【R18】忘れ草の咲く森〜想いを失ったのは、結ばれるきっかけにすぎなかった〜

天野すす

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幼馴染

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【忘れ草】
 3月の誕生花。
 橙赤色だいだいあかいろの、百合のような6弁花。
 花言葉は『愛の忘却』





 思いもよらない。

 
 後ろから、突然、壁に押し付けられ、夕輝は抵抗した。


「ちょっ……何するんだよ! やめろ、蒼空!」

「やめない! ずっと後悔してた。もう、嘘をついたりなんかしない」

 バン、バンと叩いた壁から、額が落ち、ガラスが割れた。

 それは、まだ高校生だった頃の、屈託なく笑っている2人の写真。



 久しぶり帰ってきた、故郷。

 同級生が集まり、酒を飲む事になった。

 実を言えば、俺は下戸。だけど、カッコがつかないから、上手いこと誤魔化していた。

(クソ、力が入らない)

 間違って呑んでしまった酒で、歩けなくなった俺は、幼馴染である蒼空の家に担ぎ込まれた。


 この時は、まだ、彼がこんな事をするとは疑いもしていなかった。




 磔にされているにも関わらず、なぜか、壁に貼られた広告の内容が目に入った。

『春祭り』

 その字に、夕輝は目を細めていると、背中の、ねっとり、とした感覚で、身体をのけぞらせる。


「お……い……んっ!」


 快感に似た、熱の籠る、甘い刺激。
 ゆっくりと、体を撫でられ、痺れる……


「ぁぁ……っ」
「夕輝、可愛い」


 前にも言われたような事があるのに、頭は、今の事しか、考えさせてはくれなかった。

 笑いを零して、吐き出した、蒼空の熱い息が、更に夕輝から力を奪っていく。

「蒼空……」

 押し付けていた力はいつの間にか無くなっていた。

 そのかわり、床に座り込み、夕輝は惚けた、だらしない顔で、蒼空を見上げていた。


「今、楽にしてやるからな」
「あっ……あぁ」


 足の間にある昂りを弄られ、夕輝は首を振る。


「やめ……あ……やだ」
「大丈夫」


 何が大丈夫だ。

 そんな思いは、屹立の、ぐちゅぐちゅと淫らな音にかき消された。


「んんっ……ぁ……ん」
「顔……見せて」


 静かな部屋で、響き渡る、痴情の音。

 匂い。




 恥ずかしい……


 夕輝は顔を隠していたが、顔から腕を剥がされ、そのまま……床に押し倒された。

 喘ぐ声が、まだ自分のものだと受け入れられないまま、快楽にただ身を任せる。

 互いの息遣い。蒼空の苦悶している顔に、きゅうっ、と胸が締め付けられた。


「夕輝? 痛い?」


 夕輝は、泣いていた。

 違う……これは。

 首を振り、忙しく呼吸をしながら、口を開いて一言だけ、零した。


「……怖い」

 蒼空が、そんな自分を見て、妖艶に唇を舐め、笑みを浮かべる。


 その間も止められる事なく、繰り返される執拗な愛撫が、夕輝を高みへと導いていく。


「あぁ……んっ……んっ……はぁ……ぁ」


 怖い。
 だけど、止める事もできなかった。


「蒼空……蒼空……もう……ぁあ!!」


 チカチカ、と目の前が光り、一気に焦点が合わなくなる。

 それと同時に、乳白の飛沫が、体に散った。


「夕輝、思い出して。次は、一つに繋がろう……」


 体が、ビクビクと痙攣を起こし、蒼空の声が聞こえた後、脳は、もう、すでに考える事をやめ、夕輝の意識は、闇の中へと落ちていった。
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