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二人の想い
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まさか凛音の母と湊音が師弟の関係だと想像もしなかった。
そして娘である凛音と湊音が偶然出会い、湊音の恩師への思いを伝えるために二人で凛音の実家へと向かっていた。
恩師に何も言わずにピアニストを辞めて以来、7年間会ったことがなかった湊音はどんな顔で会えばいいのか、そしてなんて謝ればいいのか悩んでいた。
今更何を言っても言い訳になってしまうだろう。
湊音は恩師を裏切ったのだ、そんな裏切者を許すだろうか?
顔も見たくないと思うのが自然だと思う。
家に近づくにつれ、本当に今更謝りに行っていいのだろうかと思い始めていた。
そんな不安そうな湊音をみた凛音は声をかけた。
「不安そうですね」
しばらく沈黙して湊音は言う。
「僕は先生を裏切ったんです。
謝っても許されないかもしれない、もしかしたら顔も見たくないと思っている可能性もあるでしょうし・・・」
湊音の言っている事はごもっともだと思う。
恩師に報告もせずにピアニストを辞めたのは良くないことだと思う、けれどもピアニストをやめた理由が何なのか、凛音は気になった。
よっぽどの事があったのではないだろうか。
そのことを無視して湊音を責めることは間違っているような気もする。
もちろん許すか許さないかは母次第なのだが。
「月城さんの気持ちはなんとなくわかります、けれど月城さんにも理由があってやったことなんでしょう?そのことをしっかりと話せば許してくれるかもしれませんよ」
そう言われた湊音は過去を思い出したのか、思いつめた表情で
「そうですよね・・・・」
といった。
「実は私も母親とはあまり仲良くなくて、たまにしか実家に帰らないんですよ、昔喧嘩してしまってからなんか気まずくて、そのままずるずるとここまで来ちゃったんです」
凛音は話しながら昔のことを思い出していた。
私は母の想いを受けれず自分のやりたいように突っ走ってきた。
それで今は楽しいと思える人生を送っている。
けれども母との関係が悪いまま母と別れる日を迎えるのも寂しいと思う気持ちもあった。
それに父はもう他界してしまっていて、家族は母しかいない、母には私しかいない。
もしかしたらお母さんも寂しい思いをしているかもしれない。
大人になってからそう思うようになっていた。
ピアニストを目指していたら違った未来があったのだろうか。
「だったら凛音さんもこの機会に話し合ってみてはどうですか?」
突然の提案に迷う凛音。
親に本音を打ち明ける勇気がなかった。
しばらく黙って考えていると湊音が元気付けるように背中を押してくれた。
「今日は僕も一緒ですし、痛み分けというか、その一人の時よりも話しやすいかも知れませんよ。
もし怒られるなら僕も一緒に怒られます。
僕は許されるかわかりませんが、凛音さんは実の娘さんですし気持ちが伝わりやすいんじゃないかと思います。
それにこういう機会じゃないと話せないでしょう?」
湊音の言う通りだ、こんな機会がない限りずっと逃げ続けているだろう。
凛音は母と向き合ってみようと決意した。
そして娘である凛音と湊音が偶然出会い、湊音の恩師への思いを伝えるために二人で凛音の実家へと向かっていた。
恩師に何も言わずにピアニストを辞めて以来、7年間会ったことがなかった湊音はどんな顔で会えばいいのか、そしてなんて謝ればいいのか悩んでいた。
今更何を言っても言い訳になってしまうだろう。
湊音は恩師を裏切ったのだ、そんな裏切者を許すだろうか?
顔も見たくないと思うのが自然だと思う。
家に近づくにつれ、本当に今更謝りに行っていいのだろうかと思い始めていた。
そんな不安そうな湊音をみた凛音は声をかけた。
「不安そうですね」
しばらく沈黙して湊音は言う。
「僕は先生を裏切ったんです。
謝っても許されないかもしれない、もしかしたら顔も見たくないと思っている可能性もあるでしょうし・・・」
湊音の言っている事はごもっともだと思う。
恩師に報告もせずにピアニストを辞めたのは良くないことだと思う、けれどもピアニストをやめた理由が何なのか、凛音は気になった。
よっぽどの事があったのではないだろうか。
そのことを無視して湊音を責めることは間違っているような気もする。
もちろん許すか許さないかは母次第なのだが。
「月城さんの気持ちはなんとなくわかります、けれど月城さんにも理由があってやったことなんでしょう?そのことをしっかりと話せば許してくれるかもしれませんよ」
そう言われた湊音は過去を思い出したのか、思いつめた表情で
「そうですよね・・・・」
といった。
「実は私も母親とはあまり仲良くなくて、たまにしか実家に帰らないんですよ、昔喧嘩してしまってからなんか気まずくて、そのままずるずるとここまで来ちゃったんです」
凛音は話しながら昔のことを思い出していた。
私は母の想いを受けれず自分のやりたいように突っ走ってきた。
それで今は楽しいと思える人生を送っている。
けれども母との関係が悪いまま母と別れる日を迎えるのも寂しいと思う気持ちもあった。
それに父はもう他界してしまっていて、家族は母しかいない、母には私しかいない。
もしかしたらお母さんも寂しい思いをしているかもしれない。
大人になってからそう思うようになっていた。
ピアニストを目指していたら違った未来があったのだろうか。
「だったら凛音さんもこの機会に話し合ってみてはどうですか?」
突然の提案に迷う凛音。
親に本音を打ち明ける勇気がなかった。
しばらく黙って考えていると湊音が元気付けるように背中を押してくれた。
「今日は僕も一緒ですし、痛み分けというか、その一人の時よりも話しやすいかも知れませんよ。
もし怒られるなら僕も一緒に怒られます。
僕は許されるかわかりませんが、凛音さんは実の娘さんですし気持ちが伝わりやすいんじゃないかと思います。
それにこういう機会じゃないと話せないでしょう?」
湊音の言う通りだ、こんな機会がない限りずっと逃げ続けているだろう。
凛音は母と向き合ってみようと決意した。
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