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しおりを挟む例の面倒な客からのメールは、1週間ほど続いた。
ほっといたら、途絶えたから別に対して気にしていなかった。
気がつけばそのメールから、2ヶ月くらい経っていた。
そんな頃、俺はいわゆるストーカー被害に遭っていた。
まず最初に、俺が勤めている店舗に、無言電話がしょっちゅうかかってくるようになった。
この店舗で一番下っ端の俺は、電話を取る係を自ら担当していた。
でも、すぐに慣れてきて、無言電話がくると「お電話遠いようなので切りまーす。」とめちゃくちゃ適当に言い放って、電話を切っていた。
それでも、何度も何度もかかってくる。着信拒否にしていいかと上司に尋ねたが、本当に用事がある人の可能性も捨てきれないので、着信拒否にしてはいけないのだと言われてしまった。だから、しつこくしつこく、何度も何度も無言電話は続いた。でも、無言電話くらいならば全然マシだったように思う。
ここから段々と、日常に不自然なことが起こるようになってくる。
今となっては、全部が全部ストーカーが俺の日常を侵食して行っていたのだと思う。
無言電話が始まってから少し経っていた。そのうち、家のドアによく紙が挟まっているようになった。
その内容は様々だった。普通に、求人募集とか新店舗の紹介とか車屋の宣伝のチラシが挟まっている事もあれば、白紙の紙、ひどい時は「好きです」と書かれた紙、ともかく色々挟まっていた。
広告はストーカーの仕業ではないのではないかと、これを読んでいる人の中には思った方もいるかもしれない。
しかし、俺の家のドアにしか挟まっていなかったし、期限が切れていたり、近所の店の広告ではない時もあった。それに、広告チラシなんかはちゃんとポストに入っていたし。
いたずらだろうし、別に紙は捨てれば良いだけなので、あまり深刻に考えていなかった。
なんなら、「好きです」とか書いてある紙はネタになると思って、SNSに写真を載せたり、職場に持っていってみんなに見せて笑いのネタにしていた。今思えば、SNSに載せるなんて愚行はやめておけばよかったと思う。その理由は、後ほど説明したいと思う。あいつの狡猾さが一番現れた出来事だったと思うから。
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