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異世界家族
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しおりを挟む「譲歩案を出しましょう」
冷ややかに言ってみた。
「何を、すれば」
「簡単ですよ
神様を辞めてください。」
「え!?
いや!それは」
「だって、自分とこの世界を感情だけで治める事もできないなら、必要ないでしょ
むしろ迷惑です。
兄弟で好きだの何だの言っててくださいよ」
ね、そのほうが楽でしょ?アウィス様、と満面の笑顔で言ってみた。
「いや、アキ、それは」
「黙らっしゃい!!
そもそも、自分の統治下でもない世界に捨てるって、不法投棄も良いとこですよ!
わかってますか!?」
神様を黙らせて、善神と邪神の兄弟に向き直った。
「世界は、どうする!
我らが」
「いなくても、どうにでもなりますよ、
だって、精霊神がいますからねー
それに、万能神になるライカスがいますし、安心して老後を楽しんでくださいよ」
俺の方こそ、悪い顔をしていたと思う。
「神様辞めたら、ラエヴ様の体を元に戻しますよ。
で、貴方の魔力を取り上げますけどね。
あ、人並み以上の魔力は残してあげます。
ただし、俺達の世界でね。」
口から出まかせの部分もあったけど、上手くいく確信に近いものもあった。
「さあ、どうします?
拒むなら緩々と朽ちるだけですから、
俺は構いませんけどね。」
まだ、難色を示す兄弟に最後通牒を告げた。
「こちらで一般人やれば、ラエヴ様はうちの神様シムラクルムを口説けると思うんですけどねー?
そうしたら、上手くいけば神様の仲間入りが出来るかもしれないじゃないですか。」
最後は嘘だ。
神様の仲間入りは出来ない。
だって、精霊神も作っちゃったし、ライカスが万能神になれば、もっと必要ない人事になる。
「アウィス様にお似合いそうな精霊王もいますよー
そう言う可愛い系が好きな一途な精霊王がいるんですよ。」
そう、連獅子みたいな先代が好きなフェースライザーって風の精霊王がね。
色はちょっと濃いけど、連獅子も似た様なもんだ。
ここまで、口を挟まないでくれた神様、タロー様、ライカスありがとう。
「さあ!
どうしますか?」
「我らの世界は、どうなるんだ」
「もちろん、こちらの世界と一部を繋げますよ。」
あれだ、浦島太郎的な。
漸く、二人は神を辞すると口にした。
「では、神様、タロー様、ライカス
彼らの神籍剥奪に異議がありますか?」
「ないな」
タロー様が一番に応えた。
「ある訳がない。」
ライカスも当然とばかりに応えた。
「私も、ない」
「でしたら、全員一致で、神籍から除籍する事を宣言します。
魔力の剥奪をライカス
人への転生を神様、
俺たちの世界での寿命を俺とタロー様で。」
順に成し遂げていき、人の寿命よりは長い命を二人に与えて、俺たちの世界の人間の国へ下ろした。
最後に、いまなら、人間の国は統治者がいないので、どさくさに紛れたらどうにか出来ますよ、と囁いておいた。
「アキ、無茶をする」
ため息まじりに神様が言った。
「いや、シムラクルム
アキは向こうで顔をめった斬りにされているし、そのくらいの報復は当たり前だ!」
タロー様とは真名が繋がってるから、分かっちゃってたか。
「アキ!そんな事をされたのか!」
「ええ、アウィスに騙されたせいで。」
「おかあさま、大丈夫ですか!?」
ライカスが警戒を解いたからか、また子供に戻っていた。
「うん、治癒魔法で自分で治したよ。」
「あいつらのせいで!」
ライカス、なんか黒いのが出てるから落ち着いてね。
「いやぁ、アキを本気で怒らせたらまずいな。
多分、ここにいる誰より怖いぞ」
タロー様が戯けて言ったけど、半分本気だと思った。
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