その執着は今更です。

ビーバー父さん

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大神官長パパリーヌ

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 血まみれのローレンツォの顔を見て、私の元へ戻って来たと言う感情と、こんな風にした仮面の集団への怒りが頭の中を熱くした。

「貴様ら! ローレンツォに何をした!!!!」

 剣を振り上げ、一気に仮面の集団へと切り込んだ。

「はっはー! ボンクラなうえに剣はナマクラか!」

 顔を半分覆う眼帯をした男は、大剣を馬上の上で軽々と振り回していた。

「何を!王室の騎士団隊長である私が!」

「おお、そりゃただの縁故だろ? 実力は無いけど要職につけさせてってやつだ」

「我が剣を受けてから物を言え!」

 うぉぉ!と怒声を上げ、馬上の男へと剣を突き出したが、大剣が一振りしただけであっさりと勝敗がついてしまった。

「そんな程度って事だ、坊ちゃん」

「くそ! 違う! 私は今までだって戦って来た! 負けたことなんか」
「はぁ? バカじゃねーの? 
 お前、実戦も経験したことない練習場の無敗公爵ってだけだろうが!!」

 尤もだった。
 争っている間に、私を助けてくれたあの者とギモーブの決着がついてしまったようだった。

「おやおや、荒くれものを雇ったせいで、お目当ての人物は虫の息のようですね」

 その手にはあの者が引きずられ、私たちが争っていた場所へと放り出された。

「ぐあぁ!」

 まだ息があったがこの者も急ぎ手当をしないと、確実に死に至るくらいの重症だと分かった。

「やめてくれ! その者は私を助けてくれたのだ!」

「ですから、私の主人は王弟殿下のフィナンシェ様ですって何度申し上げれは良いですか?」

 見下した様なギモーブの笑いに、怒りで震えるも私には成す術が見つからなかった。
 眼帯の男に言われたように、公爵と言う立ち場で貰えた騎士団の団長など、このように実戦で生きて来た者たちに勝てるはずが無かったのだ。

「さて、そのルイってゴミの処分をするから、渡しなさい。
 報酬は王弟殿下から支払われます」

「おっと、俺たち強盗団カヌレは、全て即金のその場で頂くって決まりなのさ。
 王弟殿下であろうが、国王陛下であろうが、それは関係ねぇ。
 さぁ、呼んでもらおうか、その報酬を下さる王弟殿下をよ」

 眼帯の大剣男は畏れ多くも、王族を連れて来いなどと戯言にもほどがある。

「それよりも、ローレンツォの容態を確認させてくれないか!」

「ダメだね。
 確認するなら、大神官長あたりじゃないと回復させられないだろうしな」

 ん、大神官長?
 何故、こいつらから大神官長?

「大神官長は手配済みだが、遅れて来られると」
 
 まずは容態が知りたい。
 そうでなくても、あんなに痩せていたローレンツォがあのような傷に体力が持つとは思えなかった。

「遅れて?
 おかしいなぁ、俺たちが連れて来てるけどなぁ」

「は? どういうことだ?」

「あぁ、ボンクラはどこまで言ってもボンクラだなぁ」

 仮面の集団の後方から、白い仮面をかぶった男が進み出て来た。

「大神官長パパリーヌと申します」

 何故強盗団と同じように仮面をして出てくるのだ!

「おやおや? 強盗団と同じ仮面をかぶった方が、大神官長とは思えませんが?」

 私たちの後方、つまり屋敷内からブクブクと太った神官服の男が出て来て、大神官長ではない!と断言した。

「そ奴のような者が大神官長パパリーヌ様ではありませんぞ」

「ほぉ? して其方は?」
 
 白い仮面の男は喉の奥で笑っているようだった。

「私は副神官長メレンゲパイ! 大神官長の側近です!」

 太った腹を突き出し、女の胸のくらいありそうな胸をドンと叩いて自慢していた。

「メレンゲパイ、と言う名は側近にいないが、下級神官にその名があったな。
 神聖力も少なく、家門が貴族と言うだけで修業もしない者だったはずだ。
 そういえば最近、破門状にサインをした覚えがあったが」

 そう言われて、副神官長を名乗った男はガタガタと震え始めた。

「な、な、、まさか!」

「だから、私が大神官長パパリーヌだと言ってるじゃないか」

 ギモーブは王弟に大神官の話をして、この捨て駒に出来そうな奴を副神官長にしたやるとか言って連れて来たのだろう。

「パ、パリーヌ様は、そんな仮面は」

「神殿から出るときは必ずしているが?
 それすら知らないとは」

「嘘だ! 嘘だ!!」

「お前こそ嘘だろ、このデブ!」

 大剣を突き付けられて腰を抜かし、その場が水でぬれ始めた。







 ヤバイヤバイ、あれってマジな戦闘じゃん!
 ゲームの中だからなんかリセット出来るって気持ちで、どこか現実じゃなかったのに。

 そう考えたら、今まで良く生き残れてたって怖くなったわ。
 バカみたいにヒロインだからって押し通して、ぶつかって行ってた自分を殴りたい!

 ここにいてもどうしようも出来ない自分は、決してヒロインなんかじゃなかった。
 

 


 
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