その執着は今更です。

ビーバー父さん

文字の大きさ
21 / 62

カヌレ団

しおりを挟む


「こぉら!! ヌガー何やってんだ!!」

 空気までがビリビリとする怒号を響かせたのは、その音量に似合わないやたら綺麗な男だった。
 美形、美男、び、美中年、あと何があるかな? まあ、ラノベにいなかったキャラだと言う事は確かだった。

「団長! 待ってたぜい!」

 僕を肩に担いだまま、後ろから来た美形、美男に振り向きざま、団長と呼んだ。

「お前、潜入とか隠密行動とか意味わかってんのか?!」

 団長と呼ばれた男性の周りに、わらわらと荒くれ者といった風体の男達が集まって来た。

「しかたねーだろ、この坊やが捕まりそうだったんだ。
 それに、漸く裏が取れたぜ」

「そうか、なら場所を変えよう」

 そう言うが早いかまるで忍者の様に、みんなの姿が消え失せて、僕らもまた知らない場所へと瞬間移動したみたいだった。



「ルイ君、どっか、痛いとこはないか?」

 ヌガーが優しい声で聞いて来た。

「ない、けど、ここどこ?」

 情けない迷子の子供みたいに不安になった。

 明るかった先ほどまでの屋外から、一転して薄暗い地下と思わしき空気の部屋へと変わっていた。

「もっと食って太れ、じゃないと骨が当たって痛かったわ」

「な! 骨だなんて!」

 ニヤッと笑った事で、わざと言った言葉だと理解した。

 床に足が付くように、そっと下ろされると、さっき団長と呼ばれた人が椅子をすすめてくれた。

「あ、りがとうございます」
 
「で、ヌガー、裏とは」

「ああ、王弟が裏にいたわ」

「そうか、やはりな」

「向こうさんのお使いを殺しちまったから、陛下に危険が及ぶかもしれん、急いでフクロウを送ってくれ」

「分かった」

 驚くようなリアクションも無ければ、それをどう思って聞いていたのか、感情を全く出さずに手紙を書いて、フクロウの足に括り付けた。

「直行させるから、直ぐ着く」

 直行、って普段は寄り道でもさせてるんだろうか。

 あの怒号を放った人と同一人物とは思えないくらい、冷静で静かな所作だった。












 食事をトレーに乗せて、ワゴンを押して部屋の中へ入ると、国王陛下は大きなフクロウを部屋に招き入れている所だった。

「そなた、昼間の痴れ者ではないか」
「陛下、お助けください! この食事を運べば逃してやると言われ、運んできましたが毒が入っております!」

 足元に跪いて懇願すると、困惑気味な表情をした。

「そなた、そのニヤニヤ笑いをやめた方が良いぞ」

「え、は?」

 そう言われるが早いか、衛兵が入って来た。

「私じゃないです!
 私はやってません!」

 やばいやばいヤバいから!
 物的証拠あんのに、逃げられないじゃない!
 何度となく逃げおおせたのは、魅了魔具を拝借するついでに貰った移動魔具が使えてたからだけど、既に使用回数は限界でゴミと変わらなかった。

「こんなのゲームじゃないじゃない!!」

「そうだって最初に言ったぞ。
 勝手に魅了の魔具を持って行きおって。
 魅了が効くのは下位の魔物だけだ、馬鹿者が
 ひろいんが何か知らぬがの」

 私が魅了の魔具を拝借したのは恐ろしい姿の魔物で、こんな美形じゃなかったわ。

 もしかして、隠れ攻略キャラかしら。

「ヒロインは窮地に助けられるものよ!」

「その助けがあるのか?」

「もちろん! ア、ナ、タ!」

「さて、移動魔具も回収したし、あとは魅了魔具だな。
 出せ」

 周りはポカンとして、私は魔物が助けに来たと信じていたけど、スルーされて魔具を回収する美形の魔物に、落としたと言うとそのまま拘束されて衛兵に引き渡されてしまった。

「あ、え? えー?!」

 ゲームオーバーだった。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

処理中です...