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第九話 初めての街
しおりを挟む俺は、今、街に出ている。
隣には、白いワンピースに身を包んだクロエがいる。
緑色のフードは、被らずに。
今のクロエは、金色の髪を持ち、翡翠色の瞳を持っているただの美少女だ。
変装用の魔法具と、翼を隠すことができる魔法具を付けているからだ。
本当に良かった。
クロエが、普通に、街を出掛けられるようになって。
そんなことを考えていると、俺の袖を引っ張って、「リク?何か、考え、ごと?」と、クロエが、聞いてきた。
「何処に行こうか、考えていただけだ」と、答えた。
「そう、なんだ。リクと、なら、何処でも、楽しい」と言い、クロエは、微笑んだ。
俺は、思わず、可愛いクロエに抱きつくところだった。
それを何とか止めて、クロエの手を握った。
クロエは、いきなりのことに驚いて、「い、いきなり、どうしたの?」と、聞いてきた。
「迷子にならないためだ」と、答えた。
「そう、なんだ。うん、私、迷子に、ならない」と言い、クロエは、嬉しそうな表情を浮かべた。
街を歩いている時、クロエは、キョロキョロして、周りを見ていた。
目を輝かせていた。
全てが物珍しいみたいだ。
翼を隠すことができる魔法具を手に入れる前も一応、外に出来ることが出来たが、クロエは、周りを気にしていた。
だから、あまり、街を見ることが出来なかった。
そんなことを考えていると、「あっ、あれは、何?」と、クロエが、ある場所を指差し、聞いてきた。
クロエが、指差した先には、この世界では、よく売られているタコスに似た食べ物が売られている屋台があった。
「あれは、生地に、肉や野菜を挟んで、ソースで、味付けする食べ物を売っている屋台だよ」と、答えた。
それを聞いたクロエは、興味深かそうに見ていた。
「食べてみるか?」と、聞いた。
クロエは、頷いて答えた。
俺は、クロエを連れて、出店に向かった。
その出店で、定番の味を2つ購入し、近くのベンチに移動した。
そこに座り、購入した物をクロエに渡した。
クロエは、それを受け取り、興味深かそうに見ていた。
多分、クロエは、俺が、先に食べないと食べないと思ったので、俺が、先に食べた。
それを見たクロエは、恐る恐る口に運んだ。
一口食べたクロエは、喜びを顔に出し、黙々と食べ始めた。
美味しかったのか、クロエは、少しずつ食べていた。
食べ終わった俺は、そんなクロエが、可愛いと思いながら、見ていた。
食べ終わったので、クロエとまた手を繋いで、街を見て回った。
街を見て回っていると、クロエが、突然、止まった。
クロエの目線の先には、花屋があった。
俺は、黙って、クロエの手を引いて、花屋に向かった。
クロエは、いきなり、手を引かれて、驚いていた。
「クロエ、どんな花が、好きなんだ?」と、聞いた。
クロエは、少し困惑しながら、「あ、あれ」と言い、水色の小さめの花を指差した。
俺は、店員を呼び、その花を購入した。
クロエは、遠慮していたが、受け取ってくれないと困ると言うと、受け取ってくれた。
クロエは、その花を両手で抱きしめ、嬉しそうにしていた。
その後は、夕食の食材を購入し、家に帰った。
次の日、ふっと、家から、庭を見てみると、クロエが、花壇にいた。
花壇には、水色の小さめな花が咲いている。
その花をクロエは、嬉しそうに見ていた。
それを見た俺も嬉しい気分になった。
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