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手紙
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一矢と愛弓は霊安室出てベンチに座っていた。
二人ともこの短時間でげっそりとしてしまっていた。
霊安室の扉が開き、弦希の母が一矢の横に腰を下ろした。
「今日、弦希が事故にあった時に荷物が散乱してたんだけどその中にこんなものがあったの」
そう言ってかばんから取り出したのは2通の手紙だった。
「宛名は一矢君と愛弓ちゃん宛になっていてね、今日卒業式終わったあとに渡すつもりだったんじゃないかと思ってね、あの子本心を話すのが苦手だからきっと手紙にして渡そうとしてたんじゃないかな、だから二人に弦希の最後の想いを受け取ってほしいの」
手紙を一矢、愛弓に差し出した。
二人とも無言で受け取り、愛弓はまた泣いてしまった。
「二人とも弦希の分も生きてね、それと忘れないであげてね」
母の目からは大粒の涙が流れていた。
その日はもう一矢も愛弓も家に帰った。
一矢は帰ってすぐには手紙を読む気にはなれなかった。
読んでしまえば弦希との最後の会話が終わってしまうような気がして、どうしても開くことができなかった。
愛弓も同じ気持ちだったのだろう、ラインが入っていた。
「一人で手紙を読む気にはなれなくて、一緒に読まない?」
一矢もその方が自分も読めそうだと思い承諾した。
--------------------------------------------------
翌日
雲一つない青空に、春風が優しく吹いていた。
一矢と愛弓は学校の桜の木の下で待ち合わせていた。
一矢が約束の場所へ行くと既に愛弓は待っていた。
愛弓はどこか遠くを見ていて一矢に気づいていない。
「おまたせ」
「ごめんね、一人で読む勇気がなくてさ」
愛弓はかなりやつれてしまった表情だった。
一矢はもしかしたら自分もかなりやつれているかもと思った。
「そばにいるから手紙読みなよ、俺も読むから」
今まで貰った手紙の中でも一番重たく感じられた。
ここに込められたのは弦希の最後のメッセージだ。
卒業式に一体何を二人に伝えたのか、そして二人はその想いを一生背負っていこうと決意して手紙を開いた。
二人ともこの短時間でげっそりとしてしまっていた。
霊安室の扉が開き、弦希の母が一矢の横に腰を下ろした。
「今日、弦希が事故にあった時に荷物が散乱してたんだけどその中にこんなものがあったの」
そう言ってかばんから取り出したのは2通の手紙だった。
「宛名は一矢君と愛弓ちゃん宛になっていてね、今日卒業式終わったあとに渡すつもりだったんじゃないかと思ってね、あの子本心を話すのが苦手だからきっと手紙にして渡そうとしてたんじゃないかな、だから二人に弦希の最後の想いを受け取ってほしいの」
手紙を一矢、愛弓に差し出した。
二人とも無言で受け取り、愛弓はまた泣いてしまった。
「二人とも弦希の分も生きてね、それと忘れないであげてね」
母の目からは大粒の涙が流れていた。
その日はもう一矢も愛弓も家に帰った。
一矢は帰ってすぐには手紙を読む気にはなれなかった。
読んでしまえば弦希との最後の会話が終わってしまうような気がして、どうしても開くことができなかった。
愛弓も同じ気持ちだったのだろう、ラインが入っていた。
「一人で手紙を読む気にはなれなくて、一緒に読まない?」
一矢もその方が自分も読めそうだと思い承諾した。
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翌日
雲一つない青空に、春風が優しく吹いていた。
一矢と愛弓は学校の桜の木の下で待ち合わせていた。
一矢が約束の場所へ行くと既に愛弓は待っていた。
愛弓はどこか遠くを見ていて一矢に気づいていない。
「おまたせ」
「ごめんね、一人で読む勇気がなくてさ」
愛弓はかなりやつれてしまった表情だった。
一矢はもしかしたら自分もかなりやつれているかもと思った。
「そばにいるから手紙読みなよ、俺も読むから」
今まで貰った手紙の中でも一番重たく感じられた。
ここに込められたのは弦希の最後のメッセージだ。
卒業式に一体何を二人に伝えたのか、そして二人はその想いを一生背負っていこうと決意して手紙を開いた。
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