91 / 196
王女シェイラ=ミラージュ
コウジの悩みの種は解消 そしてまたもやあの方が
しおりを挟む
コルトがこの部屋での仕事を辞めて去っていった。
ひょっとして俺、無意識のうちにコルトに未練があるかもしれん。
寂しくなって泣いたらどうしよう、なんてことを考えたりしてたが、全然そんなことはなかったぜ。
「今まで本当に、お世話になりましたっ」
「おう、そっちも早く新しい生活に馴染むようにな。なんせそっちにカレーうどんはなさそうだから」
「!!」
後足で砂をかけるとか言うんだっけか?
コルトが未練を残すのはカレーうどんだけってとこに、ある意味安心感はあった。
しかし今後の店の売り上げが心配だ。
自分で何とかしなきゃならんことなんだが。
コルトが去った翌日、そんなことを思案しているところに、屋根裏部屋にやってきたのは、コルトを連れてったあの二人。
「おそらく困ってるだろうな、と思ってな」
今は主のない、元コルトの部屋に招き入れた。
担いだ風呂敷包みを簡易テーブルの上に置く。
開いた風呂敷から出てきたのは、冒険者らが身に纏っている防具。
「コルトちゃんから話を聞いてな。俺も報酬の契約には頭を悩ませたもんさ。何せ相手は日本円が使えないし持ってないときたもんだ」
「何かわざと意地悪な言い方してない?」
相変わらず仲が良さそうで何より。
「俺の仕事の合間の時間に作ってみた。コルトちゃんが作る物よりは質はいいと思う。こういうのが高く売れてるってコルトちゃん言ってたしな。だが問題はニーズだよな」
店、サブカルに強くなれば顧客増えそうかも。
だがちょっと待て。
俺は有り難いが、テンシュさんはどうなんだ?
いくら暇を見つけてと言っても、得することがあるのか?
「でも……なんか悪い気がしますね。自分だけいい目を見てるような気がして」
「いや、割と質のいい材料がかなり落ちてたから問題ない。むしろ、俺からの礼だな」
「テンシュが他人に素直に礼を言うなんて珍しいわね」
「だから余計な一言はいらねぇんだよ、セレナ!」
落ちてた?
どこに?
って言うか、俺が落としたなら筋は通るけどな。
「材料が落ちてたって……どこにです?」
「コルトちゃんがここに来る前の部屋……ダンジョンか。彼女が消費しきれずそこにストックしておいたって言ってたからな」
そう言えばそんなことを言ってたような気がする。
「それにおにぎりとアイテムだのを交換かなんかするんだろ? それを引き取らせてもらえば、こっちにも利益は出るし、コウジ……君にも利益が出るようにこっちでいろいろと製造してみよう」
「そりゃ助かりますが……テンシュさんは日本に戻るつもりはないんですか?」
……って無神経な事聞いちまったかな。
「……俺は確かに日本人だが、人間離れしちまったからな。日本……この世界に住むのは、もう無理だ、な」
「テンシュは、私達の世界に住むのに適した体になったんです。お気遣い、ありがとうございます」
まぁ……そんならいいか。
「じゃああの素材は全部引き取って、今後もちょくちょく寄らせてもらうよ」
「え? あ、はい……」
ちょくちょく……って。
何でそう簡単に行き来できるんだ?
他の冒険者達は痛々しい姿で来る奴がほとんどなんだが……。
まぁ……俺が気にすることじゃないか。
その扉だって見えないんだし……。
「ふぅあっ!」
「へ?」
テンシュさんが突然立ち上がった。
「どうしたんです?」
何か、青い顔をしてる。
体も震えてるが……いきなり風邪?
「……コウジさん、多分どなたかが来られたんじゃないでしょうか? 法王……いえ、教主と初めて会った時より……」
セレナさんも青い顔をしてる。
しかも何を言ってるか分からない。
って言うか、客が来たってこと?
まぁ、随分話し込んじまったからなー。
「とりあえず、こっちもそちらにも得する話、ということでいいんですよね? 用件はそれだけならお開きということで」
「え、えぇ……。テンシュ、行くわよ? 大丈夫?」
「あ、ああ……。なるべく、目立たないようにな」
一体何が何やらだ。
部屋を出ると、何度もこの部屋に来ている冒険者の一人が声をかけてきた。
「……コウジ。お前に用事があるんだと。屋根裏部屋の方にいる。何と言うか……誰? あの人」
いや、その前に馴れ馴れしく話しかけるお前こそ誰だよ。
まったくどいつもこいつもだなー。
「はいはい、お待たせしまし……た……」
あぁ、見覚えある。
二回目だ。
表面積のでかい衣装来たどこぞの女王様。
名前は忘れたけどなっ!
ひょっとして俺、無意識のうちにコルトに未練があるかもしれん。
寂しくなって泣いたらどうしよう、なんてことを考えたりしてたが、全然そんなことはなかったぜ。
「今まで本当に、お世話になりましたっ」
「おう、そっちも早く新しい生活に馴染むようにな。なんせそっちにカレーうどんはなさそうだから」
「!!」
後足で砂をかけるとか言うんだっけか?
コルトが未練を残すのはカレーうどんだけってとこに、ある意味安心感はあった。
しかし今後の店の売り上げが心配だ。
自分で何とかしなきゃならんことなんだが。
コルトが去った翌日、そんなことを思案しているところに、屋根裏部屋にやってきたのは、コルトを連れてったあの二人。
「おそらく困ってるだろうな、と思ってな」
今は主のない、元コルトの部屋に招き入れた。
担いだ風呂敷包みを簡易テーブルの上に置く。
開いた風呂敷から出てきたのは、冒険者らが身に纏っている防具。
「コルトちゃんから話を聞いてな。俺も報酬の契約には頭を悩ませたもんさ。何せ相手は日本円が使えないし持ってないときたもんだ」
「何かわざと意地悪な言い方してない?」
相変わらず仲が良さそうで何より。
「俺の仕事の合間の時間に作ってみた。コルトちゃんが作る物よりは質はいいと思う。こういうのが高く売れてるってコルトちゃん言ってたしな。だが問題はニーズだよな」
店、サブカルに強くなれば顧客増えそうかも。
だがちょっと待て。
俺は有り難いが、テンシュさんはどうなんだ?
いくら暇を見つけてと言っても、得することがあるのか?
「でも……なんか悪い気がしますね。自分だけいい目を見てるような気がして」
「いや、割と質のいい材料がかなり落ちてたから問題ない。むしろ、俺からの礼だな」
「テンシュが他人に素直に礼を言うなんて珍しいわね」
「だから余計な一言はいらねぇんだよ、セレナ!」
落ちてた?
どこに?
って言うか、俺が落としたなら筋は通るけどな。
「材料が落ちてたって……どこにです?」
「コルトちゃんがここに来る前の部屋……ダンジョンか。彼女が消費しきれずそこにストックしておいたって言ってたからな」
そう言えばそんなことを言ってたような気がする。
「それにおにぎりとアイテムだのを交換かなんかするんだろ? それを引き取らせてもらえば、こっちにも利益は出るし、コウジ……君にも利益が出るようにこっちでいろいろと製造してみよう」
「そりゃ助かりますが……テンシュさんは日本に戻るつもりはないんですか?」
……って無神経な事聞いちまったかな。
「……俺は確かに日本人だが、人間離れしちまったからな。日本……この世界に住むのは、もう無理だ、な」
「テンシュは、私達の世界に住むのに適した体になったんです。お気遣い、ありがとうございます」
まぁ……そんならいいか。
「じゃああの素材は全部引き取って、今後もちょくちょく寄らせてもらうよ」
「え? あ、はい……」
ちょくちょく……って。
何でそう簡単に行き来できるんだ?
他の冒険者達は痛々しい姿で来る奴がほとんどなんだが……。
まぁ……俺が気にすることじゃないか。
その扉だって見えないんだし……。
「ふぅあっ!」
「へ?」
テンシュさんが突然立ち上がった。
「どうしたんです?」
何か、青い顔をしてる。
体も震えてるが……いきなり風邪?
「……コウジさん、多分どなたかが来られたんじゃないでしょうか? 法王……いえ、教主と初めて会った時より……」
セレナさんも青い顔をしてる。
しかも何を言ってるか分からない。
って言うか、客が来たってこと?
まぁ、随分話し込んじまったからなー。
「とりあえず、こっちもそちらにも得する話、ということでいいんですよね? 用件はそれだけならお開きということで」
「え、えぇ……。テンシュ、行くわよ? 大丈夫?」
「あ、ああ……。なるべく、目立たないようにな」
一体何が何やらだ。
部屋を出ると、何度もこの部屋に来ている冒険者の一人が声をかけてきた。
「……コウジ。お前に用事があるんだと。屋根裏部屋の方にいる。何と言うか……誰? あの人」
いや、その前に馴れ馴れしく話しかけるお前こそ誰だよ。
まったくどいつもこいつもだなー。
「はいはい、お待たせしまし……た……」
あぁ、見覚えある。
二回目だ。
表面積のでかい衣装来たどこぞの女王様。
名前は忘れたけどなっ!
1
あなたにおすすめの小説
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜
タナん
ファンタジー
オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。
その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。
モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。
温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。
それでも戦わなければならない。
それがこの世界における男だからだ。
湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。
そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。
挿絵:夢路ぽに様
https://www.pixiv.net/users/14840570
※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる