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第二章
番外「胸と腹に所有と回帰のキス」(☆
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抱きしめられる度、どきん、と鼓動が鳴る。
未だ醒めないときめきは、彼への恋が
愛に変わっても続いている。
ルシアは、テーブルに置かれたカップを手に取り、お茶を飲んでいた。向かいにはクライヴが、座っている。
サンルーム。ここは、暗闇に閉ざされた城の中で、唯一本来の陽の光を浴びられる場所だ。
地下の庭園まで、行かずともここで過ごせばいいのだが、
何故か、クライヴは、地下の方が好きらしい。
自分の魔力で作り上げた場所だからか、彼は、庭園で過ごすことを好んだ。
珍しいことに、ここでお茶をしようと、彼が言い出したので、きょとんとした。
ここには、ティーカップもソーサーも、棚の中に備え付けられている。お茶の葉も同様だ。
「なんか、いいですね、こういうの」
「そうか……」
「はい。ここは、外と接していて、気持ちも明るくなります」
「お前はいつも脳天気なくらい明るいだろ」
的確なツッコミに、ルシアはクスッと笑った。
「性分です。あなたが、陰気なところが変わらないように」
「……それはしょうがない」
不快になる様子もなくクライヴは苦笑した。
「お茶、美味しいですね」
「ああ」
お腹の中に、子供ができてから、クライヴは、
生来の優しさが、表に出るようになった。
まだ、動かないのに、お腹に頬を寄せて心音を確かめたり、撫でたり、その日が来るのを
待ちかねているようだ。
いたわりに満ちた愛に、ルシアは、時折泣きそうになる。
この幸福は、自らが、切り捨てたものと引き換えにある。考えてはいけない。
独りごちる彼女は未いまだに苦悩していた。
それでも、ここにある温もりは、何ものにも変え難かった。
(だって、愛しい人が、私を選んでくれて、
ずっと、共にあるって約束してくれたのよ)
彼が、腹部に頬を寄せる様は、明らかに父親のものであり、
彼の仕草を見ていてルシアも自分が母親になるのだと、じんわりと胸が満ちてくる。
紛れもなく、愛の結晶である子が、
宿ったと知った時、嬉しさよりも先に戸惑いを覚えたルシアに、クライヴは、静かに喜びを伝えてくれた。
あの時、どれだけ勇気を覚え、力をもらえたか、彼は知らないだろう。
2人で外に出かけることも増えたこのごろ。
ルシアの生まれ育った時代より、進化しているようで、
変わらない景色もあってほっ、とする。なくなったものもあり、新しく生まれたものもある。
(新しい時代に、ちゃんと染まって生きているんだ。
だから、何も恐れることも悲しいこともないでしょう)
「……ルシア」
考えごとに囚われていた彼女は、愛する人の呼びかけに、はっ、と我に返った。
心配そうにこちらを見つめる彼が、椅子の上に置くルシアの手を握ってくれている。
決して饒舌ではない彼は態度で示す。
彼女の憂いを思い、和らぐように。
引き寄せられていた身体が彼の膝の上に乗せられる。
「俺はあまり言葉を使うのは得意ではないが、
お前が、ずっと癒えない悲しみを抱えているのは、分かる。
半端な覚悟でここにいるわけじゃないんだよな」
「クライヴ……」
(ごめんなさい。あなたに、そんな顔をさせて)
ルシアは、こてん、とクライヴの胸に頬を預けた。
髪を梳き、なでる指の動きにまどろみなから、彼の言葉を待った。
「俺達は家族になったんだ。
お前が帰れないのなら、俺が居場所になるから。お前と共に生きると決めたあの時にも言っただろう」
(……クライヴが、失くしたものを埋めてくれると言ってくれたから甘えて、そのくせ、
彼の言葉を信じていなかったの? )
「俺もお前を悲しませて傷つけることは、2度としない。だが、泣きたい時は泣いていいからな」
抱いて、抱かれて、愛し、愛されて
絆を深めてきた。言葉では満たせないものは、
身体を繋いで分かりあった。
「私ったら甘えすぎですね……」
クライヴは、どうやら甘やかすのが上手だったらしい。
泣いてもいいなんて言われたら涙腺が、崩壊してしまう。
潤んだ瞳で、彼を見上げながらルシアは微かに笑った。
「子供が生まれても、いつまでも甘えていいんだ。妻を慈しまない夫がどこにいる」
クライヴは、嘘をつかない。真実しか言わないからこそ、怖い時もあったけれど、
今では、彼が変わったことに、ただ嬉しさしかなくて、戸惑う。
自分が、前に進めてないことを思い知らされる。
大人の男性の包容力は、眩しかった。
「……愛してます」
「ああ」
唇が重なる。
甘い陶酔に酔いしれた。
瞬間転移した先は2人の寝室。
時がない部屋は、真っ暗闇で、2人の姿を隠す。
抱擁し、唇を交わし合い、寝台ベッドに倒れる。
とめどない口づけ。音が鳴るほど、心が震える。肩に手を置いて、深く重なる。
吐息が、漏れて、身体が熱くなった。
衣服を脱がせあって、裸身になった2人は抱きしめ合う。
胸元に頬を寄せるクライヴが、ちゅ、とそこを吸った。
谷間に、ふくらみの付け根に肌のあちらこちらに、痕を残していく。
(所有を表すみたい)
「明かりつけてもいいですか」
「珍しいな」
寝台ベッドの横に置かれたテーブルに、
ろうそくがある。クライヴの低音が、呪文を唱えて、
ろうそくに炎をともした。
この炎が消えるまで、部屋はほのかな明かりに満たされる。
「クライヴがつけてくれる証が見たくて」
「可愛いことを言うな」
調子に乗るだろと言うクライヴに、
「乗ってください」
と、ルシアはくすっ、と笑った。
「あ、っ……」
肌に無数に散っていく、赤い痕。
それは、熱と想いが込められたもの。
クライヴにしか咲かせられない華だ。
ちゅ、唇が、胸の頂きに口づける。
下から押し上げるようにやわやわと揉まれた。
「胸、大きくなったな」
「……は、恥ずかしいけど本当です」
クライヴと愛し合う日々の中で、豊かだったふくらみは、
さらに大きくなった。妊娠してからも、まだ成長している。
「柔らかくて、気持ちいいよ」
耳朶を食まれると身体がぶるっと震えて、
内股をもどかしく動かす。
ルシアは、クライヴの頭を引き寄せ抱きしめながら、
階段を駆け上る。
「……ここにも」
お腹の上に円を描くようにキスが落とされる。
唇をつけ、舌で吸い、小さく歯を立てる。
ゆっくり、所有を刻むだけの行為が続いていく。
それは、焦れたルシアに火をつける。
「あ……、」
「なんだ」
ぶるぶると、頭(かぶり)を振る。
ほんとうに、欲しいものを分かっていて彼は焦らしているのか、
ただゆっくり愛し合いたいだけなのか。
はしたない気がしてしまい、ルシアは口を噤む。
「……お前の中で果てたいけど、それは無理だから」
手を伸ばした先では、灼熱の塊が、あった。
準備はしっかり整っている。
お腹に当たる切っ先は、少し湿っていて、
クライヴの興奮を物語っていた。
「最後までじゃなくていい……
私の子宮(ナカ)に長くとどまって」
懇願をクライヴは、受け入れた。
ルシアの両脚を掴んで押し開き、ゆっくりと
自身を押し進めた。
全部収まりきったところで、動きを止める。
息を苦しそうに紡ぐクライヴにルシアは、
「動いて」
と、甘くささやいた。
優しく触れたかったクライヴは、
妻の声に抗えず、強く突き上げた。
「んん……っ」
擦りつけては、出ていきまた擦りつける。
奥で感じるクライヴに、ルシアは愛しさが溢れ出す。
舌を絡め、口腔をまさぐる。
2人をつなぐ糸が、ぷつりと切れては繋がる。
「……男はきっと女の胎はらに、帰りたいんだよ。
ここから、生まれてきたから」
不埒な行為をしながら、真面目に言うからルシアは、
緊張感もなく、笑ってしまった。
「ふふ……」
「本当は繋がったままでいたい」
それでもいいと思った。
間違いであっても、ルシアは彼を包み込んで
離したくないと思う。
「……子供が無事に生まれたらまた好きなように、
してほしい。あなたが望むままに」
抱いて。
ルシアは、身を起こして、クライヴの耳元にささやく。
「本当にお前は俺の歯止めを利かなくさせる」
濡れた声は、色香を醸し出していて、声を聞くだけで
感じてしまう。蜜が溶けだし、達しそうになる。
腰の動きを早めたクライヴにしがみつく。
揺れるふくらみをつかまれて、激しく愛撫されると襞が震えた。
「……好き」
「愛してるって言え」
「愛してる」
「俺もお前のすべてを愛している」
狂おしい。
この身から、生み出される炎に焼き尽くされそう。
素早く、突かれて、頤おとがいを反らせる。
白い火花が脳内で、散って、ルシアは瞳を閉じた。
引き抜かれた漲みなぎりから、白濁が腹部に吐き出される。
その熱を感じて、ルシアは完全に意識を闇の底に沈ませた。
「お前も俺にとっての居場所だよ。なくてはならないものだ」
ぼんやり、意識が覚醒する。
ゆったりと愛し合った後、すぐに眠ってしまったのだ。
ルシアは、目頭を押さえる。
熱くなった場所からは、滴が落ちては頬を伝う。
(私の孤独を癒すみたいに抱いてくれた)
腰に絡んだ腕の力は強く、お前を離さないと、
言われているみたいだった。
まだ、醒めない彼の熱。
ルシアは身を起こして、クライヴの腰に抱きついた。
愛おしさが、ある衝動を目覚めさせた。
滾る彼の熱に、手を伸ばす。触れたらびく、んと震えた。
口に含むほどに膨れ上がっていく。
「……お前は最高の女だな」
「起きてたんですか」
唇にクライヴ自身を含んでいるから、
言葉にならなかったかもしれない。
頭を撫でてくれる手のひらは、ルシアの行為を赦している。
口の中で大きくなった彼自身が跳ねた瞬間、
クライヴは、自身をルシアの口内から引き抜いた。
シーツの上に、吐き出される欲望。
「よかったのに」
「馬鹿を言うな」
そんなことまで、させないよ。
クライヴは、そう言ってルシアを抱きしめた。
背中を撫でて、 頭を抱え込む。
胸元で、与えられる温もりが、やさしい。
「おやすみ……ルシア」
「おやすみなさい」
クライヴは、自分本位にしない人だ。
初めて、抱かれた時も優しすぎて、ルシアを気遣っていた。
好きになるのには、十分だった。
不器用だけど、愛情深くて、たくさんの温もりを隠していた。
ルシアははらはらと、涙をこぼしながら、
やがて眠りに落ちていった。
未だ醒めないときめきは、彼への恋が
愛に変わっても続いている。
ルシアは、テーブルに置かれたカップを手に取り、お茶を飲んでいた。向かいにはクライヴが、座っている。
サンルーム。ここは、暗闇に閉ざされた城の中で、唯一本来の陽の光を浴びられる場所だ。
地下の庭園まで、行かずともここで過ごせばいいのだが、
何故か、クライヴは、地下の方が好きらしい。
自分の魔力で作り上げた場所だからか、彼は、庭園で過ごすことを好んだ。
珍しいことに、ここでお茶をしようと、彼が言い出したので、きょとんとした。
ここには、ティーカップもソーサーも、棚の中に備え付けられている。お茶の葉も同様だ。
「なんか、いいですね、こういうの」
「そうか……」
「はい。ここは、外と接していて、気持ちも明るくなります」
「お前はいつも脳天気なくらい明るいだろ」
的確なツッコミに、ルシアはクスッと笑った。
「性分です。あなたが、陰気なところが変わらないように」
「……それはしょうがない」
不快になる様子もなくクライヴは苦笑した。
「お茶、美味しいですね」
「ああ」
お腹の中に、子供ができてから、クライヴは、
生来の優しさが、表に出るようになった。
まだ、動かないのに、お腹に頬を寄せて心音を確かめたり、撫でたり、その日が来るのを
待ちかねているようだ。
いたわりに満ちた愛に、ルシアは、時折泣きそうになる。
この幸福は、自らが、切り捨てたものと引き換えにある。考えてはいけない。
独りごちる彼女は未いまだに苦悩していた。
それでも、ここにある温もりは、何ものにも変え難かった。
(だって、愛しい人が、私を選んでくれて、
ずっと、共にあるって約束してくれたのよ)
彼が、腹部に頬を寄せる様は、明らかに父親のものであり、
彼の仕草を見ていてルシアも自分が母親になるのだと、じんわりと胸が満ちてくる。
紛れもなく、愛の結晶である子が、
宿ったと知った時、嬉しさよりも先に戸惑いを覚えたルシアに、クライヴは、静かに喜びを伝えてくれた。
あの時、どれだけ勇気を覚え、力をもらえたか、彼は知らないだろう。
2人で外に出かけることも増えたこのごろ。
ルシアの生まれ育った時代より、進化しているようで、
変わらない景色もあってほっ、とする。なくなったものもあり、新しく生まれたものもある。
(新しい時代に、ちゃんと染まって生きているんだ。
だから、何も恐れることも悲しいこともないでしょう)
「……ルシア」
考えごとに囚われていた彼女は、愛する人の呼びかけに、はっ、と我に返った。
心配そうにこちらを見つめる彼が、椅子の上に置くルシアの手を握ってくれている。
決して饒舌ではない彼は態度で示す。
彼女の憂いを思い、和らぐように。
引き寄せられていた身体が彼の膝の上に乗せられる。
「俺はあまり言葉を使うのは得意ではないが、
お前が、ずっと癒えない悲しみを抱えているのは、分かる。
半端な覚悟でここにいるわけじゃないんだよな」
「クライヴ……」
(ごめんなさい。あなたに、そんな顔をさせて)
ルシアは、こてん、とクライヴの胸に頬を預けた。
髪を梳き、なでる指の動きにまどろみなから、彼の言葉を待った。
「俺達は家族になったんだ。
お前が帰れないのなら、俺が居場所になるから。お前と共に生きると決めたあの時にも言っただろう」
(……クライヴが、失くしたものを埋めてくれると言ってくれたから甘えて、そのくせ、
彼の言葉を信じていなかったの? )
「俺もお前を悲しませて傷つけることは、2度としない。だが、泣きたい時は泣いていいからな」
抱いて、抱かれて、愛し、愛されて
絆を深めてきた。言葉では満たせないものは、
身体を繋いで分かりあった。
「私ったら甘えすぎですね……」
クライヴは、どうやら甘やかすのが上手だったらしい。
泣いてもいいなんて言われたら涙腺が、崩壊してしまう。
潤んだ瞳で、彼を見上げながらルシアは微かに笑った。
「子供が生まれても、いつまでも甘えていいんだ。妻を慈しまない夫がどこにいる」
クライヴは、嘘をつかない。真実しか言わないからこそ、怖い時もあったけれど、
今では、彼が変わったことに、ただ嬉しさしかなくて、戸惑う。
自分が、前に進めてないことを思い知らされる。
大人の男性の包容力は、眩しかった。
「……愛してます」
「ああ」
唇が重なる。
甘い陶酔に酔いしれた。
瞬間転移した先は2人の寝室。
時がない部屋は、真っ暗闇で、2人の姿を隠す。
抱擁し、唇を交わし合い、寝台ベッドに倒れる。
とめどない口づけ。音が鳴るほど、心が震える。肩に手を置いて、深く重なる。
吐息が、漏れて、身体が熱くなった。
衣服を脱がせあって、裸身になった2人は抱きしめ合う。
胸元に頬を寄せるクライヴが、ちゅ、とそこを吸った。
谷間に、ふくらみの付け根に肌のあちらこちらに、痕を残していく。
(所有を表すみたい)
「明かりつけてもいいですか」
「珍しいな」
寝台ベッドの横に置かれたテーブルに、
ろうそくがある。クライヴの低音が、呪文を唱えて、
ろうそくに炎をともした。
この炎が消えるまで、部屋はほのかな明かりに満たされる。
「クライヴがつけてくれる証が見たくて」
「可愛いことを言うな」
調子に乗るだろと言うクライヴに、
「乗ってください」
と、ルシアはくすっ、と笑った。
「あ、っ……」
肌に無数に散っていく、赤い痕。
それは、熱と想いが込められたもの。
クライヴにしか咲かせられない華だ。
ちゅ、唇が、胸の頂きに口づける。
下から押し上げるようにやわやわと揉まれた。
「胸、大きくなったな」
「……は、恥ずかしいけど本当です」
クライヴと愛し合う日々の中で、豊かだったふくらみは、
さらに大きくなった。妊娠してからも、まだ成長している。
「柔らかくて、気持ちいいよ」
耳朶を食まれると身体がぶるっと震えて、
内股をもどかしく動かす。
ルシアは、クライヴの頭を引き寄せ抱きしめながら、
階段を駆け上る。
「……ここにも」
お腹の上に円を描くようにキスが落とされる。
唇をつけ、舌で吸い、小さく歯を立てる。
ゆっくり、所有を刻むだけの行為が続いていく。
それは、焦れたルシアに火をつける。
「あ……、」
「なんだ」
ぶるぶると、頭(かぶり)を振る。
ほんとうに、欲しいものを分かっていて彼は焦らしているのか、
ただゆっくり愛し合いたいだけなのか。
はしたない気がしてしまい、ルシアは口を噤む。
「……お前の中で果てたいけど、それは無理だから」
手を伸ばした先では、灼熱の塊が、あった。
準備はしっかり整っている。
お腹に当たる切っ先は、少し湿っていて、
クライヴの興奮を物語っていた。
「最後までじゃなくていい……
私の子宮(ナカ)に長くとどまって」
懇願をクライヴは、受け入れた。
ルシアの両脚を掴んで押し開き、ゆっくりと
自身を押し進めた。
全部収まりきったところで、動きを止める。
息を苦しそうに紡ぐクライヴにルシアは、
「動いて」
と、甘くささやいた。
優しく触れたかったクライヴは、
妻の声に抗えず、強く突き上げた。
「んん……っ」
擦りつけては、出ていきまた擦りつける。
奥で感じるクライヴに、ルシアは愛しさが溢れ出す。
舌を絡め、口腔をまさぐる。
2人をつなぐ糸が、ぷつりと切れては繋がる。
「……男はきっと女の胎はらに、帰りたいんだよ。
ここから、生まれてきたから」
不埒な行為をしながら、真面目に言うからルシアは、
緊張感もなく、笑ってしまった。
「ふふ……」
「本当は繋がったままでいたい」
それでもいいと思った。
間違いであっても、ルシアは彼を包み込んで
離したくないと思う。
「……子供が無事に生まれたらまた好きなように、
してほしい。あなたが望むままに」
抱いて。
ルシアは、身を起こして、クライヴの耳元にささやく。
「本当にお前は俺の歯止めを利かなくさせる」
濡れた声は、色香を醸し出していて、声を聞くだけで
感じてしまう。蜜が溶けだし、達しそうになる。
腰の動きを早めたクライヴにしがみつく。
揺れるふくらみをつかまれて、激しく愛撫されると襞が震えた。
「……好き」
「愛してるって言え」
「愛してる」
「俺もお前のすべてを愛している」
狂おしい。
この身から、生み出される炎に焼き尽くされそう。
素早く、突かれて、頤おとがいを反らせる。
白い火花が脳内で、散って、ルシアは瞳を閉じた。
引き抜かれた漲みなぎりから、白濁が腹部に吐き出される。
その熱を感じて、ルシアは完全に意識を闇の底に沈ませた。
「お前も俺にとっての居場所だよ。なくてはならないものだ」
ぼんやり、意識が覚醒する。
ゆったりと愛し合った後、すぐに眠ってしまったのだ。
ルシアは、目頭を押さえる。
熱くなった場所からは、滴が落ちては頬を伝う。
(私の孤独を癒すみたいに抱いてくれた)
腰に絡んだ腕の力は強く、お前を離さないと、
言われているみたいだった。
まだ、醒めない彼の熱。
ルシアは身を起こして、クライヴの腰に抱きついた。
愛おしさが、ある衝動を目覚めさせた。
滾る彼の熱に、手を伸ばす。触れたらびく、んと震えた。
口に含むほどに膨れ上がっていく。
「……お前は最高の女だな」
「起きてたんですか」
唇にクライヴ自身を含んでいるから、
言葉にならなかったかもしれない。
頭を撫でてくれる手のひらは、ルシアの行為を赦している。
口の中で大きくなった彼自身が跳ねた瞬間、
クライヴは、自身をルシアの口内から引き抜いた。
シーツの上に、吐き出される欲望。
「よかったのに」
「馬鹿を言うな」
そんなことまで、させないよ。
クライヴは、そう言ってルシアを抱きしめた。
背中を撫でて、 頭を抱え込む。
胸元で、与えられる温もりが、やさしい。
「おやすみ……ルシア」
「おやすみなさい」
クライヴは、自分本位にしない人だ。
初めて、抱かれた時も優しすぎて、ルシアを気遣っていた。
好きになるのには、十分だった。
不器用だけど、愛情深くて、たくさんの温もりを隠していた。
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