その瞳の先

sherry

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次の日から俺たちは一緒に行動した。
嘲笑うかのような反応と蔑むような視線のなか日々は過ぎていった。
月島は特に攻撃を受ける事もなく、また俺と湊斗の関係もぎこちないなりに普通で安心していたんだ・・・そして、その日は突然やって来た。

いつものように月島を待っていた俺は風紀の奴と一緒に居る月島が見え声をかけた。

「おはよう。今日は一緒に来たんだな。」

「あぁ。今日からこいつが居てくれるし、もう一緒にいなくていいよ。」

その言葉を話す月島の眼は憎悪に満ちていた。

「えっ。でも・・・」

そのまま俺を無視して月島達は行ってしまった。
俺はそのまま1人で教室に入ると周囲の目線はいつもと違った。

「自分の幼馴染みにあんなことするなんて」
「ありえないよなー」
「いくら会長のためとか言って、実は羨ましかったんじゃないの?」
「月島も可哀想だよな・・・」

こそこそと話すクラスメイトの言葉が聞こえた。
何が起こっている?湊斗になにかあったのか?それとも亜蓮?月島が可哀想って?
俺は訳が分からず、授業に身が入らなかった。

その日の放課後、俺は親衛隊の集会場にいた。

[隊長解任について]

ホワイトボードに書かれていたのは俺の解任についてだった。

「どういう事だ?何故俺の解任についてなんか・・・」

そこには蔑みの眼で見る隊員達がいた。

「隊長、我々は今まで何度もお伝えしたはずです。行動を考えてくださいと」

副隊長からの言葉の意味が分からなかった。
連絡は取っていたが、最近湊斗とは2人で会っていない。

「何を言ってる?俺は最近会長とは会ってない」

「そちらこそ何を言ってるんですか?隊員から報告が上がっています。しかも冴島様の隊長にも危害を加えたそうじゃないですか。」

は?月島は確かに制裁を受けた。でもそれはあちらの親衛隊からだ。

「月島に危害?俺は何もしていない。冴島様の親衛隊内での制裁はあったが、月島はその時隊長を辞任している。」

「何を言っているのですか?月島隊長は辞任などしていません。あなたが冴島様の親衛隊を使ってしたのでしょう?」

意味が分からない。聞けば俺が冴島に親衛隊の子を紹介し、お気に入りにさせ、月島を孤立させた?そのお気に入りを使ってブレスレットを盗んだ?俺が冴島とも関係を持っている?聞けば聞くほど知らないことばかりで、俺の頭はパニックだった。

「しかも、私たちを使って亜蓮様に制裁など。一体何を考えているのですか?亜蓮様はあなたの幼馴染みでしょう。それに従兄弟なのでしょう?亜蓮様は良く私たちに声をかけて、会長様との交流をしてくださった優しいかたなのに。」

どういう事だ?亜蓮に制裁?しかも湊斗と交流って。俺の知らないとこで皆と会っていた?

「制裁なんて指示していない。何故俺が亜蓮を傷つけなきゃいけないんだ。それに交流の件も聞いていないがどういう事だ?」

「昨日風紀に捕まった子があなたの指示だと言っていました。それに新歓の時あなたがいないから、亜蓮様が私たちに声を掛けてくださったんですよ。新しく入った子達が交流しやすいように。あなたはその日何をしていたんですか?」

その日は治療所にいた。確かに連絡は入れれなかったが。まさかそんなことになってるなんて、何故誰も教えてくれなかったんだ。

「とにかく俺は指示していないし、新歓の日は月島と治療所にいた。それに昨日風紀から連絡は来ていない。」

「言い訳は結構です。それに会長様からあなたの解任については了承されています。」

え・・・湊斗が解任を了承した?昨日連絡したときだって何も言ってなかった。

「とにかくこちらの書類にサインを。我々はもうあなたにはついていけない。」

俺は皆の軽蔑の視線のなか書類にサインした。副隊長の手で見えてなかったその書類には解任ではなく辞任届けと書かれていることを・・・

「これ以降、私が隊長となり、そしてあなたにはこの親衛隊から追放させていただきます。」

追放・・・普通隊長でなくなったからといって除隊にはならず一隊員として活動することは出来る。しかしそれすら出来ないということ。そして一般生徒と同じで制裁対象に成り得るということを意味していた



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