森の木陰から始まる物語

ビーバー父さん

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8, 慰謝料より去勢

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「キアラ様、去勢はお好きな方を選べる様ですよ?
 玉か棒か、判決内容によっては両方ともですね」

 痛そう、とジェラルドが呟くと、レオナルドがやはり極悪非道だの、可愛げがないだのと声を荒げました。
 またクスンと言いながら泣くクリッシュに僕は、同罪なので同じように去勢ですが元々必要がない部位なので良かったじゃないですか、と励ますと物凄い形相で睨まれてしまいました。
 
「どう言う意味だよ!?」

 可愛い感じでは無くなりました。

「はて? 不貞は一人では出来ませんよ?」

「僕は婚約者がいるわけじゃない!」

「ですが、僕と婚約しているレオナルドと知っていましたよね?
 はて? ご存知無いはずは無いですよね?
 婚約破棄しないのは何故だ、とレオナルドに詰め寄っていたくらいですし……、あ、その時の映像も音声もありますよ!」

 僕は元うちの敷地に設置されていた防犯カメラとか、暗視カメラそれに録音された音声を出してあげました。
 裁判所でも提出した物の複製です。
 
「あ、や、嘘、嘘だから!」

「これ、凄いな
 いつも屋外? しかも人ん家の庭?!
 あー、ゴミ捨てくらいしろよ、これじゃぁ、不法投棄って言われるな」

 ジェラルドはピクニック感覚でうちの敷地の森で飲み食いしたゴミに加えて、コンドームやらローションやらをそこへ置いて出て行く二人を見て、救いようがない、と呆れていました。

 猿の様な息子のセックスを見せられる公爵は気の毒な気もしましたが、先程の発言を考えるとこれがラドルチェ家の家訓なんでしょう。

「公爵様、素晴らしい御子息でした。
 家訓をこれだけ遵守して子種を蒔いていらしたのに……、残念です。
 あ、でも、もしかしたら、こちらのお腹に一粒種がいるかもしれませんね」

 希望も無いと気持ちが沈みますから、お二人がセックスをしていた以上、出来てる可能性はゼロではないので、一応それだけは伝えました。

「キアラ殿、その、息子が馬鹿な所為ではあるが、婚約者だったのだからもう少し情を掛けて貰えないだろうか?」

 はて? どのような情けを掛けろと言うのでしょうか?

「水に流すと言う言葉と同じように、情けを掛けるのは僕から提案する話であって、間違っても加害者側からいう提案では無いですよね?
 散々情けは掛けましたよ?
 この誓約証書の慰謝料の金額、ごくわずかなんですけど、それでも極悪非道だのと言われてしまいましたし、やはりお支払いをする気が無いと取らせて頂きましたので第三者の立会の元、処分は去勢でお願いします。
 これ以上僕の様な被害者を出させないためにも、もう浮気をしてはいけませんよ、レオナルド、クリッシュ」

 そう言うと果敢にもレオナルドは言い返してきました。
 
「キアラ、お前だから浮気をしたんだ!」

「そうですか、ですが統計的に浮気相手と一緒になった場合、同じことをされて別れるケースが非常に多いのです。
 それは、一度浮気をするとモラル感が低くなって、してはいけない事と言う壁が無くなってしまう方も多く、自分のモラル感ではなく相手が悪いから浮気をしたんだという正当性を持たせてしまうんです。
 ですから何度でも繰り返すのですよ、自分は悪くない、まさに先ほどの言葉ですね」

「僕たちは浮気なんかしない!
 キアラだったからだ!!
 キアラがそうさせたんだ!」

「大丈夫ですよ、その為の去勢ですから。
 安心して下さい、クリッシュが嘘泣きしてもしなくても、レオナルドはもう貴方から離れませんよ」

 去勢してしまうと、さすがに勃起もしなくなるようですし、彼らはその辺りを理解していないでしょうし罰としては十分でしょう。

「では、執行のために病院へ行って貰いましょうか、お二人」

 ジェラルドが特別に自動車で送って差し上げますと、嬉しそうに言っていたのでお任せしました。
 公爵は項垂れ、もう何も言えなかったようですが、レオナルドは相変わらず騒いで自動車に乗り込むときも暴れてました。
 
「やめろ! さわるな!!」

「やめてよ! 僕は悪くないし、関係ないもん!!」

「レオナルド、お前も私も取り返しのつかない事をしてしまったんだ。
 そこのバカな奴の為に、全てを失ったんだ!
 そして、そんなバカに乗っかるような息子を育てた私も大馬鹿者だ。
 ラドルチェ家は、私の代で終わりだ。
 キアラ殿、どうかそれでご容赦願えないだろうか?」

「それは、シナガワ国の国王がどう考えるかで変わって来るかと思います。
 僕は王族として嫁ぎますから、この破棄がどう影響するか分からないですから」

 ジェラルドはこれで私たちがファエに申し込めるようになりました、と公爵へお礼を述べていたのが何ともアンバランスでした。


 
 


 
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