追放からの逆転溺愛 ~魔力ゼロの聖女は、実は最強の魔導士でした~

白桃

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隠された力

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「……何をするのですか……?」

 リリアナは、アシュフォードの視線から逃れるように、一歩後ずさった。
 本能が、彼に近づいてはならないと警告している。

「君の魔力を……いや、隠された力を確かめる」

 アシュフォードは、そう言うと、リリアナの手を掴んだ。
 その手は、見た目とは裏腹に、温かく、そして力強かった。

 リリアナは、抵抗しようとしたが、アシュフォードの力は想像以上に強く、逃れることができなかった。

 アシュフォードは、リリアナの手に魔力を流し込んだ。
 それは、今まで感じたことのない、強大で、そして温かい魔力だった。

 すると、リリアナの体から、眩い光が溢れ出した。
 その光は、部屋全体を包み込み、まるで太陽のように輝いていた。
 あまりの光の強さに、リリアナは思わず目を閉じた。

「こ、これは……」

 リリアナは、驚きのあまり、言葉を失った。
 自分の体から、こんなにも強い光が放たれるなんて、信じられなかった。

 アシュフォードは、満足そうに頷いた。

「……やはりな。君は魔力がないのではない。強すぎる魔力を、無意識に封印していたのだ」

 アシュフォードの説明は、リリアナにとって、衝撃的なものだった。

「……封印……? 私が……?」
「……ああ。君の魔力は、通常の聖女のそれを遥かに超える、規格外のものだ。おそらく、幼い頃、無意識に発動した強大な魔力が周囲に危害を及ぼすことを恐れ、君自身がそれを封印してしまったのだろう。その強大すぎる魔力は、君自身の魂さえも傷つけかねない。だから、無意識に防御機構が働いたのだ」

 アシュフォードは、リリアナの過去を言い当てた。
 リリアナは、幼い頃、原因不明の高熱にうなされ、生死の境を彷徨ったことがあった。
 もしかしたら、その時に、無意識に魔力を暴走させてしまったのかもしれない。
 そして、その時の恐怖が、リリアナの魔力を封印してしまったのだ。

「……そんな……信じられません……」
「……信じられないのも無理はない。だが、これが真実だ。君は、この世界で最も強い魔力を持つ存在なのだ。……そして、その力は、正しく使えば、世界を救うことも、破滅させることもできる」

 アシュフォードの言葉は、リリアナの心を揺さぶった。
 絶望の淵にいたリリアナに、一筋の光が差し込んだようだった。
 しかし、同時に、その力の大きさに、恐怖も感じていた。

「……君の力は、この世界を救うことができる。……だが、そのためには、君自身の心の闇を克服し、魔力を完全に制御する必要がある」

 アシュフォードは、真剣な眼差しでリリアナを見つめた。
 その瞳には、強い決意と、そしてリリアナへの信頼、そしてかすかな慈しみが込められていた。

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