モブですけど!

ビーバー父さん

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 そうだそうだ、と煽る声が上がり、王女は辞める人には教えられないと返して来た。

 いいぞ、いいぞー。

「ではせめて、蒼月の瞳の方に、僕達は辞めるから、食材をダメにしたり、嫌がらせに仕入れが出来ない様な真似はやめる様に進言して頂けませんか?」

「分かりましたわ。」

「ありがとうございます。
 では、僕達が交流している精霊が、蒼月の瞳に会いたいと、会ってプレゼントをしたいと言っていますので、精霊を呼んでも良いですか?」

「え、いま、ここに?」

「はい。」

「そんな大事な事」

「ええ、精霊は聞いてるそうですから、誰が蒼月の瞳だと言っているのか。」

 王女様、蒼白です!
 顔色悪いです!
 だって、精霊が、この人って指さしたら、圧力かける最低な王女だし、更に嘘だと精霊が言えば、終わるよね。

 蒼月の瞳って、嘘ついて散々横暴な事してるけど、どのくらいの罪になるのかな?
 大体、精霊と交流がある段階でヤバいとか思って欲しいんだけど。

 さあ、緑頭、妖精に扮して出てこいよ?
 成人男性は求めてないからな?

「ラグ、呼んだか?」

 はい、やり直し!!

「あ、貴方じゃないです。
 ほら、小さい子をお願いします」

 そこで緑頭はやっと気づいたらしく、急いで入れ替わった風に小さくなって現れ直した。

 うん、これ、やだな。

 さっき散々仕込んだ小さい精霊演技を生暖かい目で見る自分が、ちょっとヤダ。

「ラグくん、王様に言われて蒼月の瞳の人を教えきたよ!」

 あー、かわいい、かわいい。

「この子が精霊?」

「はい、この小さい子が」

「そこの女の人が、蒼月の瞳、なんだって」

「そうなの?」

 緑頭に聞いた。
 ざわざわし始めて、騎士達は口々に王女様が蒼月の瞳?と言い始めて、王女は流石に真っ青になった。

「本当にこの方が、蒼月の瞳といったんですね?」

「うん、自分が蒼月の瞳だって!」

 はいはい、上出来です、緑頭。

「まさか! 
 王女様が蒼月の瞳で、僕達に嫌がらせをしていたんですか?!
 酷い!
 酷すぎます!!
 ご自分の国を守り、王族の方の盾になる方々も巻き込んで、兵糧攻めにするなんて!!」

「違うわ、違うわよ!
 私じゃなくてよ!!」

「でも、僕達は蒼月の瞳の方から、食材も仕入れられなくされたんですよ?」

「あ、あの文官が勝手に私の名を騙ったのよ!!」

 はあ、最悪だな。

「私では!
 王女が嘘をつくからです!
 自分が作った物とか言って、この子から取り上げようとしたからじゃありませんか!!
 断られたら蒼月の瞳を使って言う事を聞かせろと!」

 文官も必死だよな。
 認めちゃったら軽く処刑されちゃうもんな。

「何を言うのですか!
 蒼月の瞳である私が、その様な事を指示するわけありませんわ!」

 うん、ボロ出たね。

「王女様は、先程僕達が何をお願いしたか覚えてませんか?」

「覚えてるわよ! 
 蒼月の瞳が嫌がらせをしていると。
 でも、私は指示など」

「そうですよ、指示していないなら何故その場で言ってくださらなかったのですか?
 蒼月の瞳なのか。
 あれだけ、騎士様達が訴えていたではないですか」

「うまく、聞き取れなくて」

「でも、僕の言葉は聞いてましたよね。」

「私では無いと」
「おかしいですね、蒼月の瞳では無いのですか?」

「私が!蒼月の瞳よ!
 そこの精霊も認めたじゃない!」

「は?精霊は、貴方が、蒼月の瞳だとでしたよ?」

 はい、ここでやっと緑頭の出番です!

「私は認めていない。
 精霊王である私が守護すべきは蒼月の瞳だ。
 お前の様な澱んだ瞳ではない! 
 勝手に名を騙った罪は重いぞ、精霊を敵に回したと思え」

 はい、上手にできたね。
 うんうん、犬の様な目でこっち見ない!!
 
「まさか、王女は詐欺を働いていたのか!?」

 いいタイミングでホークが声を上げた。

 ざわざわがクライマックスですが、ボンクラは動かないですね。
 エスコートしてるんだから、後は奥に引っ込んで王族で解決して下さいよ。

「あ、王女、様、戻られ、国王とお話を。」

 側に支えていた侍女や侍従が取り囲んで隠す様に、彼らを連れて行った。

 そして、これらを目撃した隊長達五人とも、証言する為に、追いかけて行った。




「す、すげー!!
 ラグ!精霊と交流があるとか!
 凄すぎだよ!」

 一気に騎士達の緊張も解けて、王女が酷いだの、詐称してただのと言い始めて、何故か祝杯モードになった。
 副隊長が、いたんだってくらい影が薄くて、見習わなきゃな、と思っていたら、今日、明日は騎士団を非番にするから、飲もうと声を上げた。

 意外に男前な発言に、全員が鬨の声を上げて喜んだ。
 これは、また、ツマミを作るしかないか。
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