25 / 34
第十八話 意地悪なティータイムと完璧な茶葉
しおりを挟む
翌日の午後。シルヴィスがグレアムに呼び出され、書斎へ向かっている間のことだった。
部屋でシフォンのブラッシングをしていたエレナの元に、一人のメイドが訪れた。
「エレナ・フォスター。奥様がお呼びよ。庭園の東屋へいらっしゃい」
呼び捨てだった。昨日、埃まみれの部屋を完璧に掃除してみせたことで、屋敷の使用人たちはエレナに対して「何か底知れないもの」を感じてはいるものの、敵意までは消えていないようだ。
エレナはブラシを置き、鏡の前でエプロンの皺を伸ばした。
「かしこまりました。すぐに向かいます」
シルヴィスがいないタイミングを狙った呼び出し。ただの雑談で終わるはずがない。
エレナは気合を入れ直し、庭園へと足を向けた。
***
クローデル侯爵家の庭園は、美しかった。
幾何学模様に刈り込まれた植え込み、咲き誇る白薔薇、そして噴水の水音。その中心にある白いガゼボに、ベアトリスと、二人の貴婦人たちが優雅に座っていた。取り巻きは近隣の伯爵夫人たちだろう。
「ごきげんよう、皆様」
エレナが近づき、深く一礼すると、楽しげな会話がピタリと止まった。三人の視線が、一斉にエレナに突き刺さる。
「あら、来たわね。……よくて? 今日は特別に、平民の貴女を私たちのティータイムに混ぜてさしあげます。シルヴィスの傍仕えが、どの程度の教養を持っているのか、ぜひ見せてちょうだい」
「身に余る光栄です」
「ふふ、そんな硬くならないで。さあ、どうぞ」
促された席は、日差しが一番強く当たる場所だった。エレナは表情を変えずに着席する。
テーブルの上には、見たこともないほど繊細な絵付けがされた磁器のティーセットと、宝石のように美しい焼き菓子が並べられている。
「今日のお茶は、王都から取り寄せた最高級品なの。……平民の娘さんには、少し味が複雑すぎて分からないかもしれないけれど」
ベアトリスが扇子で口元を隠して笑うと、取り巻きたちも追従してクスクスと笑った。
メイドがポットから紅茶を注ぐ。水色は非常に濃い赤褐色。湯気と共に、強い香りが立ち上る。
(……ほう)
エレナの眉が、誰にも気づかれないほど僅かに動いた。
カップを手に取る。香りを嗅ぐ。そして、一口。舌の上で転がし、喉を通す。瞬間、強烈な渋みとえぐ味が口内を襲った。さらに、紅茶本来の香りとは異なる、どこか刺激的な異臭が鼻に抜ける。
決して毒ではない。飲めないものではない。だが、紅茶を愛する者ならば冒涜と叫びたくなるような代物だった。
「どう? お味は?」
ベアトリスが、獲物を見下ろす捕食者の目で問いかけてきた。
彼女たちのカップには、別のポットから注がれたまともな紅茶が入っているのだろう。エレナだけが、この失敗作を飲まされている。
もし「美味しい」と答えれば、「こんな酷いお茶を美味しいと言うなんて、やはり舌が貧しいのね」と嘲笑われる。「不味い」と答えれば、「最高級品を否定するなんて、無礼な娘だ」と断罪される。どちらに転んでも、エレナの負け。そういう筋書きだ。
エレナはカップをソーサーに音もなく戻し、静かに口を開いた。
「……素晴らしい茶葉でございますね。これは『サファイア・ブラック』。それも、東方の高地で収穫され、三年ほど熟成させたヴィンテージとお見受けします」
その瞬間、ベアトリスの顔から余裕が消えた。
「……その通り。……よく勉強しているわね」
『サファイア・ブラック』は、茶葉の重さがそのまま金の価値に匹敵すると言われる幻の紅茶だ。一般市場には出回らず、王族や一部の上級貴族しか入手できない。
「王宮の夜会でも時折供されるものですので。……ですが」
エレナは言葉を切り、残念そうにポットを見つめた。
「非常に申し上げにくいのですが、奥様。この茶葉、保管場所の湿度が少々高かったようです。それに、近くに香辛料……おそらくナツメグかシナモンの瓶を置いていらっしゃいませんか?」
「……なんですって?」
「茶葉が湿気を吸い、さらに香辛料の匂いが移ってしまっております。これでは、サファイア・ブラック特有の『蘭の花のような香り』が台無しです」
それは、ベアトリス自身も気付いていない事実だった。
ベアトリスは紅茶を飲む習慣はあるが、管理は全て使用人任せ。最近、厨房の配置換えがあり、高級茶葉の缶がスパイス棚の横に移動されていたことを、エレナは味と香りだけで見抜いたのだ。
取り巻きの貴婦人たちが、ざわめき始める。
「まあ、香辛料の匂いですって?」
「どういうことかしら……」
ベアトリスのこめかみが、ピクリと動く。
「……それは、我が家、クローデル侯爵家の管理が杜撰だとおっしゃりたいのかしら」
「いえ、そうは申しません。茶葉を入手する前の段階――輸送方法に問題があった可能性もございます。ただ、これほどの茶葉が本来の持ち味を発揮できぬまま消費されてしまうのは、いささか勿体ないと存じます。……失礼ながら、私が淹れ直してもよろしいでしょうか?」
「……そこまで言うのなら、やってごらんなさい」
エレナは立ち上がった。その動きには、王宮に仕えるメイドとしての威厳が満ちていた。
エレナはサイドテーブルに置かれていた予備のポットと茶葉の缶を手に取った。缶を開け、中の状態を確認する。やはり、湿気ている。だが、エレナは諦めない。
フライパンはないが、キャンドルウォーマーがあった。彼女は小さな皿に茶葉を出し、ウォーマーの火で軽く焙り始めた。
「……それは何を?」
貴婦人の一人が、おずおずと口を開く。
「焙煎して、湿気と移り香を飛ばしております」
数秒後。香ばしく、そして華やかな香りがガゼボに広がり始めた。先程までのどんよりとした臭みやスパイスの匂いは消え、純粋な紅茶の香りが蘇る。
「先ほど拝見しましたが、抽出の温度も高すぎるかと。この茶葉は、沸騰したお湯ではなく、一呼吸置いた九十度前後のお湯で淹れるのが鉄則。グラグラと煮立ったお湯で淹れては、渋みが出るばかりです」
エレナはお湯の温度を手の平で確かめ、絶妙なタイミングでポットに注ぐ。砂時計など見ない。茶葉が湯の中で踊り、開く音を聞く。
「……どうぞ」
エレナが新たに注いだカップを、ベアトリスの前に差し出した。水色は透き通るような琥珀色。立ち上る湯気は、まるで花束のように甘く香る。
ベアトリスは、震える手でカップを口に運んだ。拒否したかった。だが、その香りの誘惑には勝てなかった。
「…………」
言葉が出なかった。渋みなど一切ない。蜂蜜のような甘みと、奥深いコク。そして鼻に抜ける高貴な香り。自分が今まで飲んでいた最高級紅茶とは、一体何だったのかと思うほどの衝撃。
「……美味しい……」
取り巻きの夫人からも、ため息のような感想が漏れた。誰も、エレナを嘲笑うことなどできなかった。そこにあるのは、圧倒的な実力の差だけだ。
エレナは静かに一礼した。
「茶葉の保管方法につきましては、後ほどメイド長にメモを渡しておきます」
それは完全なる勝利宣言だった。
「……とても、勉強になったわ」
ベアトリスはカップを握りしめたまま、悔しさと感動の入り混じった複雑な顔で言葉を紡いだ。
エレナは涼しい顔で自分の分の紅茶を一口飲み、心の中で呟いた。
(このクッキーは絶品ですね。後でシルヴィス様にも持っていってあげましょう)
部屋でシフォンのブラッシングをしていたエレナの元に、一人のメイドが訪れた。
「エレナ・フォスター。奥様がお呼びよ。庭園の東屋へいらっしゃい」
呼び捨てだった。昨日、埃まみれの部屋を完璧に掃除してみせたことで、屋敷の使用人たちはエレナに対して「何か底知れないもの」を感じてはいるものの、敵意までは消えていないようだ。
エレナはブラシを置き、鏡の前でエプロンの皺を伸ばした。
「かしこまりました。すぐに向かいます」
シルヴィスがいないタイミングを狙った呼び出し。ただの雑談で終わるはずがない。
エレナは気合を入れ直し、庭園へと足を向けた。
***
クローデル侯爵家の庭園は、美しかった。
幾何学模様に刈り込まれた植え込み、咲き誇る白薔薇、そして噴水の水音。その中心にある白いガゼボに、ベアトリスと、二人の貴婦人たちが優雅に座っていた。取り巻きは近隣の伯爵夫人たちだろう。
「ごきげんよう、皆様」
エレナが近づき、深く一礼すると、楽しげな会話がピタリと止まった。三人の視線が、一斉にエレナに突き刺さる。
「あら、来たわね。……よくて? 今日は特別に、平民の貴女を私たちのティータイムに混ぜてさしあげます。シルヴィスの傍仕えが、どの程度の教養を持っているのか、ぜひ見せてちょうだい」
「身に余る光栄です」
「ふふ、そんな硬くならないで。さあ、どうぞ」
促された席は、日差しが一番強く当たる場所だった。エレナは表情を変えずに着席する。
テーブルの上には、見たこともないほど繊細な絵付けがされた磁器のティーセットと、宝石のように美しい焼き菓子が並べられている。
「今日のお茶は、王都から取り寄せた最高級品なの。……平民の娘さんには、少し味が複雑すぎて分からないかもしれないけれど」
ベアトリスが扇子で口元を隠して笑うと、取り巻きたちも追従してクスクスと笑った。
メイドがポットから紅茶を注ぐ。水色は非常に濃い赤褐色。湯気と共に、強い香りが立ち上る。
(……ほう)
エレナの眉が、誰にも気づかれないほど僅かに動いた。
カップを手に取る。香りを嗅ぐ。そして、一口。舌の上で転がし、喉を通す。瞬間、強烈な渋みとえぐ味が口内を襲った。さらに、紅茶本来の香りとは異なる、どこか刺激的な異臭が鼻に抜ける。
決して毒ではない。飲めないものではない。だが、紅茶を愛する者ならば冒涜と叫びたくなるような代物だった。
「どう? お味は?」
ベアトリスが、獲物を見下ろす捕食者の目で問いかけてきた。
彼女たちのカップには、別のポットから注がれたまともな紅茶が入っているのだろう。エレナだけが、この失敗作を飲まされている。
もし「美味しい」と答えれば、「こんな酷いお茶を美味しいと言うなんて、やはり舌が貧しいのね」と嘲笑われる。「不味い」と答えれば、「最高級品を否定するなんて、無礼な娘だ」と断罪される。どちらに転んでも、エレナの負け。そういう筋書きだ。
エレナはカップをソーサーに音もなく戻し、静かに口を開いた。
「……素晴らしい茶葉でございますね。これは『サファイア・ブラック』。それも、東方の高地で収穫され、三年ほど熟成させたヴィンテージとお見受けします」
その瞬間、ベアトリスの顔から余裕が消えた。
「……その通り。……よく勉強しているわね」
『サファイア・ブラック』は、茶葉の重さがそのまま金の価値に匹敵すると言われる幻の紅茶だ。一般市場には出回らず、王族や一部の上級貴族しか入手できない。
「王宮の夜会でも時折供されるものですので。……ですが」
エレナは言葉を切り、残念そうにポットを見つめた。
「非常に申し上げにくいのですが、奥様。この茶葉、保管場所の湿度が少々高かったようです。それに、近くに香辛料……おそらくナツメグかシナモンの瓶を置いていらっしゃいませんか?」
「……なんですって?」
「茶葉が湿気を吸い、さらに香辛料の匂いが移ってしまっております。これでは、サファイア・ブラック特有の『蘭の花のような香り』が台無しです」
それは、ベアトリス自身も気付いていない事実だった。
ベアトリスは紅茶を飲む習慣はあるが、管理は全て使用人任せ。最近、厨房の配置換えがあり、高級茶葉の缶がスパイス棚の横に移動されていたことを、エレナは味と香りだけで見抜いたのだ。
取り巻きの貴婦人たちが、ざわめき始める。
「まあ、香辛料の匂いですって?」
「どういうことかしら……」
ベアトリスのこめかみが、ピクリと動く。
「……それは、我が家、クローデル侯爵家の管理が杜撰だとおっしゃりたいのかしら」
「いえ、そうは申しません。茶葉を入手する前の段階――輸送方法に問題があった可能性もございます。ただ、これほどの茶葉が本来の持ち味を発揮できぬまま消費されてしまうのは、いささか勿体ないと存じます。……失礼ながら、私が淹れ直してもよろしいでしょうか?」
「……そこまで言うのなら、やってごらんなさい」
エレナは立ち上がった。その動きには、王宮に仕えるメイドとしての威厳が満ちていた。
エレナはサイドテーブルに置かれていた予備のポットと茶葉の缶を手に取った。缶を開け、中の状態を確認する。やはり、湿気ている。だが、エレナは諦めない。
フライパンはないが、キャンドルウォーマーがあった。彼女は小さな皿に茶葉を出し、ウォーマーの火で軽く焙り始めた。
「……それは何を?」
貴婦人の一人が、おずおずと口を開く。
「焙煎して、湿気と移り香を飛ばしております」
数秒後。香ばしく、そして華やかな香りがガゼボに広がり始めた。先程までのどんよりとした臭みやスパイスの匂いは消え、純粋な紅茶の香りが蘇る。
「先ほど拝見しましたが、抽出の温度も高すぎるかと。この茶葉は、沸騰したお湯ではなく、一呼吸置いた九十度前後のお湯で淹れるのが鉄則。グラグラと煮立ったお湯で淹れては、渋みが出るばかりです」
エレナはお湯の温度を手の平で確かめ、絶妙なタイミングでポットに注ぐ。砂時計など見ない。茶葉が湯の中で踊り、開く音を聞く。
「……どうぞ」
エレナが新たに注いだカップを、ベアトリスの前に差し出した。水色は透き通るような琥珀色。立ち上る湯気は、まるで花束のように甘く香る。
ベアトリスは、震える手でカップを口に運んだ。拒否したかった。だが、その香りの誘惑には勝てなかった。
「…………」
言葉が出なかった。渋みなど一切ない。蜂蜜のような甘みと、奥深いコク。そして鼻に抜ける高貴な香り。自分が今まで飲んでいた最高級紅茶とは、一体何だったのかと思うほどの衝撃。
「……美味しい……」
取り巻きの夫人からも、ため息のような感想が漏れた。誰も、エレナを嘲笑うことなどできなかった。そこにあるのは、圧倒的な実力の差だけだ。
エレナは静かに一礼した。
「茶葉の保管方法につきましては、後ほどメイド長にメモを渡しておきます」
それは完全なる勝利宣言だった。
「……とても、勉強になったわ」
ベアトリスはカップを握りしめたまま、悔しさと感動の入り混じった複雑な顔で言葉を紡いだ。
エレナは涼しい顔で自分の分の紅茶を一口飲み、心の中で呟いた。
(このクッキーは絶品ですね。後でシルヴィス様にも持っていってあげましょう)
324
あなたにおすすめの小説
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる