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異世界来ちゃったのかな?
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しおりを挟む名前を覚え切るのは難しい気がする。
「皆に、アキヘ魔法を教授してほしい。
これから戦いに出なければならないだろう。」
「我らは神と神獣を守護する者なれば、なんなりと。」
光の精霊王シャピオスがみんなを代表して声を上げた。
「何張り切ってるんだか。
私は、こんな出来損ないの神獣に教えるつもりは毛頭ない。
何より、こいつのせいで!」
「フェースライザー!
不敬だぞ!」
「不敬も何も、出来損ないに私たちの命を預けられるわけがない。
真名を与えたりもしたくないさ。」
あからさまな嫌悪と敵意。
風の精霊王は、俺を出来損ないと言った。
前の世界の時と変わらない、冷たさがここにもあった。
何を以て出来損ないなんだろう?
前の世界でも、関心もなく、冷たい関係に怯えて必死にしがみついていた事を思い出す。
俺の所為って何?
「教えてください。
俺が何をして、貴方を悲しませているのか。」
「簡単だ、この世界に神獣は一人しかいない。
お前が生まれたことで、先代がこの世界から散ったのだ!
お前が!神獣にさえ生まれなければ!
あの方が、散ることは無かった!
今からでもお前が散れば、あの方は復活できる!
いらない、お前なんかいらないんだよ!」
そうだったんだ。
他の神獣はいないんだ。
先代が、この人たちの心にあるなら、俺は邪魔でしかないんだ。
「フェースライザー、お前は勘違いしているよ。
先代が散ったのは本人の行動の責任を取るしかなかったからだ。
何を当たり散らすかと思えば、先代が散ったのは、アキが生まれるだいぶ前だ。
アキ自身は神獣を望んだわけではない。」
神様は、先代が散ったのは本人の罪だと言う。
なんで?
「フェースライザー、彼女の問題行動は皆からも苦言を呈されていただろう?
神獣に勝手に生まれておきながら、その責も果たさずにいたな。」
金の精霊王アードライドが更に追い討ちをかけた。
「そんな、聞いていない。」
茫然とする風の精霊王を神様は、どちらかと言うと冷たい目で見ていた。
「言ってないしな。
もう一つ言わせてもらうなら、先代の神獣のわがままには、辟易していたわ。」
風の精霊王以外が苦笑いしていた。
「そうですね、先代は本当にわがままで、よく今まで平和にやれたと思いますよ。
可愛らしさと言うより、毒花のような方でしたから。
生まれ直されたら、あの性格はどうにかなってると良いですね。
神も、失敗するんだと思った案件でしたから。」
水の精霊王、シェラシードがかなり辛辣な言葉を吐いた。
「あー、シェラシード、アレは事故だ。
なんか乙女ゲームとやらにハマっていた女で、間違ってここに来たんだ。
私は連れてきていないから!
神獣にする気もなかったんだ!」
「まあ、真名を与えたのはフェースライザーだけでしたからね。
被害が出なくて良かった、良かった。」
光の精霊王シャピオスが皮肉っぽく付け加えた。
「幸いな事に、先代が散った時に真名の従属契約も破棄されてるしな。
頭を冷やしてアレらの行動をもう一度考えろ。
神獣として、お前に魅了魔法を使ってたんだよ。
フェースライザーは斜に構えてる割に、初 だよな。」
火の精霊王キースが、最後はニヤニヤ笑って付け加えた。
「だからこそ、魅了魔法の効果があったんだろ」
金の精霊王、アードライドがなんとも言えないフォローなのか?をした。
「アキ様のように責務をきちんと考えて、謙虚さと優しさ、それにこの可愛らしさは奇跡です。」
木の精霊王、モライアは少し赤くなりながら、俺を褒め称えた。
「そうなのだよ。」
ラドルがなぜかドヤ顔で頷いた。
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