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しおりを挟むセバスチャンが命がけで救ってくれた命、そして今も苦しめている闇魔法を憎んだ。
解毒されたのはセバスチャンのおかげだけど、それ以上に自分の体を犠牲にしてくれた事への罪悪感しかなかった。
「さぁて、ラグ! 思いっきりゲオルグをぶん殴ろうぜ!!」
「そして婚約破棄だ!」
ヒューゴとパパは勝手な事を言いながら、僕が作った地脈でチビッ子が映してくれてる部屋へ乗り込もうとしていた。
<ラグしゃま、なんか変>
こちら側のチビッ子が異変を伝えて来た。
「どうしたの?」
焦る気持ちと、チビッ子が言う変が気になって足を止めるより走り出した。
<あれ、ゲオしゃんじゃないれす。
変なの、棒っ切れがくっついてましゅ!>
「はぁ?!!!」
どういうことだ? と走っていたの止めてその場でチビッ子の言う棒っ切れを確認した。
「っぷー!!!!
何だこりゃ!!」
一番最初に噴き出して笑ったのはヒューゴだった。
ヒーヒーと声を上げて、息が苦しい、腹も背中も痛いと言いながら笑い転げて、ゲオルグの股間が箒の柄をくっつけた様になっていた。
しかも折れた先がそのまま相手に向かっていた。
「あれ、そのまま入れたら大惨事だよね?」
「なんであんなモノを付けてるんだ?」
僕とパパは笑い転げてるヒューゴの横で、折った先を剥き出しにした状態の棒を口に含もうとしてるサリエルを見て、ヤバいだろ、と蒼白になっていた。
「いやー、ゲオルグの旦那もやるなぁ。
あれって箒の柄を折って人形にくっつけたんだろ?
凄い発想だよなぁ。
そのまんま挿入でもしようもんなら、ケツの穴は二度と使い物にならねーな。
余程お怒りって事か」
やっと笑いの止まったヒューゴが真面目な顔つきで、ゲオルグの怒りが頂点を超えてる事を示唆した。
「人形?……、あ!」
やっと思い至ったのはカシリスでセレニアとゲオルグが睦合ってる姿だった。
「何か分かったのかい?」
「うん、パパ!
アレはゲオルグが作った傀儡ですよ。
しかも前より随分精巧に、しかも新機能で会話が出来るようですよ」
思わず口元が緩んでしまった。
サリエルへの意趣返しに、折ったままの状態の木の棒を使うなんて。
しかも、サリエルにだけはアレがちゃんとしたゲオルグのモノ見えてるんだろう。
「カシリスで、ゲオルグが使った方法です」
「凄いな、アレ。
売ったら一人寝の寂しい奴ら、絶対買うぞ!」
おおう、正しくダッチワイフだわ。
南極一号だっけ? 北極一号だっけ? まぁどっちでもいいけど。
「そうか、なら、まぁ、破棄は、延期してやるか」
パパの歯切れの悪い言葉に、そうだね、と同意しておいた。
「あ、おい、ラグ、アレ、口にいれるぞ? 多分、バレるだろ?」
立ち止まって三人で映像をしっかり確認しながら、踏み込むのも止めてしっかり観戦していた。
「あれ、バレないね?
まだなんか仕掛けがあるのかも?
それにゲオルグどこに行ってるんだろう?」
一生懸命舐め上げてるサリエルの舌はズタズタだし、むしろ血が出てるのにそれに興奮してるのが分かった。
「脳を錯覚させてるな、あれは。
痛みを快感と感じるように、あの人形から何か出てるのかもしれないな。
幻覚だけではない、何かだ」
ふーん、そんな媚薬みたいなのもゲオルグって扱えるんだ。
そうなんだ。
ちょっと面白くないな。
「パパ、その何かって見当がついてる感じ?」
「あぁ、あのクソな王弟殿下が良く使う手だな」
うわ、サイテー。
それじゃぁ、三人も子供が出来ちゃうよね。
「でも、今回はサリエル側からのご要望なんだし、合意って事でいいんじゃないか?」
まぁ、この後の大惨事は免れないだろうしね。
あと一歩踏み込めば彼ら? のいる部屋だけど、ゲオルグの人形がどんな仕事をしてくれるのか確かめたくて、その場で映像に釘付けになっていた。
僕たちも十分悪趣味だね。
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