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第一章 一件目、異世界龍退治
俺 早速異世界で異能を発揮
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折り紙で何かを折ると、それに関連した実物に変化して実体化して実用品になる力を持ってしまった。
しかも俺の住む世界でのみ発揮できないんだと。
ななが行きたい場所には、この世界での一番早い交通手段である馬車でも、何日もかかるらしい。
なら空を飛んだらどうだろう?
壁も道路も進行不可の区域もない。
直線距離ならかなり日数や時間は削られるはず。
そう言うことで折り鶴を折ってみた。
けど、まず大きさが不十分。
俺とななの二人が乗せられる、しかも落っこちることのないくらいの大きさに変化することを願った。
で、万が一落ちたら助けてくれるくらいの知恵は持っててほしい。
いわゆる賢い生き物になってほしいと思いながら鶴を折ってた。
終わった直後に大きくなり始めながら、それを見ることが難しいくらい発光した。
その発光が終わって現れた生き物は、上半分が鷲。下半分が獅子、と言った方がふさわしいか。ゲームでは時々見られる、いわゆるグリフォンという名前が付けられている生き物に変わっていた。
その姿を見た後、一瞬後悔した。餌に間違えられないか? 俺ら。
なんせ体の大きさは四トントラックくらいだからな。
頭部だけでも俺の上半身と同じくらい。
そう思った直後、俺に頭を摺り寄せてくる。
飼い主とペットの関係そのものじゃねぇか。
元は折り紙なんだが、自分の意思で友好的に接触されると情も移るってもんだよなぁ。
「一応名前つけるか。グリフォンだからぐり。短い名前の方が咄嗟の時に呼びやすいし。でも大きな生き物一体よりも、俺専用となな専用の二匹作った方が良かったかな?」
俺専用は全身赤くして、角を一本つけて三倍速くして……。
「それはムリ。最初の一匹目がこれで正解だったわね。つくづく幸運よね、南君。もっとも私が南君の幸運を高めてあげたからなんだけど」
無理ってなんでだよ。
紙さえあればいくらでも作れるだろ。
「同じ種類の物は重複できないのよ。ぐりを作ったから折り鶴から何かを実体化させることは出来ないし、他の折り紙からぐりみたいな生き物は作れない。作りたいときはぐりを折り紙に戻してからね」
なるほど。
最高級品の鎧を作って防具屋に売れば、一気に大富豪になること間違いないもんな。
なんて言うんだっけ。インフレ?
「とにかく、早速ぐりに乗ってあの山へ」
「いやちょっと待て。その龍の姿は俺には見えんが、山頂近くには雪が残ってんぞ。しかも魔術師達が氷漬けにしてるって言ってなかったか? それに空を飛んでいくんだぞ? 上に行くほど空気は冷たいに決まってる。防寒具は必要だろうよ。それと食料」
そうだよ。
いくら時間の経過はない、身の安全は保障するって言われても、健康維持は別だろうよ。
それと自ら危険な目に遭いに行くこともそうだ。
そもそも空高く飛ぶこと自体危ない話だ。シートベルトがついてるわけでもなし、空調だってないだろうし。高山病にかかるんじゃねぇか?
ヤバい。
俺も意外と何も考えてなかった。
「食事については心配ないわよ。私はともかく、南君にはそういう仕掛けしといたから」
「仕掛け? 何か弄ったのか?」
「体の変化は、南君の世界の時間の経過に合わせるようにしてるから。だから別の世界にいる間はトイレに行く気にはならないし、お腹も減るようなこともないの。だって自分の世界に戻ったら別人になっちゃったなんてシャレにならないでしょ?」
そりゃそうだ。
浦島太郎状態なんて真っ平御免。
「けどお前は必要なんじゃないのか? お供えバカスカ食ってるイメージあるし」
口から出まかせがつい出てしまった。ただ思いついただけ。
しかし、三方に乗せる五穀や生魚、酒なんかは簡単に思いつく。
実際に口にするわけではないだろうが、こうして実体化が出来る以上、何かを口にする必要はあるんじゃないだろうか。
「食いしん坊みたいなこと言わないのっ。私は別に食べても食べなくてもどっちでもいいの」
「どうでもいいってことか」
そりゃちょっと食事を作ってくれた人たちや食材を育ててくれた人たちに失礼じゃねぇか?
「んー。食べたくなったから食べる、食べたくないから食べないって言うのとは違うわね。食事って肉体の維持だけが目的じゃないのよね。食事の場を通じていろんな人たちと交流する。食事にはそんな役目を持たせることが出来るのよ。私にとってはむしろそっちが重要かな」
食べる時間よりも団欒の場を大切にするってことか。
考えてみりゃ、食うことで満足感を得るのは食った本人だけ。
けどななの心掛けてることを考えると、自分だけじゃなく一緒に食事の時間を過ごした人達にも満足感を……与えるという言い方が当てはまるか。
職業柄と俺個人の偏見から考えるに、仏様というとみんなに幸せを気付かせるというイメージが強い。
で、ほとんど縁のない神様というと、大勢から手を合わせ崇められてふんぞり返ってるイメージ。
しかしこの自称女神様の言動を見てみると、俺が持つ仏様のイメージ寄りであることと、神仏のイメージよりもはるかに人間的な感じがする。
だって神様の威厳のいの字もないことばかりしてるじゃないか。
「何ぼんやりしてるの? あぁ、防寒具のことか。それなら私の術でぐりちゃんの周囲の気圧とかは快適な環境を維持するようにすればいいよね?」
ぐりちゃんって。
まぁ懐いてくる分には可愛いけどさ。
あれ?
でも空を飛ぶ生き物じゃなく、早く走る生き物にいてほしいと思ったら……。
こいつを折り紙に戻さなきゃならない?
「……懐かれるのも問題だよな。罪の意識が芽生えそうだ」
「何よ、いきなり沈んだ顔して」
「別の生き物を実体化させたい場合、こいつを折り紙に戻さないと他の生き物を実体化させられないってことだよな?」
人間のエゴで愛玩動物を作り出したり、希少な動物を絶滅させたりする歴史が人間にはある。
そんな歴史と無縁だと思ってたら、この力がその歴史に俺を巻き込むような気がする。
「まぁそうなんだけど、ぐりちゃんを折り紙に戻して別の動物作って、また同じタイプの生き物を作ったらぐりちゃんが再登場するわよ? って言うか、むしろいる必要がない時は折り紙に戻すこと推奨」
「いいのかよそれ。まるで俺とずっと一緒にいたがる態度とってるんだが、折り紙に戻るの嫌がるんじゃね?」
頭ばかりじゃなく体も摺り寄せてくる。
それだけならいいが、甘噛みしてくんぞこいつ。
割りと痛いんだが。
「よく考えてみなさいよ。元々は紙よ? 同じ折り方したらいつかは紙も折り目に沿って切れやすくなるわよ? もっとも別の紙でぐりちゃんを作ることは出来るけど」
……紙、というか、無機物に懐かれてる俺。
ある意味空しいな。なるべく考えたくはないが、考える必要はある。
となると……。
「折り紙で食い物作ったら料理が実体化するけど、それを食うわけにはいかないか」
「紙を消化して栄養に出来るなら構わないわよ? 私は」
ムリ。
そうなると……。
「防寒具作ったら……」
「もちろん着用可能だしちゃんと役割を果たせるわよ。でも修繕は無理ね。もっとも修繕するより別の紙で作りなおす方がいいかも」
なるほどね。
しかし俺の力のことなのに、ななに聞くってのも変な話だ。
しかも質問に答えてくれるってのもさらに奇妙な話だな。
「他に聞くことないなら早く行きましょう! 兵は迅速を貴ぶって言うしね!」
まぁこの格好でも健康に害しない環境を作ってくれるってんなら何の問題もないか。
移動中でも質問は出来るしな。
「おう。んじゃぐり、俺とななを背中に乗せてくれないか?」
体を擦りつけながら分かったように何度もぐりが頷き、後ろ足の関節を曲げた。
賢いな。乗りやすくしてくれたのか。
まぁ賢い生き物だったらいいなとは思ってたけども。
「お、モフモフだねぇ。羽毛が気持ちいいよ」
どこでそんな言葉覚えた、自称女神さんよぉ。
それにモフモフって言う言葉は、羽毛にはあまり当てはまらないと思うぞ?
とりあえず、あの山に向かって出発だな。
ぐりは翼を大きく動かし、俺ら二人を乗せたその巨体がゆっくりと宙に浮き始めた。
しかも俺の住む世界でのみ発揮できないんだと。
ななが行きたい場所には、この世界での一番早い交通手段である馬車でも、何日もかかるらしい。
なら空を飛んだらどうだろう?
壁も道路も進行不可の区域もない。
直線距離ならかなり日数や時間は削られるはず。
そう言うことで折り鶴を折ってみた。
けど、まず大きさが不十分。
俺とななの二人が乗せられる、しかも落っこちることのないくらいの大きさに変化することを願った。
で、万が一落ちたら助けてくれるくらいの知恵は持っててほしい。
いわゆる賢い生き物になってほしいと思いながら鶴を折ってた。
終わった直後に大きくなり始めながら、それを見ることが難しいくらい発光した。
その発光が終わって現れた生き物は、上半分が鷲。下半分が獅子、と言った方がふさわしいか。ゲームでは時々見られる、いわゆるグリフォンという名前が付けられている生き物に変わっていた。
その姿を見た後、一瞬後悔した。餌に間違えられないか? 俺ら。
なんせ体の大きさは四トントラックくらいだからな。
頭部だけでも俺の上半身と同じくらい。
そう思った直後、俺に頭を摺り寄せてくる。
飼い主とペットの関係そのものじゃねぇか。
元は折り紙なんだが、自分の意思で友好的に接触されると情も移るってもんだよなぁ。
「一応名前つけるか。グリフォンだからぐり。短い名前の方が咄嗟の時に呼びやすいし。でも大きな生き物一体よりも、俺専用となな専用の二匹作った方が良かったかな?」
俺専用は全身赤くして、角を一本つけて三倍速くして……。
「それはムリ。最初の一匹目がこれで正解だったわね。つくづく幸運よね、南君。もっとも私が南君の幸運を高めてあげたからなんだけど」
無理ってなんでだよ。
紙さえあればいくらでも作れるだろ。
「同じ種類の物は重複できないのよ。ぐりを作ったから折り鶴から何かを実体化させることは出来ないし、他の折り紙からぐりみたいな生き物は作れない。作りたいときはぐりを折り紙に戻してからね」
なるほど。
最高級品の鎧を作って防具屋に売れば、一気に大富豪になること間違いないもんな。
なんて言うんだっけ。インフレ?
「とにかく、早速ぐりに乗ってあの山へ」
「いやちょっと待て。その龍の姿は俺には見えんが、山頂近くには雪が残ってんぞ。しかも魔術師達が氷漬けにしてるって言ってなかったか? それに空を飛んでいくんだぞ? 上に行くほど空気は冷たいに決まってる。防寒具は必要だろうよ。それと食料」
そうだよ。
いくら時間の経過はない、身の安全は保障するって言われても、健康維持は別だろうよ。
それと自ら危険な目に遭いに行くこともそうだ。
そもそも空高く飛ぶこと自体危ない話だ。シートベルトがついてるわけでもなし、空調だってないだろうし。高山病にかかるんじゃねぇか?
ヤバい。
俺も意外と何も考えてなかった。
「食事については心配ないわよ。私はともかく、南君にはそういう仕掛けしといたから」
「仕掛け? 何か弄ったのか?」
「体の変化は、南君の世界の時間の経過に合わせるようにしてるから。だから別の世界にいる間はトイレに行く気にはならないし、お腹も減るようなこともないの。だって自分の世界に戻ったら別人になっちゃったなんてシャレにならないでしょ?」
そりゃそうだ。
浦島太郎状態なんて真っ平御免。
「けどお前は必要なんじゃないのか? お供えバカスカ食ってるイメージあるし」
口から出まかせがつい出てしまった。ただ思いついただけ。
しかし、三方に乗せる五穀や生魚、酒なんかは簡単に思いつく。
実際に口にするわけではないだろうが、こうして実体化が出来る以上、何かを口にする必要はあるんじゃないだろうか。
「食いしん坊みたいなこと言わないのっ。私は別に食べても食べなくてもどっちでもいいの」
「どうでもいいってことか」
そりゃちょっと食事を作ってくれた人たちや食材を育ててくれた人たちに失礼じゃねぇか?
「んー。食べたくなったから食べる、食べたくないから食べないって言うのとは違うわね。食事って肉体の維持だけが目的じゃないのよね。食事の場を通じていろんな人たちと交流する。食事にはそんな役目を持たせることが出来るのよ。私にとってはむしろそっちが重要かな」
食べる時間よりも団欒の場を大切にするってことか。
考えてみりゃ、食うことで満足感を得るのは食った本人だけ。
けどななの心掛けてることを考えると、自分だけじゃなく一緒に食事の時間を過ごした人達にも満足感を……与えるという言い方が当てはまるか。
職業柄と俺個人の偏見から考えるに、仏様というとみんなに幸せを気付かせるというイメージが強い。
で、ほとんど縁のない神様というと、大勢から手を合わせ崇められてふんぞり返ってるイメージ。
しかしこの自称女神様の言動を見てみると、俺が持つ仏様のイメージ寄りであることと、神仏のイメージよりもはるかに人間的な感じがする。
だって神様の威厳のいの字もないことばかりしてるじゃないか。
「何ぼんやりしてるの? あぁ、防寒具のことか。それなら私の術でぐりちゃんの周囲の気圧とかは快適な環境を維持するようにすればいいよね?」
ぐりちゃんって。
まぁ懐いてくる分には可愛いけどさ。
あれ?
でも空を飛ぶ生き物じゃなく、早く走る生き物にいてほしいと思ったら……。
こいつを折り紙に戻さなきゃならない?
「……懐かれるのも問題だよな。罪の意識が芽生えそうだ」
「何よ、いきなり沈んだ顔して」
「別の生き物を実体化させたい場合、こいつを折り紙に戻さないと他の生き物を実体化させられないってことだよな?」
人間のエゴで愛玩動物を作り出したり、希少な動物を絶滅させたりする歴史が人間にはある。
そんな歴史と無縁だと思ってたら、この力がその歴史に俺を巻き込むような気がする。
「まぁそうなんだけど、ぐりちゃんを折り紙に戻して別の動物作って、また同じタイプの生き物を作ったらぐりちゃんが再登場するわよ? って言うか、むしろいる必要がない時は折り紙に戻すこと推奨」
「いいのかよそれ。まるで俺とずっと一緒にいたがる態度とってるんだが、折り紙に戻るの嫌がるんじゃね?」
頭ばかりじゃなく体も摺り寄せてくる。
それだけならいいが、甘噛みしてくんぞこいつ。
割りと痛いんだが。
「よく考えてみなさいよ。元々は紙よ? 同じ折り方したらいつかは紙も折り目に沿って切れやすくなるわよ? もっとも別の紙でぐりちゃんを作ることは出来るけど」
……紙、というか、無機物に懐かれてる俺。
ある意味空しいな。なるべく考えたくはないが、考える必要はある。
となると……。
「折り紙で食い物作ったら料理が実体化するけど、それを食うわけにはいかないか」
「紙を消化して栄養に出来るなら構わないわよ? 私は」
ムリ。
そうなると……。
「防寒具作ったら……」
「もちろん着用可能だしちゃんと役割を果たせるわよ。でも修繕は無理ね。もっとも修繕するより別の紙で作りなおす方がいいかも」
なるほどね。
しかし俺の力のことなのに、ななに聞くってのも変な話だ。
しかも質問に答えてくれるってのもさらに奇妙な話だな。
「他に聞くことないなら早く行きましょう! 兵は迅速を貴ぶって言うしね!」
まぁこの格好でも健康に害しない環境を作ってくれるってんなら何の問題もないか。
移動中でも質問は出来るしな。
「おう。んじゃぐり、俺とななを背中に乗せてくれないか?」
体を擦りつけながら分かったように何度もぐりが頷き、後ろ足の関節を曲げた。
賢いな。乗りやすくしてくれたのか。
まぁ賢い生き物だったらいいなとは思ってたけども。
「お、モフモフだねぇ。羽毛が気持ちいいよ」
どこでそんな言葉覚えた、自称女神さんよぉ。
それにモフモフって言う言葉は、羽毛にはあまり当てはまらないと思うぞ?
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