その執着は今更です。

ビーバー父さん

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モンブラン公爵家

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 二度と帰らないとあの時解放感を嚙み締めていたのに。
 ほんの二週間程度の期間離れていただけの、小旅行のような感じだった。

「公爵家にルイは重症と言う事で報告してある。
 演技をしてもらうけど、ただ寝ててくれればいい」

 そう言われて服装はボロボロの出て行った時の様な物に着替えさえられ、獣の血を付けられた。

「すまん、血糊だとバレてしまうから、ひどい臭いだから誤魔化せる」

「構いませんよ。 
 今まで公爵家にいた時は、水で体を拭くくらいしか出来なくて、結構臭かったし」

「ぁ、あー、もう! モンブランの奴ほんとぶん殴る、ぜってーぶん殴る!」

 ヌガーは拳を地面に叩きつけた。

「ヌガー、静かにしろ」

「すまねぇ」

 僕にけが人の偽装をさせて、自分たちは盗賊の形をし始めた。
 まぁ、さっきの傭兵団の時と大差ないんだけど、ヌガーは眼帯をして団長は顔を白い仮面で隠した。
 他の団員達も、それぞれ目の所にマスクをした。
 
「良い趣味してる」

 ヌガーの眼帯も大きく顔半分が隠れ、装飾もバラの花を模したような物だし、他の団員のマスクも色々な花や動物を模したマスクだった。
 片側だけだったり、全体だったり、目元だけだったりと多種にわたっていたけど、コンセプトは同じだった。

「強盗団にしちゃぁ、随分華麗じゃないですか?」

「貴族様相手なら、このくらいだろう?」

 そうかもしれないけど、今迄の話しぶりからこの二人だって、いや他の団員だって貴族でしょうが。










 門にローレンツォを運んで来た連中が着いたと、ギモーブから連絡を受けて急いで玄関まで走って行った。

「旦那様! 危のうございます!」

「ローレンツォは、ローレンツォは無事なのか?!
 神官長はまだか!」

 門からここまで馬で走り抜けて来たとしたら、そろそろ着いて良いころだ。

「神官長パパリーヌは? 連絡は取ったのか? 迎えの馬車は出したのだろう?」

「それがですね、パパリーヌ神官長様は遅れるとの事です。
 なので、私の方で副神官長様にお声がけしておきました」

「何を勝手な事を! パパリーヌ神官長でなければダメだ!」

「ですが一刻を争う事態であれば、副神官長でも構わないかと、いま応接室で待機して頂いております」

 これが、王弟殿下のやり方か。

「お前は主である私の命令が聞けないのか!」

「誠に残念ではございますが、私の主人はフィナンシェ様でございますれば」

 とうとう本性を出したのか。

「何?!」

「えぇ、ルイでしたっけ? そんなどこの馬の骨とも知れない奴が、フィナンシェ様の御心を乱すのであれば、失くしてしまえば良いのです」

 いきなりナイフが飛んできた。

「くそっ!」

 間一髪、誰かがナイフを弾いてくれた。

「早く外へ!」

 玄関ホールを駆け、途中の壁にかけてあった剣を握ると外へと飛び出した。
  
 そこで見たのは、血まみれで馬に乗せられて来たローレンツォの姿だった。

「ローレンツォ!!!」






 え? ちょっとどういう事?
 お城がなんだか騒然とし始めて騒いでる間に看守から鍵を盗んでモンブラン公爵家まで来たら、大勢の仮面の集団が入って来て、何か争ってるし!!
 
 え? あれ、が? あの人がローレンツォ? 男じゃない!
 ゲームでもラノベでも、ローレンツォはマカロン准男爵の娘よ!  
 しかも慰謝料貰って早々に退場するモブなんだけど!

 この世界がゲームの中だって気づいたのはつい最近だったけど、それは攻略対象とか主要人物がスイーツの名前だから分かったんだし、私の名前がミルフィーユでピンクの髪色もヒロインの特徴をのまんまだからそう思ったんだけど、そもそもの設定が違うじゃないのよ!

 門から入れなくて柵を決死の覚悟で乗り越えて、庭の木陰で休んでいたらこの展開って何よ?

 しかも血まみれって!

 乙女ゲームにこんなシーン無かったから!

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