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プロローグ
井の沢南佐はまだ動かない 依頼人は神様 南佐=南の異能
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総本山とか大本山と呼ばれる寺の朝は早い。
一般の寺も早い所はあるが、概ねそれよりは遅い時間に門を開ける。
げに来てくれという連絡は、早ければ朝の五時くらいにかかってくる。
勿論電話で突然来るが、当然すぐに対応は出来ない。
それはともかく。
さすがに四時台に電話がかかってくることはない。
あまり早いと寝不足にもなる。家を出たのは朝の四時半。
件の生駒清水神社はうちの近所。歩いて一分もかからない。
頭と心の整理をしきってから、すっきりした思いで一日を始めたいものだ。
「おはよう。今日は早く来てくれたんだ。ありがとね」
ニコニコ顔のなな。それだけ見ると、まぁ可愛い顔をしているが、今のところ、俺が考えるこいつの頭の中は残念な奴。
日にちがまたいでも、神社の社の中に自称神様の女の子、なながいた。
「おはよう。早速だが、お前が見えなくなるようにはならないか? こっちは仕事が控えてるからな」
「早速かい! つーか、神様、女神様をお前呼ばわりしないでよっ!」
昨日の今日だというのに、フレンドリー度が強いのはそっちじゃねぇか。
「でも一つ、私の家の秘密は分かったんじゃない? ここにいる間の時間、経過してなかったの分からなかった?」
そこを突かれると痛い。
いつまでもいてもらえる、という安心感をこいつに与えることになる。
「ここの住人になるつもりはない。なんせ俺にも仕事はあるんでな。俺を頼りにする檀家がいる。あぁ、俺の家は寺で、一応僧侶だから」
「おぉ! 僧職系男子だね!」
使い古されたフレーズを使ってドヤ顔はどうかと思う。
清楚なイメージの髪型とかが台無しだぜ?
しかも男子って言う年じゃねぇし。
「まず南君の力のことなんだけど、まず私を認識できて意思疎通が出来る」
頭が変な奴と気が合うなんて思いたくもないが。
「見ることが出来て、会話が出来る。会話による意思疎通ってことね。そして触ることも出来るし、ある程度私の力と共有することが出来る」
おい最後。
何だその共有って。
「……私、ここ以外にもいろんな世界を作ってるのよ。そのいろんな世界を行ったり来たり出来ることが南君にもできるってこと」
「何でだよ。つか、それ、何かの物語かアニメか何かの設定か?」
ついて行けん。
だがもう帰るってわけにはいかない。その力があることが本当だとしたら、それを取り除いてもらわなければ困る。
「んと、ちょっと最後まで聞いてくれる? まだほかにもあるから。で、私と一緒に遊んだ子供の頃のこと覚えてる?」
「あぁ、覚えてるとも。折り紙や落書きが上手だって褒められたことが、インドア派になった引き金になったことを思いだした」
つまらない嫌味を言ってしまったが、一矢を報い……てるわけじゃないか。
「その折り紙なんだけど……実際に折ってもらった方が分かりやすいかも」
準備いいな。折り紙がかなりの枚数を用意してやがる。
……口車に乗せられてやる。
どうせ何も起こりゃしないさ。
……って、何を折るか。まぁ適当に。
手裏剣でもいいか。折り紙二枚使うんだよな。
「……こんなんでいいか?」
「おぉ。懐かしいねー。じゃあそれを床の上に放り投げてみて?」
出来不出来については何もなしか。
まあ俺の力の鑑定というか実践? それを確認するだけだし。
「ほれ……っておいっ!」
「やっぱりそうか。折り紙の作品に関連した物が実体化する力があるのよ」
流石にこれは認めざるを得ない。
本物の手裏剣じゃないが、これは……。
「日本刀? 鞘はないが、鍔も柄もあるし刀身もそんなに反りはないが……」
どうすんだこれ。
檀家の子供らにもし折り紙作るようにせがまれたら、銃刀不法所持じゃん!
「この力、もし協力してもらえるならすごく頼りになるの! ちなみにこの力はこのイコマシミズ神社の中と他の世界では使えるけど、あなたの世界では発揮されないから安心していいよ」
そういう問題ではない。
量産できちまうんじゃねぇの?
「それとほかにもあって」
いい加減にしてくれ。
いや、洗いざらいぶちまけてもらった方が、一切の力を亡くしてもらう確認をしやすい。
って何で手を引かれてるんだ?
「外で確認したいから。地面に手をかざしてもらえる? 地面に対して何かイメージを浮かべながらで」
引っ張られて連れていかれた先は出入り口から三段ほどの石段のすぐそば。
はいはい。とっとと終わらせるよ。
……このまま振り回されるのって、ちょっと癪だよな。
よし。
手を地面にかざしてイメージ浮かべて……。
「キャッ!」
……冗談だと思ってたが疑いようがなくなっちまった。
ななに何かやり返そうと思って、足元の地面を凍らせて転ばせようとしたんだが、思い通りになってしまった。
ななが思いっきり尻もちをついて痛がってる。
「いったあ~……。何すんのよっ」
やってみてって言っといて、何すんのもないだろうに。
でも、手にかざしたつもりの地面が、思った通りに変化した。
この具体的な二点は何の揚げ足も取りようがない。
その変化と俺との因果関係の証明は、俺にしか理解できない。
だが他者に証明して見せる必要はない。
「……けど直径大体三十センチくらいの広さか? それ以上広げようって気にならなかったが」
「……まぁそんなもんだと思うわ。でも、子供の頃から見てたけどこんな風に成長してるなんて初めてよ」
初めても何も、お前を見たり会話したりできた奴は後にも先にも俺が初めて、って昨日言ってたじゃねぇか。
「時間無駄にしないためにも、もう一回中に入って」
それには同意だ。
時間の経過がないのは唯一のメリットだからな。
で、中のテーブルの前に座ったはいいが……。
「で、私のお願い聞いてほしいの」
神様から願い事されたよおい。
何かとんでもないご利益でもつくのかね。
「その力を使って、私の作ったいろんな世界に住む人たちの手助けをしてほしいの」
笑うしかないな。
神様って何でもできるもんじゃないのか?
それに統べる世界がいくつもあるってどういうこと?
それにだ。
「神様はご存じないかもしれませんがね、我々には肉体ってもんがあるんですよ。その肉体の維持に必要なものがありましてね?」
「それくらい知ってるわよ。でもここでは……この国ではお金があれば大概解決できるでしょ? お金とか経済は私が生み出したわけじゃないからそこまでは分からないけど、運を良くするようにはしといてあげるから」
神社から出たら大金を拾うなんてラッキーでももらえるのかね。
「お金についてはよく分からないから、金運なんてのもよく分かんない。だから全体の運を上げとく。私からのお願い事を引き受けてくれたらその分運を上げてあげるっ。で、成功したら成功報酬もつけてあげるからっ! お願いっ!」
力の抹消どころか、それを大いに活用してくれってことかよ。
なんか面倒な話になってきた。
けど運が良くなる、こっちの時間の経過はなしとなると、案外悪くないか?
けどな。
「俺一人で何とかしろってことか? つーかお前がやらかしたことなんだからお前がやるべきだろ」
「助手が欲しいのよ。一人で行き来できるようにするから、私とはぐれてもここに帰ってこれるようにはするし、命の危険があるような依頼は絶対にしないけど、私ももちろん行くわよ?」
当然二人で行く、って当然のように言うけど、こいつの言ってることが正しけりゃこいつ一人でやるべきことだろうに。仕事ってのはそういうもんだろ。
素質が自分より高い者を見つけたらそいつに押し付けるってのはどうなんだ?
けど、金銭面で生活の助けになることがあるってんなら考えてもいいかな。
危険からも守ってくれるというし、いい副収入にはなるだろうな。
「……具体的にはどんなことをすりゃいいんだ? 引き受けるかどうかは、その話を聞いてからでもいいだろ?」
なんか急に眼の色変わったな。
神様とやらは、そんな現金なもんなのかねぇ。
ま、ここにいる限りは時間はたっぷりあるんだろ?
じっくり話を聞かせてもらうさ。
一般の寺も早い所はあるが、概ねそれよりは遅い時間に門を開ける。
げに来てくれという連絡は、早ければ朝の五時くらいにかかってくる。
勿論電話で突然来るが、当然すぐに対応は出来ない。
それはともかく。
さすがに四時台に電話がかかってくることはない。
あまり早いと寝不足にもなる。家を出たのは朝の四時半。
件の生駒清水神社はうちの近所。歩いて一分もかからない。
頭と心の整理をしきってから、すっきりした思いで一日を始めたいものだ。
「おはよう。今日は早く来てくれたんだ。ありがとね」
ニコニコ顔のなな。それだけ見ると、まぁ可愛い顔をしているが、今のところ、俺が考えるこいつの頭の中は残念な奴。
日にちがまたいでも、神社の社の中に自称神様の女の子、なながいた。
「おはよう。早速だが、お前が見えなくなるようにはならないか? こっちは仕事が控えてるからな」
「早速かい! つーか、神様、女神様をお前呼ばわりしないでよっ!」
昨日の今日だというのに、フレンドリー度が強いのはそっちじゃねぇか。
「でも一つ、私の家の秘密は分かったんじゃない? ここにいる間の時間、経過してなかったの分からなかった?」
そこを突かれると痛い。
いつまでもいてもらえる、という安心感をこいつに与えることになる。
「ここの住人になるつもりはない。なんせ俺にも仕事はあるんでな。俺を頼りにする檀家がいる。あぁ、俺の家は寺で、一応僧侶だから」
「おぉ! 僧職系男子だね!」
使い古されたフレーズを使ってドヤ顔はどうかと思う。
清楚なイメージの髪型とかが台無しだぜ?
しかも男子って言う年じゃねぇし。
「まず南君の力のことなんだけど、まず私を認識できて意思疎通が出来る」
頭が変な奴と気が合うなんて思いたくもないが。
「見ることが出来て、会話が出来る。会話による意思疎通ってことね。そして触ることも出来るし、ある程度私の力と共有することが出来る」
おい最後。
何だその共有って。
「……私、ここ以外にもいろんな世界を作ってるのよ。そのいろんな世界を行ったり来たり出来ることが南君にもできるってこと」
「何でだよ。つか、それ、何かの物語かアニメか何かの設定か?」
ついて行けん。
だがもう帰るってわけにはいかない。その力があることが本当だとしたら、それを取り除いてもらわなければ困る。
「んと、ちょっと最後まで聞いてくれる? まだほかにもあるから。で、私と一緒に遊んだ子供の頃のこと覚えてる?」
「あぁ、覚えてるとも。折り紙や落書きが上手だって褒められたことが、インドア派になった引き金になったことを思いだした」
つまらない嫌味を言ってしまったが、一矢を報い……てるわけじゃないか。
「その折り紙なんだけど……実際に折ってもらった方が分かりやすいかも」
準備いいな。折り紙がかなりの枚数を用意してやがる。
……口車に乗せられてやる。
どうせ何も起こりゃしないさ。
……って、何を折るか。まぁ適当に。
手裏剣でもいいか。折り紙二枚使うんだよな。
「……こんなんでいいか?」
「おぉ。懐かしいねー。じゃあそれを床の上に放り投げてみて?」
出来不出来については何もなしか。
まあ俺の力の鑑定というか実践? それを確認するだけだし。
「ほれ……っておいっ!」
「やっぱりそうか。折り紙の作品に関連した物が実体化する力があるのよ」
流石にこれは認めざるを得ない。
本物の手裏剣じゃないが、これは……。
「日本刀? 鞘はないが、鍔も柄もあるし刀身もそんなに反りはないが……」
どうすんだこれ。
檀家の子供らにもし折り紙作るようにせがまれたら、銃刀不法所持じゃん!
「この力、もし協力してもらえるならすごく頼りになるの! ちなみにこの力はこのイコマシミズ神社の中と他の世界では使えるけど、あなたの世界では発揮されないから安心していいよ」
そういう問題ではない。
量産できちまうんじゃねぇの?
「それとほかにもあって」
いい加減にしてくれ。
いや、洗いざらいぶちまけてもらった方が、一切の力を亡くしてもらう確認をしやすい。
って何で手を引かれてるんだ?
「外で確認したいから。地面に手をかざしてもらえる? 地面に対して何かイメージを浮かべながらで」
引っ張られて連れていかれた先は出入り口から三段ほどの石段のすぐそば。
はいはい。とっとと終わらせるよ。
……このまま振り回されるのって、ちょっと癪だよな。
よし。
手を地面にかざしてイメージ浮かべて……。
「キャッ!」
……冗談だと思ってたが疑いようがなくなっちまった。
ななに何かやり返そうと思って、足元の地面を凍らせて転ばせようとしたんだが、思い通りになってしまった。
ななが思いっきり尻もちをついて痛がってる。
「いったあ~……。何すんのよっ」
やってみてって言っといて、何すんのもないだろうに。
でも、手にかざしたつもりの地面が、思った通りに変化した。
この具体的な二点は何の揚げ足も取りようがない。
その変化と俺との因果関係の証明は、俺にしか理解できない。
だが他者に証明して見せる必要はない。
「……けど直径大体三十センチくらいの広さか? それ以上広げようって気にならなかったが」
「……まぁそんなもんだと思うわ。でも、子供の頃から見てたけどこんな風に成長してるなんて初めてよ」
初めても何も、お前を見たり会話したりできた奴は後にも先にも俺が初めて、って昨日言ってたじゃねぇか。
「時間無駄にしないためにも、もう一回中に入って」
それには同意だ。
時間の経過がないのは唯一のメリットだからな。
で、中のテーブルの前に座ったはいいが……。
「で、私のお願い聞いてほしいの」
神様から願い事されたよおい。
何かとんでもないご利益でもつくのかね。
「その力を使って、私の作ったいろんな世界に住む人たちの手助けをしてほしいの」
笑うしかないな。
神様って何でもできるもんじゃないのか?
それに統べる世界がいくつもあるってどういうこと?
それにだ。
「神様はご存じないかもしれませんがね、我々には肉体ってもんがあるんですよ。その肉体の維持に必要なものがありましてね?」
「それくらい知ってるわよ。でもここでは……この国ではお金があれば大概解決できるでしょ? お金とか経済は私が生み出したわけじゃないからそこまでは分からないけど、運を良くするようにはしといてあげるから」
神社から出たら大金を拾うなんてラッキーでももらえるのかね。
「お金についてはよく分からないから、金運なんてのもよく分かんない。だから全体の運を上げとく。私からのお願い事を引き受けてくれたらその分運を上げてあげるっ。で、成功したら成功報酬もつけてあげるからっ! お願いっ!」
力の抹消どころか、それを大いに活用してくれってことかよ。
なんか面倒な話になってきた。
けど運が良くなる、こっちの時間の経過はなしとなると、案外悪くないか?
けどな。
「俺一人で何とかしろってことか? つーかお前がやらかしたことなんだからお前がやるべきだろ」
「助手が欲しいのよ。一人で行き来できるようにするから、私とはぐれてもここに帰ってこれるようにはするし、命の危険があるような依頼は絶対にしないけど、私ももちろん行くわよ?」
当然二人で行く、って当然のように言うけど、こいつの言ってることが正しけりゃこいつ一人でやるべきことだろうに。仕事ってのはそういうもんだろ。
素質が自分より高い者を見つけたらそいつに押し付けるってのはどうなんだ?
けど、金銭面で生活の助けになることがあるってんなら考えてもいいかな。
危険からも守ってくれるというし、いい副収入にはなるだろうな。
「……具体的にはどんなことをすりゃいいんだ? 引き受けるかどうかは、その話を聞いてからでもいいだろ?」
なんか急に眼の色変わったな。
神様とやらは、そんな現金なもんなのかねぇ。
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