【R18】忘れ草の咲く森〜想いを失ったのは、結ばれるきっかけにすぎなかった〜

天野すす

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通じあう想い

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 蒼空の家に連れてくる頃には、夕輝も少し酒が抜けてきていた。

「なぁ、怒ってるのか?」

 さっきから、蒼空入って黙ったままだった。

「怒ってない」

 その割には、眉間に皺を寄せて、我慢しているように見えた。

「1人で歩けるから、離せよ」
「やだ……」

 街灯がぼんやり滲んで、はらはらと落ちてくる桜の花びらに降られながら、2人は蒼空の家に着く。

 支えがある安心感で、夕輝は、もう、ウトウトとしていた。

「蒼空。帰ったの? まぁっ! そんなに飲ませて」
「ほっとけよ。少し寝かせるから」

 離れに行く2人の後ろ姿を、母親は生暖かい目を向けていた。

『久しぶりだから、仕方ないわよね』

 そんな声が聞こえてきそうだった。



「なぁ……」

「起きたのか? お前ん家連絡しとくから、泊まってけよ」

「あぁ……うん。でも、よかったのか? 世砂ほっといて帰ってきて」

「何言ってんだ? お前」

 ベッドに座らせようと、肩にかけていた腕をゆっくり外していく。


「だって、大事な人って世砂なんだろ?」

 その言葉を聞いて、今まで我慢していた気持ちが、怒涛のごとく押し寄せ、緒をブチ切った。

「ちょっ!」

 手首を掴んで、体を押さえつけると、唇に食らいつく。

 ジタバタと抵抗する夕輝を、そのまま押し倒そうとして、腹に蹴りを入れられた。

「うっ……てぇ!」

 びっくりしている目は、蒼空の下半身に向けられていた。

(逃がさない!)

 逃げ出した夕輝を壁に押し付け、ムダな抵抗をしているのもお構いなしに、服を捲し上げて、背中を舐め上げる。

「お……い……んっ!」

 手を這わせて、胸にある突起を指でコリコリと擦ると、湯上がりのような熱い肌を震わせ、官能的な匂いが漂った。

「あ……ぁぁ!」

 蒼空は、ずるずると床にへたり込んだ彼のズボンに手を入れ、孕み始めた彼の熱が増すように、執拗に責め立て始めた。


           ※

 結局、気持ちを制することが出来ず、襲うような事をしてしまった。

 頂天に達した夕輝をベッドに寝かすと、蒼空は壁に寄りかかって、ズボンの下で、まだ硬く、熱を持つ欲の塊を取り出して、己で握った。

 苦しい……

「は……ぁ……」

 夕輝の喘いでいた姿、声。
 思い浮かべて、目の前に眠る彼と重ねる。

 苦しい……

「はぁ……はぁ……」
 
 手についていた甘い白液が、自分のものと混ざり合い、ぬかるみに足を突っ込んだ様な音が、脳をくすぐる。
 蒼空は目をつぶっていた。

 早く!
 早く吐き出したい。

「蒼空?」
「!!」

 思わぬ声に、蒼空は動かしていた手を止め、夕輝がとる反応を待つしかなかった。

「蒼空。苦しいのか?」

 夕輝は、臆することもなく、蒼空の前に膝をつくと、聳り立つ欲棒に手をかけながら、唇に吸いついてきた。

「夕輝? お前まさか……」

 熱い吐息。
 熱に浮かされた様な、前に向けられたことのある、艶やかな視線の端が、涙で濡れていく。

「お前じゃなくて。俺が、お前の事を好きだったんだな」

「思い出したのか?」

 ははっ、と蒼空は自嘲したように笑った。

「違う、俺はもう、好きなんじゃなくて、愛してるんだ」

「蒼空……ン」
 
 お互いのすれ違っていた時を埋めるように、唇を合わせ、犯すように口内に舌を這わせる。

「夕輝……は……っ!」

 手の動きも加わって、蒼空はもう……限界だった。

「うぅ……あぁ!」

 どろどろとした熱液が弾け飛んだ。
 でもそれは、今まで蓄えた欲望でしかなかった。

 息が整うのを待たずに、夕輝をベッドに連れて行くと、ペチャペチャと、わざと音を立てて、身体中を貪り始めた。

「ん……お前。元気すぎだろ」

 さっき吐き出したばかりの蒼空の分身は、お前をよこせ、と言わんばかりに反り返る。
 夕輝には、凶器を向けられているように見えた。

「なぁ、受け入れてくれるだろ?」
「俺、初めてなんだけど……」
「大丈夫、優しくする」
「ああ! おい!」
「駄目なのかよ? なぁら、いいだろ?」
「…………」

 駄目じゃない。
 明らかにおかしいはずなのに、夕輝は嫌じゃなかった。

 コクン。

 夕輝は、不安と、期待の表情を浮かべ、小さく頷いた。
 





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