。私さん何かコメントはありますでしょうか。はい、おっほん、こうして戻ってきてこられたのもご心配くださったみなさんのおかげだと思います。ありがとうございます。ありがとうございます。
帰ってきてからも、お母様の社交界復帰パーティーに招待されたり、それが終わると私たちが暮らしているルヴェンドのお屋敷にお母様がやってきたり、『まだやり終えてない公爵夫人のお仕事があるでしょう』とお付きの侍女の人に連れていかれたり、いろいろありました。
そんな私なのですが近頃はまあまあ平和に過ごしております。
今日はお休みの日なので、ソフィアちゃんと観劇に行ってまいりました。
「エトワさまは最近、絵本を読まれてるんですか?」
そんな観劇の帰り道、私は書店によって本を買っていた。
この世界の本は、一応印刷技術があるせいか、そんなに高くはない……安くもないけど。
元の世界でいうと、だいたいゲーム一本分ぐらいの値段で買えるものが多い。絵がつく本になると、もうちょっと高いかも。
私が買った本も、ページ数は少ないけど、色の付いた絵が入ってるのでそれなりのお値段はしてしまった。それがお買い物用の手提げかばんに五冊ぐらい入っている。
「うん~、なんだか読みたくなっちゃってね~」
あの行方不明事件以来、不思議と絵本に目が行くようになってしまったのだ。
なんとなく気になって手にとって読むようになり、読んでみるとなかなか面白くて、ちょっとハマってしまった。劇のチケット代に絵本代と、今月のお小遣いはすっかりピンチだ。
「私、知らない本が多くてねぇ。読んでみると楽しいよね」
「はい! 私も楽しくて、2歳のころにたくさん集めて読んでしまいました!」
2歳……それは早いよ……。
しかも、もしかして自分で読んでたの? お母さんに読んでもらうんじゃなくて。
私はまたソフィアちゃんの天才児っぷりを知ってしまった。
出会ったころが4歳で、その頃にはきはきしゃべってたんだから、不思議ではないけれど……。やっぱりこの子達って頭の出来が私たちとは違うんだなぁ……。
***
「今日はみなさんに冒険者免許を取ってもらおうと思います」
ポムチョム小学校の授業、授業開始早々のウィークマン先生の言葉に子供たちは目を輝かせた。
「わー! 冒険者免許ー!!」
「ついに俺たちも冒険者かー!」
そんな中、エルフィスちゃん——ポムチョム小学校に転校してきて一年、だいぶクラスにも馴染んできた——は大人ぶった仕草で腕を組んで言う。
「ふん、みんな子供ね。冒険者免許ぐらいで騒いじゃって」
そう言いながらも、椅子に座る肩から上が細かく左右に揺れていた。嬉しさを隠しきれてない。
私はというと、ちょっと心配になってた。だって、私たちまだ小学四年生だ。冒険者として活動をはじめるのは、ちょっと早いんじゃないかな。
そう思ってたら、ウィークマン先生と目が合った。
「大丈夫ですよ、エトワさん。受ける依頼の管理は、ギルド側でやってくれますから。冒険者学校を卒業するまでは先生の許可がないと、免許をもってても依頼は受けさせてもらえません。今回は実際に冒険者の仕事を体験してもらう感じです。もちろん、あちらで子供たちの実力に合った安全なものを選んで頂いてます」
考えを読まれてた……。
確かにいつまでも授業だけでは、学べる範囲にも限界があるよね。この世界の子供の独り立ちは、私がいる世界よりも早い。このぐらいの年齢でも、少しずつ実践を学んでいくべきなのかもしれない。
……やっぱりまだちょっと早いんじゃないかと思ってるけど。
※短めですが。
今年一年ありがとうございました。良いお年を。
感想 1,691
あなたにおすすめの小説
私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します
「子供っぽい嫉妬はやめろ」私が命懸けで出産した日、夫のヴィンセント侯爵は初恋の人の所へ行ってしまった。理由を説明して欲しいと言うと、子供っぽい嫉妬をやめろと厳しい声で言われてしまう。しかも初恋の相手がいきなりやってきて「侯爵様は昔から私を命懸けで助けてくれるんです」と悪びれもせずに言い放った。妻よりも初恋相手を優先する夫は必要ないので私は夫を初恋相手へ返品した。すると生まれてから一度も人に頭を下げたことのないヴィンセントが、ボロボロになって私に頭を下げてきて⋯⋯。
結婚式の夜に愛人を連れてきたので、署名せずに帰ります
結婚式の夜、夫となったはずの侯爵さまが、披露宴の席に愛人を連れてまいりましたの。
「彼女も今日からこの屋敷に住む。君は正妻なのだから、寛大に受け入れるように」ですって。
義母は「騒げば恥をかくのはあなたよ」と微笑むし、お客さまたちは見て見ぬふり。まあ、皆さまそろって、なし崩しにするおつもりですのね。
けれど、おあいにくさま。この国の結婚は、式を挙げただけでは成立しませんのよ。婚姻誓約書に夫婦双方が署名し、三日以内に神殿へ納めて、はじめて夫婦。
――そしてわたくし、まだ署名しておりませんの。
既成事実は、事実ではございませんのよ。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
「お前は口減らしだ」と婚約破棄された私が、前世の知識で領地を最適化したら、なぜか全員に溺愛されています
前世は過労死した社畜OL。
目覚めた先は、辺境伯爵家の「口減らし」末娘・リーゼロッテだった。
王太子から婚約破棄を突きつけられ、実家からも追放された私は、荒れ果てた領地へと送り込まれる。
魔力も低く、病弱で、何の力もないはずの私。
……でも、前世の知識があれば、この領地は変えられる。
土壌改良、衛生管理、作物の改革、簡単な会計と流通。
「最適化」という不思議な力も目覚め、地道に領地を立て直していく。
最初は冷たい目で見ていた領民たち。
やがて、少しずつ変わり始めた。
「この領地を……私が変えていく」
捨てられたはずの私が、
自分の手で居場所を作り、周囲を巻き込んでいく物語。
努力と小さな奇跡が、
いつしか大きな愛と運命を変えていく。
側妃を紹介されたので、その婚約はお断りいたします
公爵令嬢ヴィオレッタは、王子の婚約披露の日に、もうひとりの令嬢を「側妃に」と紹介された。
逆らってはいけない――そう信じて微笑んだわたくしは、濡れ衣を着せられ、お腹の子を奪われ、雪の離宮でひとり息を引き取った。
けれど目を開けると、そこはあの婚約披露の日。時間が、巻き戻っていた。
今度は、飲み込まない。今度は、微笑まない。
前の生で覚えた数字も、罠も、あの女の手口も、ぜんぶ覚えている。
「その婚約、謹んでお断り申し上げます!」
涙を武器にする令嬢に、二度は負けない。そして――誰も見ていないと思っていた場所で、ずっとわたくしを見ていた騎士がいた。
これは、運命に流されるだけだったわたくしが、自分の人生を"選び直す"物語。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。
子どものころから嫌いだった幼馴染は、私と結婚するつもりだったらしい
幼いころからアレクシスのそばにいるたび、リディアは周囲の令嬢たちから嫌がらせを受けてきた。何度も「嫌い」「離れたい」と訴えても、両親はそれを子どもの意地や照れだと思い、本気にしなかった。
十五歳で外国の高等学院へ留学したリディアは、魔道具職人として自立する道を見つける。そして十七歳の成人を迎えた日、彼女は伯爵家から離籍し、二度と故郷へ戻らないと決めた。
一方そのころ、アレクシスはリディアと結婚するつもりでいたことを明かす。けれどリディアは、そんな未来を一度も望んでいなかった。
これは、誰にも届かなかった「嫌だ」を抱えていた少女が、自分の人生を自分で選び取るまでの話。