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やり残した事
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総司は指輪交換の写真見て、その日の事を思い出した訳ではなかった。
指輪を見て、指輪を買いに行った日の事を思い出していた。
------------------------------------------------------
4年半前に遡る。
結婚式の半年前、二人は指輪を買うために、街へ来ていた。
ここの街はブランドショップが集まっていて、指輪を探すには絶好の場所であった。
街にはお洒落に身を包んだ人達がよく目についた。
普段お洒落なんてしない総司は、葉月からみれば浮いている様に見えた。
総司は全く気にもしていない様子だ。
「私だったら、そうちゃんのかっこで街を歩けないな」
繋いでいた手を離し、一歩引いた場所から総司の服装を見て言った。
総司は少しムスッとしてほっとけよと言って、横断歩道を渡った。
葉月は小走りで追いかけた。
「そうちゃん、結婚する事が決まってどんな気分?」
葉月は総司の一歩前に出て、総司の顔を覗いて聞く。
その時の笑顔は、幸せだよとか、楽しみだねっていう答えを待っている顔だった。
「うーん、付き合い長いし、新鮮さがないよな。
まだ実感もわかないし、特にこれと言って思う事はないかな」
ファストフード店を通り過ぎながら、メニューを流し見て総司は言った。
「なにそれ!もうちょい気の利いた事言えないの?」
葉月は、早足で総司を置いていく。
「おい!葉月、待てって、新婚生活楽しみだって」
葉月は耳を貸さず、そのまま指輪の店に入っていった。
総司も後を追って店に入ると、葉月がさっきとは打って変わって、目をキラキラさせていた。
「そうちゃん!みてみて」
そう言ってショーウィンドウに飾られている指輪を見ている。
総司は葉月の切り替えの速さに救われる思いだった。
機嫌を損なわれた状態で指輪を選ぶことを想像すると気が滅入りそうだった。
直ぐに、スタッフが二人のもとへやってきた。
「いらっしゃいませ、ご予約はされていますか?」
二人は、いろんな店をぶらぶらするつもりだった為、時間を縛られるのが嫌で予約はしなかったのだ。
「いえ、予約して無いんですけど、大丈夫ですか?」
スタッフは愛想よく大丈夫ですよと、席へ案内してくれた。
結婚指輪を探していると伝えると、一冊のパンフレットを持ってきてくれた。
パンフレットから気に入った物を選んだら現物とそれに似たデザインの物を用意してくれるらしい。
葉月と1ページずつ、時間をかけてじっくりと吟味していく。
途中、店側が紅茶と茶菓子を用意してくれた。
買うと決めたわけではないのに、ここまでおもてなしをされると申し訳ない気持ちになる。
パンフレットを一通り見終わったあと、二人で3つほど候補を出し、その中から一つを選んだ。
しばらくして、指輪を台に載せて二人のもとへ運ばれる。
「うわー!綺麗!私これがいい!」
「え?他の店はみなくていいの?」
葉月は指輪に一目惚れしてしまい、結局最初の店で指輪は決まった。
支払いを済ませたあと、余った時間を潰すために適当なカフェに入る事にした。
「指輪が決まると少し、実感が湧いてきたよ、楽しみになってきた」
と水を一口飲み、総司は言った。
「実感湧くの遅すぎ」
葉月は嬉しそうに言った。
ウエイトレスが注文した珈琲を運んできた。
二人は軽くウエイトレスに頭を下げて、話に戻った。
「そういえば指輪買うの初めてだよね」
と葉月は言った。
総司には耳の痛い話だった。
プロポーズをしていなかった為に婚約指輪を買っていない後ろめたさを感じていたのだ。
だったらなんでしなかったのかという疑問の声がどこからか聞こえてるようだから答えるが、いいプロポーズが思いつかなかったのだ。
一生に一度だからこそ、最高のプロポーズを用意しようと考えるうちに、しびれを切らした葉月が結婚をせがむようになってきた。
それで結婚する事になり、半年後には式も控えている。
完全にプロポーズのタイミングを逃してしまったのだ。
夫婦になるために通る道を迂回してしまったのだ。
記憶を取り戻した総司はその時の、申し訳ない気持ちを思い出していた。
指輪を見て、指輪を買いに行った日の事を思い出していた。
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4年半前に遡る。
結婚式の半年前、二人は指輪を買うために、街へ来ていた。
ここの街はブランドショップが集まっていて、指輪を探すには絶好の場所であった。
街にはお洒落に身を包んだ人達がよく目についた。
普段お洒落なんてしない総司は、葉月からみれば浮いている様に見えた。
総司は全く気にもしていない様子だ。
「私だったら、そうちゃんのかっこで街を歩けないな」
繋いでいた手を離し、一歩引いた場所から総司の服装を見て言った。
総司は少しムスッとしてほっとけよと言って、横断歩道を渡った。
葉月は小走りで追いかけた。
「そうちゃん、結婚する事が決まってどんな気分?」
葉月は総司の一歩前に出て、総司の顔を覗いて聞く。
その時の笑顔は、幸せだよとか、楽しみだねっていう答えを待っている顔だった。
「うーん、付き合い長いし、新鮮さがないよな。
まだ実感もわかないし、特にこれと言って思う事はないかな」
ファストフード店を通り過ぎながら、メニューを流し見て総司は言った。
「なにそれ!もうちょい気の利いた事言えないの?」
葉月は、早足で総司を置いていく。
「おい!葉月、待てって、新婚生活楽しみだって」
葉月は耳を貸さず、そのまま指輪の店に入っていった。
総司も後を追って店に入ると、葉月がさっきとは打って変わって、目をキラキラさせていた。
「そうちゃん!みてみて」
そう言ってショーウィンドウに飾られている指輪を見ている。
総司は葉月の切り替えの速さに救われる思いだった。
機嫌を損なわれた状態で指輪を選ぶことを想像すると気が滅入りそうだった。
直ぐに、スタッフが二人のもとへやってきた。
「いらっしゃいませ、ご予約はされていますか?」
二人は、いろんな店をぶらぶらするつもりだった為、時間を縛られるのが嫌で予約はしなかったのだ。
「いえ、予約して無いんですけど、大丈夫ですか?」
スタッフは愛想よく大丈夫ですよと、席へ案内してくれた。
結婚指輪を探していると伝えると、一冊のパンフレットを持ってきてくれた。
パンフレットから気に入った物を選んだら現物とそれに似たデザインの物を用意してくれるらしい。
葉月と1ページずつ、時間をかけてじっくりと吟味していく。
途中、店側が紅茶と茶菓子を用意してくれた。
買うと決めたわけではないのに、ここまでおもてなしをされると申し訳ない気持ちになる。
パンフレットを一通り見終わったあと、二人で3つほど候補を出し、その中から一つを選んだ。
しばらくして、指輪を台に載せて二人のもとへ運ばれる。
「うわー!綺麗!私これがいい!」
「え?他の店はみなくていいの?」
葉月は指輪に一目惚れしてしまい、結局最初の店で指輪は決まった。
支払いを済ませたあと、余った時間を潰すために適当なカフェに入る事にした。
「指輪が決まると少し、実感が湧いてきたよ、楽しみになってきた」
と水を一口飲み、総司は言った。
「実感湧くの遅すぎ」
葉月は嬉しそうに言った。
ウエイトレスが注文した珈琲を運んできた。
二人は軽くウエイトレスに頭を下げて、話に戻った。
「そういえば指輪買うの初めてだよね」
と葉月は言った。
総司には耳の痛い話だった。
プロポーズをしていなかった為に婚約指輪を買っていない後ろめたさを感じていたのだ。
だったらなんでしなかったのかという疑問の声がどこからか聞こえてるようだから答えるが、いいプロポーズが思いつかなかったのだ。
一生に一度だからこそ、最高のプロポーズを用意しようと考えるうちに、しびれを切らした葉月が結婚をせがむようになってきた。
それで結婚する事になり、半年後には式も控えている。
完全にプロポーズのタイミングを逃してしまったのだ。
夫婦になるために通る道を迂回してしまったのだ。
記憶を取り戻した総司はその時の、申し訳ない気持ちを思い出していた。
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