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新婚編
邪神様、異世界でも限度があります
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先頭はアンジュとフレアに譲った。
その二人はでか虫を簡単に討伐していくので、サクサクと先へ進めた。
そしてついにでか虫ゾーンの一層を突破すると、俺たちは感極まってハイタッチで喜びを分かちあった。
「アンジュ、フレア、ありがとう。しばらく休んでくれ」
二人に感謝して、そして二人は消えた。
「悠太、ここからが本番ですね」
「うん、はりきってガンガンいこう!」
ん、あれは鬼か。やけに和風テイストだな。
しばらく歩いているとオーガとやらに出くわした。
「佐藤くん、オーガだよ、鬼だよ。すごい、アニメと一緒だよ」
凛子のテンションは先程とは打って変わってハイテンションになっていた。
彼女は刀を抜くと、ひょいと跳ねて間合いを詰めると袈裟斬りでオーガを真っ二つにして仕留めた。
「なんか弱いね、がっかりだよ」
振り向き様に彼女はそう言った。
いや、凛子が強いだけだろ。そう思ったが口には出さなかった。
赤鬼、青鬼と多くの鬼を四人で次々と倒していった。
迷宮二層の地図もあらかた完成したところで、ちょうど下の層に降りる階段を見つけた。
「悠太様、さあ、行きましょう」
エイルを先頭に慎重に階段を降りていった。
しかし、ラヴィックの迷宮もそうだが、なんで中は明るいのだろうか。理由は分からないが壁と天井が光っているのだけは確かだった。
階段を降りると二層とは違い通路が広く、天井も高かった。これは大型の魔物がでるということなのだろうか。
「悠太、広い通路ですから大型の魔物が出るかもしれませんし、集団で襲ってくる可能性がありますね」
さすがはヒルデだ。俺の見立てとほぼ同じだった。
「ではここからは前衛が俺、中衛にヒルデと凛子、そして後衛エイルで慎重に進もう」
俺たちは互いに目を合わせ、うなづくと慎重に歩を進めた。
最初の曲がり角を曲がると、やはり大型の魔物、トロール五体と出くわした。
エイルは魔法でトロールの足に蔦を絡ませて動きを封じ、俺は先頭から順に石の棍棒を持つ腕を斬り落としていった。
そこにヒルデと凛子がトドメを刺していく。
別に俺が仕留めても良かったのだが、それでは二人の活躍の場を奪ってしまうので敢えてやらなかった。
「エイル、ナイスサポート!」
「いえいえ、こんなのは暗黙の了解、以心伝心ですよ」
うん、やっぱり駆けだしの頃からのパーティなだけあって本当にやり易い。しっかり身についていたって事だな。
それからもトロールや、大型の双頭の蛇を倒し、通路を行ったり来たりしながら奥を目指した。
そしてついに俺たちは大きな扉を発見した。
「なあ、なんでこんな大きな扉が坑道にあるんだ。絶対におかしいよな」
「佐藤くん、お約束に文句を言ってはダメだよ。寛容な精神で受け入れて」
「でもさ、こんな扉が自然にできるか普通。剣と魔法の世界だからと言っても限度があるだろ」
「悠太、考えても無駄です。凛子の言う通り受け入れた方が色々と楽になりますよ」
「そうそう、無駄な事は考えないのが吉ですね」
そう言いながらエイルは扉を勢いよく押した。
「あ、俺が開けたかったのに」
「ふふふ、こういうのは早い者勝ちですよ」
中は暗いな。けど、かなりの広さがある感じだな。
「では慎重にいきますよ、暗いので周囲の警戒を怠らないようにしてください」
ヒルデのその言葉に俺を先頭にして右に凛子、左にヒルデ、後方にエイルと四人で菱形の隊列を組んで進んだ。
慎重に中程辺りまで進むと、両側の壁に松明の灯りのようなものが灯った。
そして奥から現れたのは大きなあの黒光りした虫の大群だった。そう、巨大ゴキブリだ。
ぎゃー! イヤーッ! こっち来るな!
俺たちの絶叫が響き渡った。
俺も、他の皆も腰を抜かしてへたり込んでしまった。
「もうダメだ、アンジュ、助けてぇー!」
俺の周りからアンジュを始めとした多くの精霊が現れた。
そして彼女達の一方的な蹂躙が始まった。
炎はもちろん、風、氷、岩などの色々な魔法が飛び交う。
彼女達の魔法は様々な輝きを放ちながら巨大ゴキブリを殲滅していく。
その彼女達の勇姿に目を奪われながら、俺は吐いた。
虫が焼ける臭いと、その気持ち悪さに、吐いた。
凛子とヒルデ、エイルは三人で抱き合って震えていたが、俺の異変に気付いて、四つん這いになりながらも介抱しに来てくれた。
もう、ダメだ……
俺は目の前が暗くなった。
気付くと、俺はヒルデの膝の上で寝ていた。
周りを見渡すと蒼い結界の中にいる事がわかった。
「ヒルデ、俺はどれくらい意識を失ってた」
「ほんの僅かな間ですよ」
ああ、そっか、まだアンジュ達も戦闘してるしな。
「悠太様、結界を張りましたので、もう大丈夫ですよ」
ああ、そういえば臭いもしないな。
「佐藤くん、大丈夫」
「うん、もう大丈夫だよ」
もう少しヒルデの膝の上で寝ていたかったが、煩悩を振り払い起き上がった。
アンジュ達の方を見ると、そろそろ戦闘も終わりに近づいているようだった。
「さすがにあの大群だと時間が掛かるよな」
「ええ、それに巣穴から次々と這い出てくるみたいで余計に手間取っているみたいですね」
巣穴、俺たちはゴキブリの巣の中にいるのか。
やばい、想像しただけで気を失いそうだ。
「アンジュ達がうまく巣穴に魔法を放って、塞いだようですね。ほんと彼女達は有能ですね」
戦闘が終わり、アンジュが俺のところに戻ってきた。
「悠太様、殲滅完了しました。気分は大丈夫ですか」
「うん、大丈夫。アンジュ、本当にありがとう」
俺はアンジュの手を両手で包んで感謝を伝えた。
「悠太様をお護りするのが、私達の使命ですから。お役に立てたようで嬉しいです」
「いやいや、アンジュ達は俺の命の恩人だよ。本当に感謝してるから」
俺は戻ってきた精霊達にも何度もお礼を言った。
そして、早々に凛子の瞬間転移で街まで戻った。
トラウマが心に深く刻まれた。
魔国に来てから幽霊だとか巨大ゴキブリだとか、悪いことばかりのような気がする。
しばらく静養したいと心から思った。
その二人はでか虫を簡単に討伐していくので、サクサクと先へ進めた。
そしてついにでか虫ゾーンの一層を突破すると、俺たちは感極まってハイタッチで喜びを分かちあった。
「アンジュ、フレア、ありがとう。しばらく休んでくれ」
二人に感謝して、そして二人は消えた。
「悠太、ここからが本番ですね」
「うん、はりきってガンガンいこう!」
ん、あれは鬼か。やけに和風テイストだな。
しばらく歩いているとオーガとやらに出くわした。
「佐藤くん、オーガだよ、鬼だよ。すごい、アニメと一緒だよ」
凛子のテンションは先程とは打って変わってハイテンションになっていた。
彼女は刀を抜くと、ひょいと跳ねて間合いを詰めると袈裟斬りでオーガを真っ二つにして仕留めた。
「なんか弱いね、がっかりだよ」
振り向き様に彼女はそう言った。
いや、凛子が強いだけだろ。そう思ったが口には出さなかった。
赤鬼、青鬼と多くの鬼を四人で次々と倒していった。
迷宮二層の地図もあらかた完成したところで、ちょうど下の層に降りる階段を見つけた。
「悠太様、さあ、行きましょう」
エイルを先頭に慎重に階段を降りていった。
しかし、ラヴィックの迷宮もそうだが、なんで中は明るいのだろうか。理由は分からないが壁と天井が光っているのだけは確かだった。
階段を降りると二層とは違い通路が広く、天井も高かった。これは大型の魔物がでるということなのだろうか。
「悠太、広い通路ですから大型の魔物が出るかもしれませんし、集団で襲ってくる可能性がありますね」
さすがはヒルデだ。俺の見立てとほぼ同じだった。
「ではここからは前衛が俺、中衛にヒルデと凛子、そして後衛エイルで慎重に進もう」
俺たちは互いに目を合わせ、うなづくと慎重に歩を進めた。
最初の曲がり角を曲がると、やはり大型の魔物、トロール五体と出くわした。
エイルは魔法でトロールの足に蔦を絡ませて動きを封じ、俺は先頭から順に石の棍棒を持つ腕を斬り落としていった。
そこにヒルデと凛子がトドメを刺していく。
別に俺が仕留めても良かったのだが、それでは二人の活躍の場を奪ってしまうので敢えてやらなかった。
「エイル、ナイスサポート!」
「いえいえ、こんなのは暗黙の了解、以心伝心ですよ」
うん、やっぱり駆けだしの頃からのパーティなだけあって本当にやり易い。しっかり身についていたって事だな。
それからもトロールや、大型の双頭の蛇を倒し、通路を行ったり来たりしながら奥を目指した。
そしてついに俺たちは大きな扉を発見した。
「なあ、なんでこんな大きな扉が坑道にあるんだ。絶対におかしいよな」
「佐藤くん、お約束に文句を言ってはダメだよ。寛容な精神で受け入れて」
「でもさ、こんな扉が自然にできるか普通。剣と魔法の世界だからと言っても限度があるだろ」
「悠太、考えても無駄です。凛子の言う通り受け入れた方が色々と楽になりますよ」
「そうそう、無駄な事は考えないのが吉ですね」
そう言いながらエイルは扉を勢いよく押した。
「あ、俺が開けたかったのに」
「ふふふ、こういうのは早い者勝ちですよ」
中は暗いな。けど、かなりの広さがある感じだな。
「では慎重にいきますよ、暗いので周囲の警戒を怠らないようにしてください」
ヒルデのその言葉に俺を先頭にして右に凛子、左にヒルデ、後方にエイルと四人で菱形の隊列を組んで進んだ。
慎重に中程辺りまで進むと、両側の壁に松明の灯りのようなものが灯った。
そして奥から現れたのは大きなあの黒光りした虫の大群だった。そう、巨大ゴキブリだ。
ぎゃー! イヤーッ! こっち来るな!
俺たちの絶叫が響き渡った。
俺も、他の皆も腰を抜かしてへたり込んでしまった。
「もうダメだ、アンジュ、助けてぇー!」
俺の周りからアンジュを始めとした多くの精霊が現れた。
そして彼女達の一方的な蹂躙が始まった。
炎はもちろん、風、氷、岩などの色々な魔法が飛び交う。
彼女達の魔法は様々な輝きを放ちながら巨大ゴキブリを殲滅していく。
その彼女達の勇姿に目を奪われながら、俺は吐いた。
虫が焼ける臭いと、その気持ち悪さに、吐いた。
凛子とヒルデ、エイルは三人で抱き合って震えていたが、俺の異変に気付いて、四つん這いになりながらも介抱しに来てくれた。
もう、ダメだ……
俺は目の前が暗くなった。
気付くと、俺はヒルデの膝の上で寝ていた。
周りを見渡すと蒼い結界の中にいる事がわかった。
「ヒルデ、俺はどれくらい意識を失ってた」
「ほんの僅かな間ですよ」
ああ、そっか、まだアンジュ達も戦闘してるしな。
「悠太様、結界を張りましたので、もう大丈夫ですよ」
ああ、そういえば臭いもしないな。
「佐藤くん、大丈夫」
「うん、もう大丈夫だよ」
もう少しヒルデの膝の上で寝ていたかったが、煩悩を振り払い起き上がった。
アンジュ達の方を見ると、そろそろ戦闘も終わりに近づいているようだった。
「さすがにあの大群だと時間が掛かるよな」
「ええ、それに巣穴から次々と這い出てくるみたいで余計に手間取っているみたいですね」
巣穴、俺たちはゴキブリの巣の中にいるのか。
やばい、想像しただけで気を失いそうだ。
「アンジュ達がうまく巣穴に魔法を放って、塞いだようですね。ほんと彼女達は有能ですね」
戦闘が終わり、アンジュが俺のところに戻ってきた。
「悠太様、殲滅完了しました。気分は大丈夫ですか」
「うん、大丈夫。アンジュ、本当にありがとう」
俺はアンジュの手を両手で包んで感謝を伝えた。
「悠太様をお護りするのが、私達の使命ですから。お役に立てたようで嬉しいです」
「いやいや、アンジュ達は俺の命の恩人だよ。本当に感謝してるから」
俺は戻ってきた精霊達にも何度もお礼を言った。
そして、早々に凛子の瞬間転移で街まで戻った。
トラウマが心に深く刻まれた。
魔国に来てから幽霊だとか巨大ゴキブリだとか、悪いことばかりのような気がする。
しばらく静養したいと心から思った。
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