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4章

去りゆく者

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「父上、お望みのジュンヤを連れて参りました」

 国王の私室にティア、ダリウス、エルビスと入ると、侍従から寝室で休んでいると伝えられた。エルビスは控えの間で待つと言い、三人で入る。
 陛下の側にはレイブン殿下がいた。本来なら看病は侍従がするものだが、自分もやると言って慣れない看護をしているそうだ。

「ジュンヤか。近う寄れ」
「はい」

 ティアの話では、あの後から熱を出してしまい寝込んでいるという。精神的なショックかもしれないな。でも、自業自得もありすぎてなぁ。

「そなたに許されるとは思っていないし、許さずとも良い。ただ、それでも私を浄化してくれた事に謝意を示していなかったと思ってな。……レイブンに叱られたのだ。酷な扱いをした事、すまなかった。そして、救ってくれた事に感謝する」
「えっ?」
「王妃に対しては政略結婚でしかなく、打ち解ける気もなく子が出来ればそれで良いと思っていた。だが、子が出来ない事に苛ついて、王妃に打ち解ける努力をしなかった。ただ機械的に交合しただけ。それで胎珠に魔力が芽吹くはずもない。そう気がついたのは、ーーエリアスの母へ一方的に思いを寄せ、無理やり我がものにし胎珠を使った時だ。」

 国王は一度大きく深呼吸し、チラッとティアをみる。

「ユーインに対して、私は確かな恋心があった。ユーインがどうだったかは分からない。ーーアレは泣いていただけだからな。強引に手を回して後宮に入れ我が物にした。蜜月を味わった後でたった一度胎珠を使用した。それだけでエリアスは生まれた。そこで思ったのだ。私が王妃に対して、もう少しだけ心を寄せてやれば出来たのかもしれない、とな。だが、その時は既に冷たい関係だった。そこでチェスターで試した。どちらにせよ第二王子は必要だ。愛していないが、あれは私に甘えてきて可愛い子だった。そして、オレイアドが生まれた」

 こんな話を聞かされて、王妃様は辛いんじゃないだろうか?

「人の心に寄り添わなかった私の過ちだ。チェスターは初めからオルランドの命令で私に擦り寄っていたと知らなんだ。甘やかされてもてはやされ、私は民に心を寄せる事もしなくなった。だから、今後はエリアスに全て任せて退位する事に決めた。とはいえ、準備が必要ですぐにという話ではない。式典の準備の間、そなたには王太子妃の、ゆくゆくは王妃となる知識と作法を身に付けて貰いたいのだ」
「王太子妃……王妃……! 俺、私にはまだ早いです! エリアス殿下と共に生きる覚悟はしています。でも、急にそんなっ!」

 焦ってティアを振り向くと、素早く手を握ってくれた。

「ジュンヤ殿、準備には時間がかかると殿下も仰ったでしょう? 焦らなくても良いのですよ。婚儀の準備と即位の礼……同時進行は困難です。優先順位は殿下にお任せします。ですが、どちらにせよ衣装や儀式の為に作られる装飾など、生前の退位の場合は一年はかけて準備しますから」
「それまでに私が死ねば別だがな」
「父上、縁起でもないお言葉はおやめ下さい」
「ーーエリアスよ。すまなかったな。私のせいで苦労をかけた。そなたは良き王になって欲しい。私は奥の院で静養の名目で下がろうと思う。この先は、実質そなたが王として差配をする様に」
「王国の為に尽力致します」
「罪人の処罰についても任せる。ーー私も罪人の一人なのだがな。何故だろう。突然、己の振る舞いを思い起こして後悔ばかりが募るのだ」

 目を瞑り、しばらくの間沈黙が続いた。

「バレットがベルパルに避難していたそうだから呼び寄せようと思う。ジュンヤの教師にしようと思うが、そなたはそれで良いか?」
「はい。バレット先生がお元気で何よりです」
「エリアス殿下、私も陛下と共に奥の院に下がります」
「ーーそうお決めになったのですね。お国へ帰られるのなら、お手伝いをするつもりでおりました」

 王妃様はティアに優しく微笑んだ。

「ふふふ……非道な私にも殿下はお優しいですね。ーー私は嫁いだ時にカルタス王国に骨を埋める覚悟できました。それは変わりませんし、私と陛下はお互いに過ちを犯しました。ですから、離れた地で共に残りの人生をかけて償う所存です」
「クックックッ! エリアス。何とも頼もしい言葉だと思わぬか? 私は今の今までこんな男とは知らんなんだ。誠に私の目は曇っておったわ」
「ジュンヤ殿、お困りの時はいつでもお尋ねになって下さいね」
「ありがとうございます、レイブン殿下」

 そして俺達は国王の部屋を後にした。

「みんな、私の部屋へ来てくれ」

 ティアに言われ私室に行き、ソファに座るとティアは大きなため息をついた。

「ーーーー覚悟をしていたが、重いな」
「なんだよ。最初の予定より余裕があるじゃねぇか。一年も猶予があると思えば良いだろう?」
「ふっ……ふふふっ! 全く、お前という男は……クックック!!」

 つまり、最悪は無理やり玉座から下ろす選択もあったって意味だよな? 平和的な即位の実現が出来て良かった。良かったけど!!

「な、なぁ。俺、たった一年で王太子妃とか王妃とかの重責担うのかっ?!」
「勉強をすれば良い。ジュンヤなら出来る筈だ。それとも、やはり婚儀は嫌か?」
「そうじゃ無くて。俺は平民だし、いきなり王族の仲間入りってさぁ」
「それならば、いつなら良いのだ?私は一日も早くジュンヤと婚儀を挙げて、互いの関係を確固たる物にしたい。それは皆も同じ思いだと思うのだが」

 ダリウスとエルビスが頷く。

「マテリオだって同じだと思うぜ?」
「それは嫌じゃない! ただ、ティアでさえ重責だと思うんだろう? 俺に務まるかな? 何をしたら良いんだろうって思うんだ」
「そうだな……王妃としての仕事には、国の繁栄のための事業もある。それぞれが農業や神殿への支援などをして来た。ジュンヤの得意な分野で国を盛り立てたらどうだろう」
「それは、商業の支援もあり?」
「勿論だ。」

 そうか。それなら俺の知識が役立つかもしれない。

「自立しようとしていた時、商人になるつもりだったのを覚えてる? 俺、いろんな街を巡って、もっと商品価値を上げて輸出出来る物がたくさんあると思った。観光産業なんかもあるのかな?国外からの客を増やして商業を盛り上げたい」
「今よりずっと国民が豊かになる手伝いをしてくれるのだな?」
「微力ながら尽力します!思っていた自立とは違うかもしれない。でも、やりたいと思っていた事なんだ」
「素晴らしいです、ジュンヤ様!」
「特に料理をもっと流行らせてくれ! 俺、お前の飯じゃねぇとキツくなって来たからよ~。」
「うん! 頑張る!」

 俺達は、肩にのし掛かる重責とその先にある未来を思い描きながら、遅くまで語り合った。



 

「あっ……、ティア……! やぁっ! 真面目な話、してたのにぃ~!」

 さっきまで、未来を夢見て話をしていた。そう、本当に真面目なお話してたよね?
 でも、今は三人の手が俺の体を弄り、ゾクゾクと甘い痺れに襲われている。

「良いだろう? 私とエルビスは暫く触れていないんだ」
「ジュンヤ様……もう、私は我慢しない事にしました。それに、もう恋人の時間ですよね?」
「ふっふっふ……。あいつ、自分が居ないところでジュンヤがエロい事になってると知ったら、どう思うかねぇ? 後でナニをされるかな?」
「あっ、あふぅ……ダリウスの、意地悪~! ん、んんっ!」

 ティアが噛みつく様にキスして来て、絡み合う舌と甘い唾液の心地良さに力が抜けていく。

「あ、はぁ……ここじゃ、誰か来るかも……」

 ティアに用がある誰かが来たら見られちゃうよ!!ティア付きの侍従さんや騎士とかもいるし!!

「寝室なら良いのか?」
「う、うん……」

 返事した瞬間体が浮いて、ティアが俺を抱いて猛スピードで寝室に向かう。ドア閉まってるよ? ぶつかる!

 カチャッ! バタン!

 エルビス優秀過ぎ! 先回りして開けて、速攻で閉まりました! まるで自動ドアみたいでしたよ!?

 ボスン!

 ベッドに雪崩れ込み、何も準備出来ないと思い出す。

「ティア! お風呂まだだし!」
「その方が好きだ」
「なに言っ、んむっ! んん~! ん、はぁ、あぁ……」
「ジュンヤ様、緩めて楽になりましょうね?」

 リボンタイが解かれて、ボタンもプチプチ外れて……
 スルリとブリーチズが脱がされた。

 三人がかりは狡い! 早すぎ!

 抗議したくても、三人の手がキスされ乳首をコリコリとつねられ、脇腹を撫でて、俺自身を握られる。

「はぁ、あん! そんなに、一気に、したらぁ!」

 久しぶりの三人がかりの責めに、恥ずかしい思いもあるが、もっとして欲しいと疼いている。明日の浄化の事もあるけど、もう無理だ。エッチしたくて我慢出来ないよ!!

「ティア……明日は休んでも、怒られない?」
「もちろんだ。ジュンヤは休まずに頑張っている。誰にも文句は言わせない」
「じゃあ……三人に、いっぱい愛されたい……お願いだから、いっぱいくれる?」

 全部触って欲しい……
 舐めて、噛んで……
 貫かれたい……

 今夜は、ただ愛されるために体を拓く。

ーーーーーーーー

次回は久しぶりの三人エッチです!マテさんには後日お詫びをします!
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