冷徹公爵は、契約妻に亡き妻の愛を重ねる

第七話「迫りくる危機」

「旦那様、大変です！領地の南側で、魔物の大規模な発生が確認されました！」

セバスチャンの報告に、レオンハルトは眉をひそめた。

「魔物……大規模な、だと？」

「はい。しかも、ただの魔物ではなく、かなり強力な個体も混じっているようです」

セバスチャンの言葉に、レオンハルトは立ち上がった。

「すぐに迎撃の準備をしろ。俺も向かう」

「しかし、旦那様。このような時間に……」

セバスチャンが心配そうに言った。

「構わない。領民たちを守るのが、俺の務めだ」

レオンハルトはそう言うと、アリアを見た。

「アリア、お前は屋敷で待っていてくれ」

「私も、一緒に行きます」

アリアは、強い口調で言った。

「ダメだ。危険すぎる」

「私にも、あなた様の力になれることがあります」

アリアは、レオンハルトを見つめ、言った。

「……分かった。ただし、決して無理はするな」

レオンハルトは、アリアの覚悟を感じ、頷いた。

レオンハルトとアリアは、すぐに領地の南側へと向かった。そこには、想像を絶する光景が広がっていた。無数の魔物が、領民たちを襲っていた。領民たちは、必死に抵抗していたが、数と力の差は歴然だった。

「……何てことだ」

レオンハルトは、その光景に言葉を失った。

「レオンハルト様、早く！」

アリアに促され、レオンハルトは剣を抜き、魔物たちに突進した。レオンハルトは、圧倒的な力で、次々と魔物を斬り倒していく。アリアも、魔法を使い、レオンハルトを援護した。

二人の奮闘により、次第に魔物たちは数を減らしていった。しかし、その時、一際強力な魔物が現れた。それは、巨大な体躯を持ち、強力な魔法を使う魔物だった。

「あれは……！」

レオンハルトは、魔物の強さに息を呑んだ。

「レオンハルト様、気を付けて！」

アリアが叫んだ。魔物は、レオンハルトに向かって、強力な魔法を放った。レオンハルトは、間一髪でそれを回避したが、その衝撃で、体勢を崩してしまう。

魔物は、その隙を見逃さず、レオンハルトに襲いかかった。アリアは、レオンハルトを助けようとするが、魔物の強力な魔法により、近づくことができない。

「レオンハルト様！」

アリアの叫びが、レオンハルトの耳に届く。レオンハルトは、必死に立ち上がろうとするが、魔物の攻撃により、再び地面に叩きつけられた。

その時、レオンハルトの脳裏に、アリアの笑顔が浮かんだ。アリアと出会ってからの日々。アリアの優しさ。アリアの温もり。

（……アリア）

レオンハルトは、アリアを守りたいと強く思った。その時、レオンハルトの中で、何かが弾けた。レオンハルトの体から、強大な力が溢れ出す。

レオンハルトは、その力で、魔物を圧倒し、ついに魔物を討ち倒した。

魔物を倒した後、レオンハルトは、力尽き、その場に倒れ込んだ。アリアが、レオンハルトに駆け寄る。

「レオンハルト様！大丈夫ですか！」

「……ああ、平気だ」

レオンハルトは、アリアの心配そうな顔を見て、微笑んだ。

「……ありがとう、アリア」

「レオンハルト様……」

アリアは、レオンハルトを抱きしめ、涙を流した。

「……もう、無理はしないでください」

「ああ、分かった」

レオンハルトは、アリアの温もりを感じながら、目を閉じた。