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僕の家族
しおりを挟むフクロウを送った時もどこから出すのか、出したのかって思ってたら、戻ってくるときもいきなり空間の壁から抜け出る様にして戻って来た。
「ほう、陛下の部屋に変なピンク頭の痴女が現れ、陛下の知り合いの魔物が拘束したそうだ」
はぁ? まず痴女! それ、何となく想像がつくけど次に魔物! 国王陛下が魔物と知り合いって!
「魔物って敵対関係じゃないんですか?」
「別に何か利権を争ってるわけでもないし、ちゃんと魔物の国もあるぞ?
ただ彼らとの協定上、人と魔物が同じ場所に暮らすことが無いってだけだ」
「知らない」
「ルイ君は教育を受けてない上に、マカロンの野郎に嘘八百を言われて来たから、世界の事を全くと言って良いほど知らないんだよ」
ヌガーが僕に教養がないことを、団長の男に向けて言った。
そうか、そう言えば、常識的な事を何も知らなかった。
孤児院時代は、読み書きは教えられたけど、魔物と人が協定を結んでいるとか街を移動して入るには通行料がいるとか、スキルがレアとかレアじゃないとか、そんな事も知らなかった。
普通なら生きてく中で自然と学ぶはずの部分で、その情報が全く入って来ていなかった。
「それに、情報は大分改変されていたようだね」
「マカロンの野郎が、王弟と王妃からの依頼で君を閉じ込めて搾取していたのさ」
「何でですか? スキルのせいで?」
「君の母上が、陛下たちの乳母の娘で王妃の子、つまり皇太子の乳母もやるはずだったのに、暇を出されて姿を消したんだ。
その暇を出したのが王妃」
僕のお母さんが陛下の乳母の娘?
「そんな証拠どこにあるんですか? 僕がその乳母の娘の息子だって、証拠も何もないじゃないですか」
ラノベにそんな設定も無かった。
大体話の中でローレンツォはすでに結婚からの離婚って所からしか存在していなくて、彼女の生い立ちだとかそんなのはどこにも無かった。
僕がすでにイレギュラーな形で絡んでるのに、今更設定にこだわっても意味がないんだろうけど。
「証拠は無いよ。
だけどそう推理したら丸く収まるじゃない」
「それって僕を利用したいだけでは?」
「証拠をと言うなら、陛下の知り合いの魔物に時逆の魔法をかけて貰えははっきりする」
「はっきりさせる必要なんか……」
「我らも、陛下も確信しているからこそ、だ」
「乳母の娘が消えたくらい、大した話じゃないですし。
陛下と繋がりがあるって言っても、使用人じゃないですか」
団長と副団長は顔を見合わせて、笑い合っていた。
「乳母は上位貴族の中から選ばれて、王族の子息、子女たちの教育係でもあるんだよ。
使用人ではないんだ」
え、なら本当にお母さんが乳母の娘って立場なら、貴族、しかも上位貴族って事?
「乳母殿はガレットデロワ公爵夫人で、現在も存命しておられる。
だからこそ、ご実家にも戻られず姿を消した。
当時は貴族の間では大事件だったんだ」
本当に、僕がその人たちの血を引いてるなら、おばあ様もいるんだ。
天涯孤独だと思っていた僕に、突然降って湧いた親族縁者の話。
「僕は、そんな期待しない! 本当に、そうだったとしても!
公爵様なら娘を探すくらい出来るはずです!
そしたら、僕が、僕の存在だって分かったはずだ。
それなのに、僕を放っておいたって事は、いらない子だったって事じゃないか」
気にしない風、孤児だって言う事に納得する理由。
でも違う。
「孤児院に捨てられていたって聞いてる。
それが不本意な事だったとしても、探してくれていたとしても!
なんでもっと早く、せめて孤児院をでる年になる前に!
そうじゃなかったら、こんな傷だらけの体になんかならなかった!
女将さんだって、傷つけられるために生まれて来たんじゃないって!
なんでだよ!
お前ら、皆、僕を利用したいだけじゃないか!」
今まで受けた虐待だって我慢するしかなかったからだ。
僕が孤児だから仕方ないってそう思っただけだ。
「ルイ君、すまなかった。
君の今迄受けて来た事は、全部、大人たちの利害のせいだ」
感情を吐き出すと、慟哭した。
ゲームオーバーだった。
あの美形の魔物、どこから現れたのかしら。
いきなり出て来たわ。
「ちょっと、もう、何にもしないから出してよ」
「お前、バカか?
犯罪者を反省しましただから出してあげます、なんて法律がどこにあると思ってるんだ」
牢屋の番は兵士でも何でもない警備の下位貴族みたいだし。
ヒロインだと思ってたけど、この世界ってゲーム設定から随分かけ離れてる気がした。
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