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異世界家族
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しおりを挟むライカスのおかげで、解叔父さんは今まであった傷さえも綺麗に回復した。
驚きながらも、喜んでくれるのを見ると俺も嬉しいけど、やっぱり俺達はこの世界の住人なんだって、思い知らされた。
向こうに未練なんかは無いけど、懐かしさと寂しさが残滓的なものであったと思う。
「アキ、みんなを呼んで、ライカスのお披露目と、お祝いをしようか。
母君の事も延び延びになってたしね。」
神様が楽しい事をしよう、ってライカスの誕生祝いをしてくれる事になった。
神様の結界に守られた森の奥で、ガーデンパーティーが開かれた。
フィルの提案で、バーベキューもする事になり、何だか俺の方がワクワクした。
もちろん、した事なんか一度もないし!
キャンプなんて、あの家が俺を連れて行く訳もないしな。
大勢で集まって楽しい事をする!
これ最高だ。
楽しい、楽しい!
フィルが俺に教えてくれて、片っ端から作ってみる。
ピザ窯を作った時は興奮した。
乳製品が無いわけではないから、ピザ生地とか作れるなら出来る!
その生地とかはお母さんと解叔父さん、そして、神様が招待した一志叔父さんと侑士叔父さん、それに、初めて会う二階堂さんと櫂砥さんが解決してくれた。
「はあ、航がいないのが残念ね。
伴家揃うんだけどね。
亜希のおばあちゃんは、数年前に他界してしまってるし。」
俺は、まだ繋がる人がいたんだ。
俺の後ろに繋がる人たちと、ライカスみたいに前に繋がって行く人たち。
そして今は横にも広がっている。
「アキ、こんな風にお前の世界では楽しむのだな。
向こうの世界に帰してはやれぬ
心の狭い私を許してくれ。」
タロー様は、解叔父さん達が来た事で、俺が向こうに戻りたがるとか思ってたのかも。
「タロー様、愛してるのは貴方だけです。
それに、家族はここにいるんですよ?
何で向こうなんかに。
ふふ、考えすぎです。
あ、浮気したら、さすがに帰るかも」
んー、ってしながらにっこり笑ったら、ぶるぶると震えて俺を抱き上げて、俺の胸に顔を埋めて、小さな声で浮気なんかしない、帰ったら泣く、と。
「アキがいないと生きていけない
だから、」
タロー様が言い切らないうちに、キスをした。
「この腕の中が、俺の居場所ですよ
タロー様が赤ちゃん返りですか?」
「私は、アキが死にかける所を2回も見たんだ。
全部私が不甲斐なかったせいで、
アキを苦しめた上、あんな骨を折られたり、足を切り裂かれたり、全て真名で伝わっていた。
もう沢山なんだ。
アキを失いたくない。
異世界から来た家族に、心惹かれるのもわかるが、私だけを見て欲しい。」
「タロー様、俺はタロー様しか見ていませんよ?
体を開いて、貴方のコレを受け入れるのも、タロー様しか欲しくないから。
ね、帰ったら沢山抱いてください。
タロー様の不安が無くなるように。
ライカスの弟ができたら、ちょっと困るけどね。」
ようやく、タロー様のご機嫌が少しだけ浮上した。
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