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僕は誰?
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大人になって恥も外聞もなく、ただ感情に任せて泣いた。
「ルイ、すまねぇ。
お前の気持ちとか、その体の傷とか、もっとちゃんと考えてやれば良かった」
「君が怒るのは当たり前だ。
余りにも大人たち、いや貴族や権力者が好き勝手にし過ぎた犠牲者だ。
そして、私もその一人だ」
全く関係ないとは言えないかもしれないけど、ほんのちょっと関わっただけ、みたいな大人が僕に頭を下げた。
「ぅぶぇえ、ぇん、ずびばぜん、ぼぐ、」
しゃがみ込んで嘔吐く様に泣いて、泣いて、何が何だか理由すら曖昧になるくらい、泣いた。
「ルイ、すまん、ごめんなぁ
こんなに綺麗な子でも泣く時は汚いもんだなぁ」
笑いながら、僕に覆い被さって包み込む様に背中をヨシヨシされた。
「ひどい」
「いやいや、一目惚れしちゃった俺にとっては、そんな鼻水と涙とよだれ塗れなルイ君も可愛くて好きだよ」
「はぁ、ヌガー、ドサクサに紛れて何言ってるんだか」
団長の声ははるか頭上から聞こえてたのに、段々近づいてきた。
「うわ、ズル!
先に俺が告白したんっすから、団長は興味無かったはずだろ!」
僕の上からヌガーを引きはがして、後ろにもたれ掛けさせてもらう様に、抱きしめられた。
あっと思った瞬間後ろから腕が回されて、肩口に団長の顔が埋められた。
「ルイ、大丈夫だ。
お前はルドヴィカの息子で、陛下の子だ」
「なん、で? 証拠なんか、ない」
また涙があふれて来た。
僕がどこの誰が産んだのか知りたいって気持ちはいつも燻ぶっていた。
だから簡単に、はっきりした理由もなく慰めに言われることに、腹が立ったんだ。
「時逆の魔法じゃなくても、君のハニーブロンドも、その顔立ちも、全てがルドヴィカを現してる。
私たちがその証人だ」
「だから、なんで」
「私たちは二人ともルドヴィカの友達だったからさ」
「他人の空似だ」
認めて期待するのが怖いから、ずっと否定し続けた。
「団長、時逆の魔法以外方法はねぇよ。
ルイが自分を信用できなくなってるんだから、ちゃんとするのが先決だろ。
気を引こうと思って、適当な事すんなよ」
ヌガーがなんとなく当たってるような遠いような、僕の気持ちを代弁してくれていた。
ギルドからの連絡を待つと割とすぐに、隣町より先の街で連絡がついたらしい。
「いま、確認できる情報はそれだけで、すぐ次に行くと言っていたようです」
「分かった」
新しい執事はかなり使える。
あんな老人だったから見つけられなかったんだ。
ローレンツォの居場所が分かれば、うちの衛兵を送り込むだけだ。
「ギモーブ、すぐにローレンツォのいる街の衛兵を動かせ!
そして私の前に連れ戻して来い」
「畏まりました、旦那様。
今動かせるのは強盗団カヌレですので、そちらに依頼しましょう。
強盗団ですので、奥様を拉致、いえお連れするのは得意ではないかと」
「うむ、任せた。
私の愛をローレンツォが泣いて喜ぶ時が目に浮かぶ」
「報告は一時間ほどで上がってくるでしょう」
そういわれて部屋で少し休むことにした。
何故か頭の中がはっきりしない。
「ふぅ、しっかりしろ、私がローレンツォを愛さなくて、誰が幸せにできるんだ」
ベッドに横になる前に風呂に入ろうとして、装飾品を外していると手首にしていたブレスレットに違和感を覚えて、引きちぎるように外した。
「これ、は、あの時の女が、落としていった物、だ」
何で私が。
ブレスレットを外すと、急に頭の中の靄が晴れた様だった。
「あ、私は、ローレンツォを守りたい、だけだ。
幸せにしてやりたい、拉致をしたい訳じゃない、んだ」
ギモーブの言葉をよくよく思い出してみた。
拉致だと?
新しく雇い入れた執事は、王弟殿下からの紹介で来たから、身元は確かなはずだ。
それなのに、何故? 何か違和感があった。
「ルイ、すまねぇ。
お前の気持ちとか、その体の傷とか、もっとちゃんと考えてやれば良かった」
「君が怒るのは当たり前だ。
余りにも大人たち、いや貴族や権力者が好き勝手にし過ぎた犠牲者だ。
そして、私もその一人だ」
全く関係ないとは言えないかもしれないけど、ほんのちょっと関わっただけ、みたいな大人が僕に頭を下げた。
「ぅぶぇえ、ぇん、ずびばぜん、ぼぐ、」
しゃがみ込んで嘔吐く様に泣いて、泣いて、何が何だか理由すら曖昧になるくらい、泣いた。
「ルイ、すまん、ごめんなぁ
こんなに綺麗な子でも泣く時は汚いもんだなぁ」
笑いながら、僕に覆い被さって包み込む様に背中をヨシヨシされた。
「ひどい」
「いやいや、一目惚れしちゃった俺にとっては、そんな鼻水と涙とよだれ塗れなルイ君も可愛くて好きだよ」
「はぁ、ヌガー、ドサクサに紛れて何言ってるんだか」
団長の声ははるか頭上から聞こえてたのに、段々近づいてきた。
「うわ、ズル!
先に俺が告白したんっすから、団長は興味無かったはずだろ!」
僕の上からヌガーを引きはがして、後ろにもたれ掛けさせてもらう様に、抱きしめられた。
あっと思った瞬間後ろから腕が回されて、肩口に団長の顔が埋められた。
「ルイ、大丈夫だ。
お前はルドヴィカの息子で、陛下の子だ」
「なん、で? 証拠なんか、ない」
また涙があふれて来た。
僕がどこの誰が産んだのか知りたいって気持ちはいつも燻ぶっていた。
だから簡単に、はっきりした理由もなく慰めに言われることに、腹が立ったんだ。
「時逆の魔法じゃなくても、君のハニーブロンドも、その顔立ちも、全てがルドヴィカを現してる。
私たちがその証人だ」
「だから、なんで」
「私たちは二人ともルドヴィカの友達だったからさ」
「他人の空似だ」
認めて期待するのが怖いから、ずっと否定し続けた。
「団長、時逆の魔法以外方法はねぇよ。
ルイが自分を信用できなくなってるんだから、ちゃんとするのが先決だろ。
気を引こうと思って、適当な事すんなよ」
ヌガーがなんとなく当たってるような遠いような、僕の気持ちを代弁してくれていた。
ギルドからの連絡を待つと割とすぐに、隣町より先の街で連絡がついたらしい。
「いま、確認できる情報はそれだけで、すぐ次に行くと言っていたようです」
「分かった」
新しい執事はかなり使える。
あんな老人だったから見つけられなかったんだ。
ローレンツォの居場所が分かれば、うちの衛兵を送り込むだけだ。
「ギモーブ、すぐにローレンツォのいる街の衛兵を動かせ!
そして私の前に連れ戻して来い」
「畏まりました、旦那様。
今動かせるのは強盗団カヌレですので、そちらに依頼しましょう。
強盗団ですので、奥様を拉致、いえお連れするのは得意ではないかと」
「うむ、任せた。
私の愛をローレンツォが泣いて喜ぶ時が目に浮かぶ」
「報告は一時間ほどで上がってくるでしょう」
そういわれて部屋で少し休むことにした。
何故か頭の中がはっきりしない。
「ふぅ、しっかりしろ、私がローレンツォを愛さなくて、誰が幸せにできるんだ」
ベッドに横になる前に風呂に入ろうとして、装飾品を外していると手首にしていたブレスレットに違和感を覚えて、引きちぎるように外した。
「これ、は、あの時の女が、落としていった物、だ」
何で私が。
ブレスレットを外すと、急に頭の中の靄が晴れた様だった。
「あ、私は、ローレンツォを守りたい、だけだ。
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ギモーブの言葉をよくよく思い出してみた。
拉致だと?
新しく雇い入れた執事は、王弟殿下からの紹介で来たから、身元は確かなはずだ。
それなのに、何故? 何か違和感があった。
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