その執着は今更です。

ビーバー父さん

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海賊版の強制力

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 これって確信犯だよね。
 僕が元公爵夫人って分かってたけど、入れたくなかったからわざと難癖をつけて阻止しようとしたってことだよね?

「副団長、ヤバいですって!
 あんた最初からこの方の事知ってた上でやらかしたでしょ!?」

「最初は本当に分からなかったわよ!
 だって元奥様なんだから、当然女でしょ! 
 それなのに、なんで、なんでよ! 公爵様の心の中にはまだ元奥様がいるって言うから、時間さえかければって思ってたのに!
 本人が来ちゃったら私の負けが確定するじゃない!!」

 いや、勝ち負けじゃないでしょ。

「たまたま魔法ゲートみたいなのを通ってしまって、ここに出ちゃっただけなんで放っておいてもらえればすぐに移動しますけど」

 そう言うと何故かキッと睨まれた。

「そう言いながら公爵様を狙ってるって知ってるんだから!」

「はぁ?」

 こっちも何だかイライラして来ていた。

「大体なんでこんなバグが出来てるんだかわかんないけど、元奥様は蟄居した上に女のはずじゃない!!
 なんで男なのよ! しかも!! こんな美人じゃ太刀打ちできないわよ!」

 ん? ん? なんかおかしな単語が聞こえてきたけど。

「あの、貴方ってもしかして、ゲームをやってた人ですか?」

 恐る恐る聞いてみた。
 しかもバグって、やっぱり僕はバグ?

「そうよ! 杏璃とハマってた乙女ゲームの!って、え?
 えー!!!!」

 あー、この人もか。
 ミル姐さんのゲームの犠牲者っぽかった。

「僕も巻き込まれ事故みたいなもんで……」

 周りの衛兵さんたちは副団長の彼女を取り押さえながら、話についていけずおろおろしていた。

「ちょっと、放しなさい。
 もう暴れたりしないから」

 そう言うと衛兵たちはゆっくりと彼女を解放した。

「私と杏璃で作ったのよ。
 乙女ゲームのその先をやりたくて」

 唐突に話し始めた。

「杏璃ってミル姐さん?」

「ミル?」

「あの、ピンク頭のヒロインになってるんで」

「え! マジ?」

 情報のすり合わせが必要な案件だった。




 門前で二人してヤンキー座りをして、地面に相関図を書いたりしながら情報を共有すると、副団長はいわゆるオタクでその仲間のミル姐さんと一攫千金を夢見て、勝手に第三弾のゲームを製作したということだった。
 
「杏璃の家が、まぁ、その、ちょっとアレな新興ヤ〇〇っていうのは、何となく知ってたけど、同じオタク仲間としての付き合いの方が長かったから気にしてなかったのよ。
 でもね、杏璃の家の経済事情とか色々知って、ゲームなら真っ当な稼ぎになるって言って仲間で製作したのよ」

 勝手に製作してる段階でダメです。
 しかも違法で海賊版。

「水を差すようですが、違法です」

「著作権とかの関係はちゃんと契約してるはずよ」

「それ製作した側がちゃんとしてないんじゃないですか?
 むしろ詐欺にあったんじゃないですか?」

 ハッとした表情から、ガクンと項垂れた。

「そうかも、契約書とかなんか知らない会社名とか個人名で来てたし」

「最初からだます気だったんですね」

 聞くと製作費として百万を払って、それ以外に追加を払わされていた。

「ROMが出来てきて、起動したら私はここにいたの」

「ミル姐さんは多分、抗争に巻き込まれたっぽいですけど」

 悪い悪くないで言えば、悪い。
 だけど、二次製作はやっちゃうかな、とちょっと同情した。
 しかも粗悪品。

「バグって言うより、悪意のある設定って感じですよね。
 それに僕らがなんでか入り込んじゃったって事で、バグのような状況になってるって事でしょう。
 もしかして、ここに戻されたのって、ゲーム自体完成してない状態なんじゃ……」

 僕が最初にこのゲームに入り込んで、ミル姐さんはゲーム制作で入り込み、最後の副団長は起動で入り込んだってことみたいだ。

「そっか、ゲームのストーリーが出来てるところまで行くと、また最初の場所に戻されちゃうんだ」

 それって、永遠にこのまま?
 どうしようって考えてたけど、途中で疲れてしまって取り合えず死んだ身としてはこのままこの世界で天寿を全うするしかないし、お互い好きに生きようって事で落ち着いた。

 だって考えるの面倒だったんだもん。
 それにチートなスキルも僕はあるし、平穏に暮らせればそれでいいしね。

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