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異世界来ちゃったのかな?
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しおりを挟む黒い中から、斥候隊の一人が物凄いスピードで飛んできた。
俺とかチカちゃんよりは、全然遅いけど。
「ブランカ様!!!
お待ちください!!!」
なんか嫌な予感。
これは逃げるしかない!
「チカちゃん!!
全速力で、反転!」
『しっかり掴まってくださいね。
全速力で、先ほどのマーカーまで駆けます!』
チカちゃんが駆けようとした瞬間、目の前にタロー様が現れて、止められてしまった。
「アキ!
約束は?!」
「えっと、」
ここは正直に言っちゃえ!!!
「トリスタン様がめんどくさくて、出てきちゃいました!」
ふー!ふー!
とちょっと猫の威嚇モードで。
「かー!!!
あのクソガキ!」
クソガキって。
まぁ、あれはクソガキだな。
「アキ、私はすぐ戻るから居てくれと言ったはずだ。
お前に言われてあの場に戻ったのだぞ?
戻ってみれば、いきなり結界が壊されたのが伝わるし、
敵かと思って胆が冷えたが、
お前が出て行ったと聞いて、さらに胆が冷えたわ!!」
「ごめんなさい。
今、俺、結構ささくれちゃってるから、
ちょっとしたことにも過剰に反応しちゃうんだと思います。」
「いや、あのトリスタンが相手では、
私も疲れる時が多々あるしな
分からなくもない。
それに、神の領域から出てくるくらいだ、
辛い何かがあったのだろう?」
神様のところにいた時とは、違う優しさが嬉しいような、痛いような、切ない気持ちにさせられた。
「それに、服も着ずに出歩くなとも申したぞ!
私のマントはどうした?」
「出ていく以上、マントはお返しせねばと、
トリスタン様にお預けしました。」
後ろから斥候隊の一人があの、と
「トリスタン様が、魔王様のマントをどこぞの不審者から取り返した、と
こちらに預かってございます。
更には、無事に追い返してこの屋敷を護ったともおっしゃって」
「あのクソガキ!!!
マジで〆る!
何の権限もないクソガキに、お前らも従うな!」
「ですが、王よ、
次代の王になるお世継ぎがいなければ、
トリスタン様が」
「世継ぎなど、決めぬ!
バカ弟の息子はさらにアホで困るわ!」
後継者問題で悩んでるところ悪いんだけど、そうっとその場から離れてチカちゃんに全速力で駆けてもらおうとしたら、尻尾を掴まれました。
「ひにゃ!!!」
「どこへ行く?
アキ?」
「にゃ!
痛い!
尻尾掴まないで!」
「逃げないな?」
「わかった」
「なら、聖獣を戻せ。」
「チカちゃん、戻って」
半べそを掻きながら、チカちゃんを戻した。
怖いのやだ。
斥候隊の人が持ってたマントを、タロー様が受け取り、また、俺に掛けた。
「そのような綺麗な体を晒すでない」
急に優しい笑顔で言われて、どきどきした。
凄い、美形の笑顔で心臓壊れるかと思ったよ。
そして、やっぱりお姫様抱っこで屋敷に連れ戻されちゃいました。
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