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謎の箱
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総司は既視感を感じていた。
男に押されたとき、とっさに葉月を心配してそれどころではなかったのだが、落ち着き始めて、男に押された感覚が、以前、感じた感覚を思い出しそうになっていた。
それがいつだったのか、どこだったのかまではわからない、けれど確かに体験していたと確信できる何かを感じていた。
「総司さん、大丈夫?」
ぼんやりとしていた総司を心配して葉月は声をかけた。
「ああ、大丈夫、ちょっとまだびっくりしていて・・・・。
それより、何か取られていないか確認しないと。
片付けついでに確認しよう」
まずは生活の中心となるリビングから二人で片付けに取り掛かった。
幸いにも食器類はロックついている棚だったため、無事だった。
突っ張り棒もあったので倒れる事もなく、少し位置がずれてる程度で済んでいた。
リビングがある程度片付き、あとは葉月に任せて別の部屋を片付ける為に移動した。
リビングから廊下に出て、右手にある一番手前の部屋に入った。
化粧道具やぬいぐるみがあることからここは葉月の部屋という事がわかった。
見られたくないものもあるだろうと思い、総司は隣の部屋へ移動しようとしたとき、気になるものが視界に入った。
それを拾い上げて、見てみるとそこには幼い頃の総司、葉月、そしてもう一人、葉月と瓜二つの少女が笑顔で写っている写真だった。
葉月は双子だったのか、そして、俺と葉月、少女は昔からの馴染みだったのか。
あくまで推測の範囲だがおそらくそれに近い関係であることは間違いなかった。
他にも写真はないのだろうか?
辺りを探してみたがそれらしきものは出てこなかった。
ただ、気になる箱が見つかった。
鍵がかけられており、葉月にとって誰にも見せたくないものが入っているのだろう。
人は未知の領域が目の前にあると、探究心が刺激され、その先へ行ってみたくなる。
総司も今、探究心が刺激され、理性が駄目だと警告を出しているにも関わらず、箱へ手を伸ばしていた。
例え妻であってもプライバシーはあるだろうし、そこへ踏み込むのはプライバシーの侵害になるだろう。
そして、それは信頼と言う厚い壁を、いとも簡単に崩してしまう行動でもある。
記憶が無いとはいえ、今まで葉月と築いてきた関係もあるだろう。
それに、記憶を取り戻すためにも葉月と一緒にいた方が記憶を取り戻せる機会も多いだろうと思った。
何よりも、妻の傷つくことはしてはいけないと思い。
箱から手を引いた。
何故かはわからないが、その箱の中には記憶に繋がる重要な物があるような気がしていた。
まるで、箱が「記憶はこの中にある、あけてごらん」と総司を導いているような、そんな感覚に囚われていた。
「どうしたの?」
と葉月に声をかけられ、総司はとっさに振り向いた。
さっき見た写真の事を聞いても良かったのだが、勝手に部屋を見てしまった後ろめたさもあり、聞くのを辞め、何事もないふりをして、部屋を出ていった。
そのまま隣の部屋へと向かうと、壁にはあらゆる景色の写真が飾られていた。
そして、部屋には大きな棚があり、棚の下にカメラやレンズが散乱していた。
地震の際に棚から落ちてしまったのだろう。
以前母親にカメラマンをしている事を聞いていたので、間違いなくこの部屋は総司の部屋だとすぐにわかった。
総司はカメラを手に取り、記録画像を再生していく。
どれも風景等の写真ばかりだった。
特に面白そうなものもなく、ちょっとがっかりした。
他にも何かあるかもしれないと思い、部屋を色々と見て回ったが特に何も無かった。
ここが最後かと机の引き出しを開けると、そこには使い捨てカメラが入っていた。
残りのシャッター枚数を見ると0になっていた。
まだ、現像されていないカメラの中身に興味が湧いた総司は、忘れないようにカメラをかばんに入れた。
片付けを再開し、夜には何とか片付ける事ができた。
幸いにも、まだ盗まれる前だったようで、特になくなっていた物は無かった。
男に押されたとき、とっさに葉月を心配してそれどころではなかったのだが、落ち着き始めて、男に押された感覚が、以前、感じた感覚を思い出しそうになっていた。
それがいつだったのか、どこだったのかまではわからない、けれど確かに体験していたと確信できる何かを感じていた。
「総司さん、大丈夫?」
ぼんやりとしていた総司を心配して葉月は声をかけた。
「ああ、大丈夫、ちょっとまだびっくりしていて・・・・。
それより、何か取られていないか確認しないと。
片付けついでに確認しよう」
まずは生活の中心となるリビングから二人で片付けに取り掛かった。
幸いにも食器類はロックついている棚だったため、無事だった。
突っ張り棒もあったので倒れる事もなく、少し位置がずれてる程度で済んでいた。
リビングがある程度片付き、あとは葉月に任せて別の部屋を片付ける為に移動した。
リビングから廊下に出て、右手にある一番手前の部屋に入った。
化粧道具やぬいぐるみがあることからここは葉月の部屋という事がわかった。
見られたくないものもあるだろうと思い、総司は隣の部屋へ移動しようとしたとき、気になるものが視界に入った。
それを拾い上げて、見てみるとそこには幼い頃の総司、葉月、そしてもう一人、葉月と瓜二つの少女が笑顔で写っている写真だった。
葉月は双子だったのか、そして、俺と葉月、少女は昔からの馴染みだったのか。
あくまで推測の範囲だがおそらくそれに近い関係であることは間違いなかった。
他にも写真はないのだろうか?
辺りを探してみたがそれらしきものは出てこなかった。
ただ、気になる箱が見つかった。
鍵がかけられており、葉月にとって誰にも見せたくないものが入っているのだろう。
人は未知の領域が目の前にあると、探究心が刺激され、その先へ行ってみたくなる。
総司も今、探究心が刺激され、理性が駄目だと警告を出しているにも関わらず、箱へ手を伸ばしていた。
例え妻であってもプライバシーはあるだろうし、そこへ踏み込むのはプライバシーの侵害になるだろう。
そして、それは信頼と言う厚い壁を、いとも簡単に崩してしまう行動でもある。
記憶が無いとはいえ、今まで葉月と築いてきた関係もあるだろう。
それに、記憶を取り戻すためにも葉月と一緒にいた方が記憶を取り戻せる機会も多いだろうと思った。
何よりも、妻の傷つくことはしてはいけないと思い。
箱から手を引いた。
何故かはわからないが、その箱の中には記憶に繋がる重要な物があるような気がしていた。
まるで、箱が「記憶はこの中にある、あけてごらん」と総司を導いているような、そんな感覚に囚われていた。
「どうしたの?」
と葉月に声をかけられ、総司はとっさに振り向いた。
さっき見た写真の事を聞いても良かったのだが、勝手に部屋を見てしまった後ろめたさもあり、聞くのを辞め、何事もないふりをして、部屋を出ていった。
そのまま隣の部屋へと向かうと、壁にはあらゆる景色の写真が飾られていた。
そして、部屋には大きな棚があり、棚の下にカメラやレンズが散乱していた。
地震の際に棚から落ちてしまったのだろう。
以前母親にカメラマンをしている事を聞いていたので、間違いなくこの部屋は総司の部屋だとすぐにわかった。
総司はカメラを手に取り、記録画像を再生していく。
どれも風景等の写真ばかりだった。
特に面白そうなものもなく、ちょっとがっかりした。
他にも何かあるかもしれないと思い、部屋を色々と見て回ったが特に何も無かった。
ここが最後かと机の引き出しを開けると、そこには使い捨てカメラが入っていた。
残りのシャッター枚数を見ると0になっていた。
まだ、現像されていないカメラの中身に興味が湧いた総司は、忘れないようにカメラをかばんに入れた。
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幸いにも、まだ盗まれる前だったようで、特になくなっていた物は無かった。
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