Marionette -マルチメイド編-

琉斗六

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Scene.4

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 結局、マツヲさんは『マリンちゃんとオマケのサム』を車に積載し、俺の購入した「柊一」は端っこに申し訳で乗せて貰って帰路についた。
 車の中でマツヲさんは『オマケのサム』の事に関して、ずっとブツブツ文句を言っていたが、俺を自宅マンションの前で降ろすとわざわざマリンちゃんを助手席にエスコートしていたから、買い物そのものは納得したのだろう。
 まるっきりハリウッド映画の『十戒』に出てきたユル・ブリンナーみたいなファッションの柊一を連れて、いつまでもマンションの前に立っている訳にも行かないので、俺はマツヲさんが運転席から降りてきてゴチャゴチャやっているのをそのままに、適当に挨拶をして早々に自宅に戻った。

 部屋の中は足の踏み場もないくらい散らかっていたし、もちろんリビングのソファの上だって物だらけだったから、俺はそこに乗っている脱いだ上着とかその他諸々を大雑把にどかして柊一を座らせる。
 とりあえず落ち着いた所でしげしげともう一度柊一の顔を眺め、俺は溜息を吐いた。
 自分事が一杯一杯になってしまったマツヲさんはともかく、新田店長に「持って帰るのは良いけど、起動はさせない方がイイよ」と言われているのだが……。
 ソファに座っている柊一に対して、俺は床に膝をつきやや下側から柊一を見上げている。
 断っておくが、俺は別に同性に発情するような趣味は持っていない。
 柊一にだって、そういうコトがしたいと思って買ったワケじゃないんだけど、でも端正な顔立ちとかスベスベで滑らかな肌質とかを眺めていると、モノスゴク「触れたくなる」感じがする。
 実際、頬に触れた指先に感じる感触は滑らかさを楽しみたくなる物だったし、一緒に伝わる温もりもついつい撫で撫でし続けたくなる物だった。
 自分でもこんなの「変態チック」だなって思うんだけど、気づけば俺は柊一の身体を腕に抱え込んでスベスベナデナデと半ば痴漢行為に等しい事をやりまくっている。
 そして、そんなコトをすれば当たり前だけどお情け程度にしか付いてない腰巻き(?)は、すぐにも解けて綺麗な身体は一糸纏わぬ姿になってしまった。
 全く、自分でもどうかしてるんじゃないかって思うんだけど。
 でも柊一の裸体が露わになった瞬間、俺は本気で「ドキッ!」としてしまった。
 別にマツヲさんが連れ帰ったマリンちゃんみたいにバスケットボールみたいなバストがあるとかってワケじゃないし、もちろんオマケのサムみたいなボディビルダーみたいな身体をしているってワケでもないんだけど。
 柊一の身体は、なんだかすごく「そそられる」感じがするのだ。
 脇腹から股間にかけてをスウッと撫でると、スリープしている筈の身体がピクンッと震えた。
 それにまたしても「ドキッ!」とする。
 うわ……なんだよ、スゴイ敏感じゃんか………。
 って言うか、もっと感じさせてみたくなる……みたいな……。
 思わず、やっぱり男だったらココが一番感じるよ………な? とか思って、あんまり深く考えずに茂みの中に指を滑り込ませたんだけど。
 あ……れ?
 なんか……変?
 悶える様子に気を取られつつも、ちょっと疑問に思って俺は付属の取説を見た。
 え? ちょっと待てよ?
 取説に書いてある事が咄嗟に理解出来ず、俺は説明書を片手に柊一の身体をソファに横たえて両足を開かせ、その間を覗き込んだ。
 うわっ、ホントだっ!
文字で見た時は頭が理解を拒絶したけど、現実にハッキリとした「そのもの」を目にしてようやく理解した。
 柊一は、両性モデルなのだ。
 愛玩用品であるL-Typeのマリオネットには3種類の性別(?)があって、外見上のMとFとは別に、男性・女性・両性が存在する。
 外見上はほっそりしたFでも性別は男性…なんてのも有りだし、その逆もまた然りだ。
 ちなみに全くの蛇足になるが、D-Typeには外見上のMとFがあるが性別は「無性」しか存在しない。
 そーいう目的には一切使用不可能に造られているから、必要ないのである。
 話が逸れた。
 知識としてはちゃんとそーいうモノが存在する…と知っていても、現実にそれを目の当たりにして俺はかなりの衝撃を受けていた。
 男性の象徴であるソレは少し小振りで、根元に金環が填っている。
 華奢に見えなくもない細い金色の輪は、表面に細かい彫刻が施されていて、金の掛かった造りをしている様子が窺えた。
 幹の裏側はいきなり少女の様相を呈し、あまりに見慣れないその光景に俺は不必要なまでにソコを指でいじり回してしまった。
 くちゅくちゅといやらしい粘着質な音と、感じやすい部分に触れる度にピクンっと震える身体の様子が、ものすごく「アンモラルなコトをしているな!」って感じを醸していて、ドキドキする。
 なんかこう……カワイコチャンを誘拐してきて、クロロフォルムとかを嗅がせて意識を混濁させた後、素っ裸にしてイタズラしてます……みたいな感じ?

「んん………っ!」

 しつっこいくらいソコをねちねちいじり回していたら、柊一の肢体がビクンッと跳ねて。
 ハッとなって顔を上げたら、ばっちりと目を開けた柊一と視線があった。
 スリープが解除されてしまった………らしい。

「あ………」

 咄嗟に言葉もなく、俺は凍り付いたように動けない。
 柊一は、己の状況を見極めた途端に、カアッと顔を赤らめた。

「放せッ!」

 いきなり手を払いのけられて、俺は我に返る。
 咄嗟にソファから起きあがって逃げ出そうとする身体を捕まえて、俺は柊一の身体を押さえ込むように体重を掛けた。

「いやだっ!」
「暴れるなッてっ!」

 両腕で拘束するみたいに抱き込んだ瞬間、柊一は身体を竦み上がらせる。
 何が起きたのか一瞬理解出来なかったけど、俺の手がツンッと立ち上がっていた柊一の乳首を乱暴に擦り上げたコトにすぐ気が付いた。
 感じてしまった事を押し隠すように目を閉じて口唇を噛んでいる、その表情に胸の奥の方がキューッとなって。
 思わず、指先で小さな突起を摘み上げてみる。

「ひあっ!」
「スッゲ、感度イイ………」

 柊一の反応がたまらなくて、俺は両方の突起をそれぞれ摘んでコリコリと指先で揉んだ。

「や……っ、あ……ぁ」

 俺を拒絶する声が、快感にとけていく。
 背中がゾクゾクするような、期待に胸がワクワクするような、そんな気分に囚われて。
 柊一の身体を仰向けにすると、俺は指を放した部分をそっと口に含んで吸い上げた。

「は………あぁ!」

 弓なりに仰け反る様子は、まるで先をねだって俺に身体を押しつけているようにすら思える。
 屹立した男性器は、尖端を透明な雫で濡らしていた。
 そこを煽り立てるように片手で握り込むと、堅い金属質の異物感があった。
 先刻の金環だ。

「エンゲージリング? 随分いやらしいアクセ付けてるね?」

 耳元で囁くと、柊一の身体がギクッと強張った。
 エンゲージリング……ってのは、俗称だ。
 俺はマリオネットそのものにそれほど精通していないが、なんせすぐ側にハマリこんでいるオーナー=マツヲさんがいるから、無駄な知識はいくらでも付いていたりする。
 この金環は、マリオネット専用の「大人のオモチャ的アクセ」なのだ。
 見た目は単なる金色の輪っかに過ぎないが、輪の中には人間の表皮とマリオネットの表皮を識別するセンサーが組み込まれていて、人間の手で操作した時だけ輪を緩める事が出来る。
 つまり、このリングが付いているマリオネットはご主人様の許可がない限り「イケ」ないのだ。
 右手で握り込んだペニスを強く扱くと、柊一は甘く啼きながら腰を震わせた。
 でも、どんなに追いつめられても、そこにエンゲージリングがある限りはそれが肉に食い込んでくるだけで熱を解放する事は出来ない。

「イキたいって、ねだってくれたら、緩めてあげるよ?」

 優しく囁いたのに、柊一は俺の顔を思いっきり睨みつけてきた。
 でも、その敵意を剥き出しにしたキツイ眼差しが、ますます俺をゾクゾクさせる。
 マリオネットの瞳はまるでCG美少女みたいだと、ライティングの時にも思ったけど。
 しかしあの時に見た無表情の瞳は、ただの黒いガラス玉みたいに俺の顔を映していただけなのに。
 今、俺を睨みつけている柊一の瞳は、同じ黒は黒なんだけどなんだか燃え上がる焔にも似た赤みを帯びた…いわば「怒りの黒」なのだ。

「こんなに感じてるのに、言わないんだ?」

 尖端を指先で撫で回してから、意地悪く爪を立てる。
 怒りの感情をそのままに俺を睨みつけていた瞳が、口惜しさに涙を浮かべた時、微かに色が変化した。
 燃え上がる焔を連想させる怒りの紅が、抗っても抗いきれない悔しさを滲ませる哀愁の蒼へ。
 話には聞いた事があったけど、これがいわゆるマリオネットの「グラデーション・アイズ」ってヤツらしい。
 感情を映して瞳の色が変わる機能なんだけど、間近で見たのは初めてだ。
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