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しおりを挟む俺が交番勤務を始めてから1年以上の月日が経っていた。
仕事が終われば家に帰り、布団で自慰行為をする。自慰行為で、寂しさが増幅するとアンを探しに朝だろうが夜だろうが街を彷徨い歩いた。
寒い日だった。
勤務を終えた俺は、自宅へ真っ直ぐに帰らず、アンを探すために車で隣町の風俗街にきていた。
車を街中の中心のパーキングに停めた。
そこから、徒歩でアンを探すことにした。
色とりどりのネオンの中に、アンの姿を探し求める。
しかし、あっという間にネオン街を抜けて気がつけば住宅街の中を歩いていた。車を止めてから1時間半ほど経っていた。アンの姿があれば間違いなくすぐに気がつくので、半ば駆け足で歩いていたからパーキングから5、6キロは離れた場所にやってきているようだ。
同じ道を引き返す事なく、別のルートで車に戻ろうと考え、ここまで一直線に歩いてきたが、大きな路地を右に曲がった。
暗い夜道をただただ歩く。
腕時計は、深夜3時を指していた。
地図に頼ることなくなんとなくの方向で、車のあるパーキングまで向かっていた。
大通りから、細い路地に入る。
似たような一軒家が、立ち並ぶ。どの家も既に明かりが消えており、乏しい街頭の光を頼りに歩くしかなかった。
ひたすら真っ直ぐ進むと、十字路が見えてきた。一角は、公園のようだった。まぁまぁ広い公園。
公園の中に入る。
入るとすぐに公園の中のツツジの街路樹下に横たわる人影が見えた。
迷うことなく、駆け寄る。
スラリと細い女の足が1番に目についた。
次に裸の胸が目についた。
肌に触れた。冷たくなって氷のようだった。
長い髪に顔がかくれていたが、すぐに見覚えのある顔だとわかった。
「アン…」
呼びかけるが、返事はなかった。
膝をつき、抱き上げると微かに目が開いた。
「まさるさん…」
その名前で呼ばれるのはいつぶりだろうか?
優しく髪を撫で、アンにキスをした。
羽織っていたコートを脱ぎ、アンの体にかける。
すぐに救急車を呼ぼうと思ったが、アンが携帯を持つ手を制した。
「キス、して?」
強請られるままにキスをした。
冷たい体を起こして抱きしめて、アンの頬に自分の頬を寄せた。
「会いたかった。愛してる」
2人は、奇跡的な再会を果たした。
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