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私の知らない裏事情
「ど、どうしましょうアン」
「今すぐどうにかするのは難しいでしょう」
お母様が顔を真っ赤にして屋敷を後にしてしばし。
私は部屋に戻り、アンと二人でこれからどうするべきかを話し合いました。
しかし、あれほどの剣幕で出て行ったお母様を止める術は、どう考えても出て来ません。
「これで王家と我が家の間に大きな亀裂が出来てしまいますわ」
私は青ざめた顔でそう呟くと、アンがそっと近づいてきて私の体を抱きしめてくれました。
「アン……?」
「メアリー様、大丈夫です。なんとかなります」
物心ついた頃から私の専属として使えてくれているアン。
私にとって二人目のお母様のその優しい声は、私の震えていた心を温めてくれます。
「それに、もうすぐあの方がやって来てくれます」
「あの方?」
突然アンに告げられたその言葉に私は心当たりがありません。
いったいどういう事なのでしょう。
「ええ、私は口止めされてますのでこれ以上はお答えできませんが……」
「アンに口止めって……そんなのお父様かお母様くらいしか無理なのではなくて?」
私の問いかけにもアンは優しく微笑むばかりで何も答えようとはしません。
昔からこうなってしまったアンは私ではどうしようもありません。
それこそお父様かお母様の『命令』以外は誰が脅しても無駄なのです。
「はぁ。わかりましたわ]
私はアンの腕の中から抜け出すとベッドにはしたなく座り、そのまま体をベッドの上に倒しました。
「メアリー様、はしたないですよ」
そうたしなめるアンの声は、とりあえず言ってみただけという雰囲気を漂わせています。
「でも、その『あの方』ならお母様をなんとかして下さいますのね?」
「はい。ですのでお嬢様にはもう少し辛抱していただきたかったのですが」
アンのため息交じりの言葉に私はつい反論してしまう。
「だったらあの時、止めてくれればよかったのよ」
「ですから、お止めいたしましたよ」
「そうじゃなくて。力尽くでもってこと」
あくまでも侍従であるアンにそんな権限は無い事を知りながらも私はつい声を荒げてしまいます。
そして、そう口にした瞬間に私の中に後悔の念が浮かび上がるのです。
「ごめんなさい……アン」
「いいえ、お気になさらないで下さい。メアリー様がとてもお優しい聖女のようなお方だと私は知ってますから」
「もう。その『聖女』って呼び方やめてよ」
「うふふ。お返しでございます」
アンのその悪戯っぽい笑顔に私の後悔の念はあっという間に払拭されていくのです。
まったく、アンには適いませんわね。
「それではアンの言う『あの方』はいつ頃いらっしゃるのかしら?」
私は話を元に戻して、多分アンが答えられる範囲であろう事を尋ねてみます。
「詳しくはわかりませんが、今日か明日には到着すると聞いております」
「アンが連絡したのかしら?」
「はい……と言っても別に今日、メアリー様が爆発することを見越してではありませんよ」
「余計なこと言わなくて良いわよ」
苦笑気味に答えたアンに、私は仏頂面を向けます。
「先方様からちょうど準備が整ったとの連絡がございましたのが五日ほど前の事でした」
「そんなに?」
「それから準備をしてすぐに向かうとの事でしたので。あ、手紙は既に焼却処分してありますので見せることは出来ませんよ」
「周到ね」
私はアンとその『あの方』とやらが一体何をしようとしているのか気になって仕方がありません。
ですが、アンは絶対に口を割らないでしょう。
だとすればその『あの方』とやらがやってくるまで何もわからないまま過ごすしかありません。
「アン」
「なんでしょうか?」
「信じてるからね」
私は寝転び、天蓋を見上げながらそう呟くと体を反転させ枕に顔を埋めようとしたその時です。
コンコン。
私の部屋の扉から、控えめなノックの音が聞こえたのでした。
「今すぐどうにかするのは難しいでしょう」
お母様が顔を真っ赤にして屋敷を後にしてしばし。
私は部屋に戻り、アンと二人でこれからどうするべきかを話し合いました。
しかし、あれほどの剣幕で出て行ったお母様を止める術は、どう考えても出て来ません。
「これで王家と我が家の間に大きな亀裂が出来てしまいますわ」
私は青ざめた顔でそう呟くと、アンがそっと近づいてきて私の体を抱きしめてくれました。
「アン……?」
「メアリー様、大丈夫です。なんとかなります」
物心ついた頃から私の専属として使えてくれているアン。
私にとって二人目のお母様のその優しい声は、私の震えていた心を温めてくれます。
「それに、もうすぐあの方がやって来てくれます」
「あの方?」
突然アンに告げられたその言葉に私は心当たりがありません。
いったいどういう事なのでしょう。
「ええ、私は口止めされてますのでこれ以上はお答えできませんが……」
「アンに口止めって……そんなのお父様かお母様くらいしか無理なのではなくて?」
私の問いかけにもアンは優しく微笑むばかりで何も答えようとはしません。
昔からこうなってしまったアンは私ではどうしようもありません。
それこそお父様かお母様の『命令』以外は誰が脅しても無駄なのです。
「はぁ。わかりましたわ]
私はアンの腕の中から抜け出すとベッドにはしたなく座り、そのまま体をベッドの上に倒しました。
「メアリー様、はしたないですよ」
そうたしなめるアンの声は、とりあえず言ってみただけという雰囲気を漂わせています。
「でも、その『あの方』ならお母様をなんとかして下さいますのね?」
「はい。ですのでお嬢様にはもう少し辛抱していただきたかったのですが」
アンのため息交じりの言葉に私はつい反論してしまう。
「だったらあの時、止めてくれればよかったのよ」
「ですから、お止めいたしましたよ」
「そうじゃなくて。力尽くでもってこと」
あくまでも侍従であるアンにそんな権限は無い事を知りながらも私はつい声を荒げてしまいます。
そして、そう口にした瞬間に私の中に後悔の念が浮かび上がるのです。
「ごめんなさい……アン」
「いいえ、お気になさらないで下さい。メアリー様がとてもお優しい聖女のようなお方だと私は知ってますから」
「もう。その『聖女』って呼び方やめてよ」
「うふふ。お返しでございます」
アンのその悪戯っぽい笑顔に私の後悔の念はあっという間に払拭されていくのです。
まったく、アンには適いませんわね。
「それではアンの言う『あの方』はいつ頃いらっしゃるのかしら?」
私は話を元に戻して、多分アンが答えられる範囲であろう事を尋ねてみます。
「詳しくはわかりませんが、今日か明日には到着すると聞いております」
「アンが連絡したのかしら?」
「はい……と言っても別に今日、メアリー様が爆発することを見越してではありませんよ」
「余計なこと言わなくて良いわよ」
苦笑気味に答えたアンに、私は仏頂面を向けます。
「先方様からちょうど準備が整ったとの連絡がございましたのが五日ほど前の事でした」
「そんなに?」
「それから準備をしてすぐに向かうとの事でしたので。あ、手紙は既に焼却処分してありますので見せることは出来ませんよ」
「周到ね」
私はアンとその『あの方』とやらが一体何をしようとしているのか気になって仕方がありません。
ですが、アンは絶対に口を割らないでしょう。
だとすればその『あの方』とやらがやってくるまで何もわからないまま過ごすしかありません。
「アン」
「なんでしょうか?」
「信じてるからね」
私は寝転び、天蓋を見上げながらそう呟くと体を反転させ枕に顔を埋めようとしたその時です。
コンコン。
私の部屋の扉から、控えめなノックの音が聞こえたのでした。
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