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12,覗きは犯罪です。
しおりを挟むそうそう、この縫製技術をアピールするんでした。
諸外国の方が代わる代わる挨拶に来られる中、にっこりと笑顔を絶やさずこのヒラヒラした布の縫製技術を見てもらおうと、必死に変な人みたいに大袈裟に動いて見せていた。
「こちらが新たに売り出す布ですか?」
「いいえ、この薄い布でもこれだけの縫製技術を我が国で開発出来まして、この技術のお披露目でございます」
「ほほう、ですがこの程度では」
「こちらは、工場で機械が縫製したものでございます」
父上がすかさず、機械化したことをアピールした。
「なんと! こちらは人の手ではないのですか?!」
「今までも機械で縫製する技術は機織り同様にありましたが、それは繊細な仕事ではなく、ある程度の仕上がりで構わない物でした。
ですが、このような薄く花嫁衣裳のようにも見える布でも、まるで熟練した人の手で縫製されたような仕上がりを出せる技術は、この先の衣料品を扱う者にとっては神器に等しい存在になるかと」
凄いです。
このようなプレゼンはさすが父上です。
「この衣装のまま、私のところへお嫁に来ませんか? キアラ様。
晴れて、婚約破棄が整ったと聞き及んでおりますよ?」
おお、と感心しておりましたら、次の挨拶に来られた方に手を取られ、不覚にもその甲に口づけを受けてしまいました。
この王宮に滞在されてる、これまた隣国の王太子殿下エリュクシールでした。
「先日、公務である会議の後、同盟を我らで組みましたが、一番遠い私の国が不利になりますので、こちらのゲートウェイ国へ留学と言う事になり、王宮にて滞在させて頂かせております」
「留学ですか。
バラキ国では確かに遠いですね」
「はい、これで私も彼らの悔しがる顔を拝めます」
「僕は、何かの戦利品か鑑賞物でしょうか?」
「とんでもない!
この世の至宝ですよ」
金髪碧眼、綺麗な顔立ちに高い身長。
ふむ、このような方に至宝などと歯の浮く様なことを言われても、説得力はありませんね。
「はて、至宝とは?
僕はすでに婚約破棄をした疵物ではありませんか?」
「バカな者が何をしようと、キアラ様に疵をつけるようなことは出来ませんよ」
おじいちゃんはニコニコとそのセリフを聞いてるので、無下にもできません。
「う~ん、不合格だね」
「トルキア兄様……」
いきなり、割って入ってきました。
「えっと、バラキ国の王太子殿下だっけ?
君さ、滞在して留学までは許すけど、キアラの部屋を覗いたり、スパイを送り込んじゃダメだよね?」
あ、先ほどのスパイはこちらの国でしたか。
「な!」
「うちはさ、小国だし周りも大国に囲まれてるけど、何故潤沢に国を回せてるか分からない?
シナガワ国の属国と思われているのも知ってるけど、だいぶ前から総生産はうちの方が高いし、多分いや間違いなく軍事力もうちの方が上なんだよね」
あんま舐めんな、ってやつですかね。
「はて、僕の部屋を覗いても、楽しくないのでは?」
「キアラも抜けてるよね。
着替えとか、その綺麗な体を見れるじゃない」
「ファムとは言え、僕はそれほど綺麗でもないかと」
何故かトルキア兄様に続いて、家族が全員頭を抱えました。
「キアラ、お前さ、その美貌がどれ程のものか分かってないの?
まぁ、それ程あのバカがお前を貶し続けた呪いでそう思ってんだろうけど。
はっきり言って、お前、天使だからね!!
綺麗って言葉が陳腐なの!
神の領域って言われてるの知らないんだろうな」
大袈裟ですよ。
「エリュクシール様、明日はお見送りしますので、元気でいてくださいね」
僕は先んじて、バラキ国の王太子殿下に別れの挨拶をした。
多分、泳がされていたのでしょう。
きっと明日にはお迎えの馬車が来て、強制退去でしょうね。
おじいちゃんのニコニコの意味が分かりましたよ。
滞在させない口実が出来ていたからですね。
そのほかにも滞在されてる方々もしますが、僕の裸が目的だとしたら不毛ですね。
エリュクシールの事を遠巻きに見ていた諸侯や、諸外国の大使それに同盟を組んだ方々が、天使の部屋を覗くだなんて!と憤りを露にされていました。
部屋を覗くのはいけませんが、覗いたからって鶴の恩返しみたいに飛び去る訳でもないんですけどね。
過保護もここまでくると、既に文化なのでは? と思ってしまいました。
そう思うと、ハーミットは本当に体当たりな方でしたね。
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