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勘助かロミオか
しおりを挟む「誰だ!」
声のする方を見ると、ピンク色のあの女が立ち上がっていた。
「あ、や、あの!
少しでも助けたくて!」
「お前のスキルか?」
「み、みたいです」
確か『息吹』にこんな能力は無かったはずだが。
だが、ギモーブを拘束出来たおかげで、ローレンツォを助ける事が出来る!
「助かった!」
「あ、はい、」
ピンク色の髪の女が殊勝にも、頬を赤く染めていた。
そして、馬上でローレンツォを抱えている強盗団に言った。
「ローレンツォを渡せ!」
「何故ですか?」
「私の妻だからだ!」
「「ええ!?」」
同時に聞こえた声は、ピンク色の髪の女と、もう一人は馬上で血まみれになってるローレンツォだった。
ギモーブって人を拘束出来たのはヒロイン、ミルフィーユのお陰だけど、色々突っ込みたい事案に頭が追いつかなかった。
「ルイ、先ずは着替えよう」
ヌガーが僕がいる所まで来て、馬から下ろして貰うと、モンブラン公爵が駆け寄ってきた。
「ローレンツォ! 怪我は? 傷は? 体は大丈夫なのか?」
「え、っと、これは偽装なのでどこも」
「そ、うか、そうなのか、良かった、本当に良かった」
この態度はどう言う事だろうか?
「あの、こちらにいるみなさんは、事情も全てご存じですから、その様な演技は必要ないですよ」
まるで本気で心配したかの様な演技力だった。
「!、違う! 違うんだ! 私は」
「あー、はいはい、演技はそこまでで、先ずはあのギモーブから情報を引き出さないといけませんから、離れて貰えますかね?
元旦那の公爵様?」
「っ」
ヌガーが心底嫌そうにそう言うと、僕を着替えさせる為に、屋敷の使用人に扮したカヌレ団の団員を呼んだ。
そして、更に数人の団員を呼んでガッチリとギモーブを拘束し、その場で尋問を始めていた。
団長の大神官長パパリーヌは、お城にいる団員と連絡を取っている様だった。
通話の様なスキルを持った人が道具を通して、第三者でも聞いたり出来るようだった。
内緒話は出来ないなぁって、馬鹿みたいな事を考えた自分が恥ずかしかった。
「ルイ様、こちらでお風呂をお使いください。
それまでに着られそうな服をご用意致しますから」
これまで意地悪くしていた使用人達の姿は見えなかった。
執事さんがいなくなった理由は分からないけど、公爵家は僕が出たほんの二週間程で様変わりをしていた。
そして、公爵自身、おかしかった。
「陛下はご無事な様だ。
今は隠し部屋で待機をされている様だが、ご友人がいた為に事なきを得たらしく、騒ぎに乗じてこちらへ向かっているとの事だ」
陛下がこっちへ向かってって、脱出は出来ても王座を奪還するのはどうする気なのだろうか。
「公爵にはこの屋敷を提供していただき、反逆者たちを拘束する手伝いをして頂けますか?
それとも、反逆者側に与するならそれでも構わないが」
「私は、王弟のやり方も王妃のやり方も許せません!
ローレンツォがたとえ陛下の子でなくても、必ず守ります!」
そうだ、私はローレンツォをこの腕に抱くためなら、どんな困難にでも立ち向かってやる。
「へぇ、ご立派な講釈垂れてっけど、これまでの事を考えたら随分都合がよくねぇか?」
眼帯の大剣の男はどうしてこうも突っかかるのか。
「私とローレンツォの問題だ。
貴殿は関係ないであろう?」
「いやぁ? そうでもないぜ? 俺はルイの恋人に立候補してっから。
それに関係ないってんなら、おまえさんだろ?
元旦那さんよ」
なんだと、ローレンツォに、恋人だと!
私が最優先であるべきだろうが。
「あのぅ、えっと、ローレンツォ様と離婚したんですよね?
それって赤の他人って事ですよ。
相手が今でも自分を想ってるって、どこからくる自信ですか?
私なら、そんな男願い下げですよ」
ピンク頭の女が割り込んで来て、好き勝手な事をぬかした。
「そうそう、ピンクのねぇちゃん、もっと言ってやんな」
豪快な笑いが響き渡り、私だって離婚した事は理解している、と吐き捨てるしか出来なかった。
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