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渋滞ヘブン
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わからない時には、みんなについて行けばいい。幼き日より身につけた心強い処世術だった。それにしても大勢の人。年の瀬の賑わいを思い出す。この列は……。どこへ行くのかまだ聞いていなかった。胸の奥の望みは、何か温かくて美味しいものにありつけるところ。
「天国よ」
よかった。地獄じゃなかった。もしかしたら地獄かもしれない。ずっとそれだけを気がかりにして生きてきた。それなら、よかった。
(えっ? 終わったの?)
「もう帰れないの?」
「みんないい人だったわ」
お酒は飲めないの、メッシは見れないの、祭りに行けないの、お肉は食べれないの、寝っ転がったりできないの、未来を案じたり……
「どうして教えてくれなかったの?」
「死は教えられるものじゃない」
「もうこれで……」
お酒は飲めないの、ボールは蹴れないの、雨は見れないの、お寿司は食べれないの、炬燵に潜ったりできないの、未来を案じたり……
「大丈夫。みんないる。独りじゃない」
おかしい。どうしてそんなことがわかるのだ。
この先はどんな生より未知なはずなのに。
・
天国に渋滞をみた人々が「希望」を持って来世へ渡る
「天国よ」
よかった。地獄じゃなかった。もしかしたら地獄かもしれない。ずっとそれだけを気がかりにして生きてきた。それなら、よかった。
(えっ? 終わったの?)
「もう帰れないの?」
「みんないい人だったわ」
お酒は飲めないの、メッシは見れないの、祭りに行けないの、お肉は食べれないの、寝っ転がったりできないの、未来を案じたり……
「どうして教えてくれなかったの?」
「死は教えられるものじゃない」
「もうこれで……」
お酒は飲めないの、ボールは蹴れないの、雨は見れないの、お寿司は食べれないの、炬燵に潜ったりできないの、未来を案じたり……
「大丈夫。みんないる。独りじゃない」
おかしい。どうしてそんなことがわかるのだ。
この先はどんな生より未知なはずなのに。
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天国に渋滞をみた人々が「希望」を持って来世へ渡る
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